ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ナーオ・ロウ国編Ⅰ

男達の話し合い

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 宰相殿と王の執務室へ引き返した私は、執務室へ着いた後、イスに座り込んでしまった。

 その間に宰相殿から、髪を染めているが片眼鏡モノクルの幻影を見破る魔道具で見たところ、王妃様の茶会の相手が赤雪皇妃で間違いないと、王や一兄へ伝えていた。

 天井裏から、コツコツコツと3回、音がした。3方向へ行った影が戻ってきている合図だ。

「宰相が魔道具で見たところ、王妃の茶会の相手が髪を染めた赤雪皇妃だと判明した。証拠を見つけ次第、捕縛せよと伝えろ!」

 また天井裏からコツコツコツと3回音がした。また3方向へ今の言葉を伝えに出たのだろう。

「では、リュン前王妃の命を削った馬鹿メス獅子に鉄槌を下そうか。」王である父上の黒くて良い笑顔が見れた。

「ええ。リュン前王妃様の命を狙う刺客を100人以上送ってきたり、女神の加護を使う様な事を何度もしてきて、リュン前王妃様の命を短くした愚か者に止めを刺し、罰を与え、鉄槌を下しましょう。」宰相殿も負けずに黒くて良い笑顔だ。

「ミュン王妃も赤雪皇妃に何度も手を貸して、リュンの命を削ったし、国内を混乱させたからな。まとめて始末をしようか。」父であるリンクス王がニタリと、どす黒く笑っていた。

 父上とカッツェ宰相殿がここまでの事を言いだす何かを、茶会をしているアノ2人がしていたと簡単に推測出来た。

「ショウ、おまえの母を殺した原因は、獅子国にあるのだ。

 獅子国が戦争を起こしてリュンを攫おうとして失敗した後も、獅子国からの度重なる嫌がらせや小さな争いが続いていたのだ。
 王国民を苦しめれば、リュン前王妃が苦しんで自ら皇帝の元へ行くのだろうと、皇帝は、愚かにも考えていたんだろう。

 だが、リュンは、自分がナーオ・ロウを離れたら恩恵が使えなくなるのを理解していたので、な、国から出る気は全くなかったのだ。だから、その女神の恩恵を使って王国民や国を守った。

 そのせいで、王妃の命を少しづつ削りながら恩恵を使っていた母は、獅子国が行っていた執拗な嫌がらせや争いで、女神の恩恵の力を回復する間もなく、力を使い切ってしまったのであろう。ある日の朝、起こしに行ったメイドが冷たくなっていたリュン前王妃を見つけたのだよ。」

 父が冷たく微笑んで、告げた事実は私の知らない事だった。

「王城の中で不可解な殺人が何件か起きていたので、それを調べていって、捕まえた暗殺者の中の1人から聞き出せたのです。

 赤雪皇妃が、リュン前王妃様を暗殺出来なければ、城にいる者を代わりに1人だけ殺して来いと、暗殺者達に命じていたんだそうです。

 その話をした暗殺者は、自分が生きて獅子国へ帰れば家族が殺されるので、すみません。と言って、歯の奥に仕込んでいた即効性のある毒で死んでいったんですよ。

 その事実を知ったリュン様は、赤雪皇妃から毎日送られてくる何人もの暗殺者も、王国民の命も、両方とも守っていました。段々とリュン様自体のお疲れの様子が酷くなり、我々が何度止めても、女神の力を使い続けていらしてました。

 リュン様は、赤雪皇妃から送られてくる暗殺者のせいで、女神の力を回復する間もなく疲弊し、白炎皇帝がしていた嫌がらせや、頻発する小さな争いを止める為に、女神の力を回復する間もなく奔走していらして、疲弊し、その命をすり減らし続けた結果、亡くなられてしまったのです。」

 宰相殿も、母上の亡くなった原因を更に詳しく告げてくれた。

「私が聞かされていた、持病の悪化による病死ではなかったのですね。」ポツリと零した声に父上が続けて言った。

「その上、獅子国と現王妃の繋がりを疑い、長年探っていたのだが、ミュン王妃は悪智恵が回るのかこれだと言う決定打が無かったし、掴めなかったのだよ。
 女神もユーイ殿がいないと何も手が打てなかったのだ。
 そうだ、ショウは知っていたか?ユーイ殿を日本へ送ったのが、獅子国宰相の白角の計画であった事を。」

 そんな理由で?ユーイが長年、虐待され、苦労させられただと?!

