ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

文字の大きさ
102 / 207
獅子国編

白炎の計画と白光2

しおりを挟む
 白炎はミュンの事を考えた。

 王妃にまでなったミュンは、ナーオ・ロウ国の国民に白炎が何かしらの害をおよぼしたら、白炎の存在をいない者とみなし、目が合っても虫けらを見る様な目で見て、ぞんざいに扱うだろうと。

 今は亡きリュンは、我をそんな目で見ないだろうし、憐れんで見るだけだったのだろうと想像がつく。

 ミュンならばと考えると、燃える様な視線で嫌う事も好きになる事も自由に表現するだろうな。

 姉妹でこれだけ性格が違うのにも関わらず、どちらも我を惹き付けるとは運命だったんだ、と考えを横道に逸らしてしまったが、白炎の好みがリュンとミュン姉妹だったのだと白炎は一人で納得して頷いていた。

 そのミュンを手に入れるには、人任せにしないで白炎が動く事。
 ミュンには嫌われたくないので、国民を巻き込まない事。
 ミュンの気を惹かないと何も始まらないので、ミュンの気を惹く事をする事。の3つを決めたのであった。

 そこで白炎が考えついたのは、まずは知り合いになってそこから友人になり、その後、恋人もしくは婚約をしてから、最終的には結婚をすると言う計画になったのだ。

 今時、日本の中学生や高校生でも考えつくような事を実行する計画を立てていたのには、白光も白洸も忍び笑いをして、白炎の様子を見ていたのだった。

『ひ、ひかり兄貴ー、皇帝って丸っきり馬鹿だとなれない筈ですよね。あはは!炎はどの位でした?』

『あ~、笑った笑った!んー、若い時はマシだったかな~。どこでおかしくなったんだろう?…白輝てる様のせいかな?!』

『聖獣の村でも、白光様が白輝様の面倒を見ながら仕事をこなしているって皆、知っていたので、白光ひksり兄貴は優秀だって言われていました。』

『そ、そう?』照れる白光であった。

『そりゃあもう、代々の皇帝を玩具にして遊んでいる白輝てる様は最低だって陰では言われていましたから。聖獣の村では、スートーカーの様に好かれている黒大猫様が可哀相だって言う噂も絶えませんでしたし。』

『…白輝様のそこについての話題は、私が弟子である時点で否定も肯定も出来ないです。ノーコメントで。』

『くぅー、やっぱり仕事が出来る男は、上司の悪口を言わないんですねぇ。凄いや。』

 白光と白洸が話している間に、白炎が女性の恰好をし始めたのだ。

『とうとう、やっちまったっすか。女性を装って知り合いになれても、結婚には辿りつかないぞ、炎…。』

 どうやら、白炎は女性として知り合いになり、何処かで男性だとバラして、恋人から結婚相手になる計画を立てていたのかと、頭が痛くなってきた白光であった。

 遅いんだよ、炎。再婚して、子供まで生まれちゃって幸せになっているんで、ミュン元王妃は離婚したり、浮気をしたりしないんだよ。

 その上、相手も真面目で一途な元総騎士団団長だから、望みなんて一切ないんだよ!と、怒鳴りたかった。

 でも、女神さまからの指示で、様子を見るだけでいいと言われていたのである。

 何かあれば、女神から白炎に直接の制裁を加えるからいいのだと言われていたのであったからだ。

 白洸にも女神さまからの言葉を伝えて、手を出したくなるけれど、見守るだけを経験して忍耐力を付けてもらうのが良いと言う計算をしたのだった。

『ひかり兄貴、炎って女装してもイイ女に見られるんですね。』

『あ~、元が良いからな、似合うんだろうな。白輝様の玩具にされていなかった皇太子時代は、比較的マトモだった様な気がするっすね。』

 炎も計画が失敗すれば落ち着くだろうと、白光も白洸も思っていました。

 女神には別の考えがあったので、わざと放置していましたが。それをあえて声には出さないでいました。

 化粧道具や着替え、生活必需品をブレスレットに詰め込んでいく白炎。

「仕事は白星へ頼んである。何かあれば、白角が孫である白星の相談に乗るだろう。我は元皇妃が処刑された事で心に傷を負ったから、しばらくは療養に出る事にしたと貴族共には通達し終わったしな。

 女性を装うならば、言葉遣いに気を付けなければ!」

『ひかり兄貴!炎に付いて行ったらダメでしょうか?何かあれば、兄貴にすぐにでも連絡しますから。』

『白輝様がいない今、白獅子であるおいらが獅子国からは出れないからなぁ。白洸、頼んだっすよ。』

『はい!初任務に出ます!』

『白洸、他の動物には偽装出来る筈だよな。

 次代として、皇帝白炎に私からのお目付け役だと言って、正式に白洸を付ける。

 ナーオ・ロウへ行く様だから、子猫になって正式に連れて行かそう。』

『はい!900才だけど、頑張ります!』

 あ!炎の荷造りが終わったみたいだ。声をかけよう。

『白炎!どこかに出るのか?』

「次代様ですか?皇妃を娶る為に、我は女性の恰好をしてナーオ・ロウへ入ります。皇帝の姿ではバレますからな。」

『それは不慣れだろう。我の弟子をともとして付けようぞ。名前はこうだ。』

 炎、女装を誤魔化す理由が上手いよな~。白洸も感心するでない!にゃんと鳴いておけ。虎柄の猫にすれば、ナーオ・ロウでは目立たなくていいからな。

 ここで、凸凹でこぼこコンビが結成されたのだった。

『白光、ナイス突っ込み!』

 女神さまに褒められちゃったっす。…炎の足元に白洸がネコ姿でいるっすね。これで、よし。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...