「皇帝を操るのに、白角の馬鹿宰相はユーイ殿を使うつもりだったのだよ。
 リュンに執着している皇帝ならば、次代の女神の加護を持つ女児でもいいだろうとユーイ殿に目を付けたのだろう。ユーイ殿が日本で年頃に育つのを待ってからでも、皇帝が欲しがるだろうと考えていたんだろうな。
 獅子国へ密かに連れ帰り、ユーイ殿を皇帝の側妃ではなく表に出て来れない愛妾にでもして、皇帝を操る駒にするつもりだったのだろうが、白角よりもショウがユーイ殿を先に見つけて連れ帰ってくれたので、この国もユーイ殿も助かったのだ。」

 皇帝の愛妾にするつもりだったって?!どうして私の番だと解っていたユーイを!と思ったが、母が死んだのも、ユーイが苦労させられたのも、全て獅子国のせいだったのか!!!と怒りがおさまらなかった。

「ショウ、あのな、ユーイ様の会社での成績書き換え事件があっただろ、あれも獅子国の指示で、あの獅子国の遠縁であった役員親子が動いていた事が最近、分かったんだ。
 ユーイ様を見つけて獅子国に連れ帰るにしても、ユーイ様の心を折っておけば、操りやすい人形になるだろうし、白角の言う事を素直に聞くだろうって計画された事だったんだ。
 役員親子は、獅子国よりも自分達の私利私欲に走って、ユーイ様を見つけようとしていた獅子国の邪魔をして、その甘い汁を吸い続ける事を願っていたんだよ。」

 一兄、その話は私に報告が来ていなかったぞ!そっちも獅子国絡みか!

「な・る・ほ・ど。獅子国皇家と貴族共をサクッと処刑して、獅子国という名の国を滅亡させもいいかな?」と、呟いていた。

「ショウ、顔と言葉が怖いぞ。」そう言う一兄にも、私がクロード王から聞いていた話を教えておこうか。

「では、そんな一兄にも、とっておきの話をしましょうか。
 カーナさんを茶屋から青水仙が無事に連れ帰っていたら、カーナさんの容姿が好みであった皇帝が取り上げて愛妾にする予定だったそうですよ。
 まぁ、妊婦でも連れ帰ったら、堕胎させてから愛妾にする予定もあったそうですが。
 この情報は、クロード王から宰相補佐殿が怒り狂うだろうから、宰相補佐殿には内緒にして欲しいと私だけに伝えられていましたが、これを聞いた一兄、何かありますでしょうか?」

「ほほう。ショウとは従兄だからかもしれない、私も獅子国の皇家や貴族が消滅して欲しいと思ったなぁ。」

 ここに獅子国の皇家と貴族を滅ぼさんと希望している、悪い顔をした大人が4人いますが、それは仕方ないと思う。

 バタバタバタバタ、バタン!!「見つけたぞー!」「ありましたでぇー!」陽とロートが王の執務室へ、凄い勢いで飛び込んで来た。

「この証拠と過去の件を合わせて、まずは赤雪皇妃を捕縛して処罰出来ます!ミュン王妃は夕方のお茶会で捕縛し、一発で処刑出来る所まで、もっていきますか?」

「ユーイ殿を囮で使うのは、番であるショウの許可が要る。どうするのだ、ショウ。」王である父が尋ねてきた。

「ええ、許可します。でも、私の全力でユーイを守ります。ユーイにはロートもいますし、陽もいます。」

「では、ミュン王妃には何の権限も無いのに、私の許可なく、王城に勝手に他国の皇妃を入れた王妃にも罰を与えよう。だが、皇妃も勝手に他国の王城へ入ったのだから、赤雪皇妃の魔力もミュン王妃の魔力も封じるか。

 王城に仕掛けてある、王族しか起動出来ない術式を使用する許可を近衛騎士団に許可する。ショウはその起動する鍵となる魔力を術式に流して来い。」

「近衛騎士団団長、陽太郎こと、リヨウ、確かに王命を受け賜わりました。」
「皇太子として、王族しか起動出来ない王城の術式の起動の鍵役を承りました。ただちに、近衛と共に動きます。」

「ロートはユーイ様の警護へただちにつけ!近衛騎士団団長の私が命じる!」
「はっ!それでは失礼致します!」

 そうして、宰相殿と宰相補佐殿は、獅子国への抗議文と捕縛した罪状に関する書類を調える事になり、皆が動き始めた。
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