ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ナーオ・ロウ国編Ⅱ

白花のお見合い3 見合いと密談

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 帰国してから、私は王女として過ごせるように、いつ帰国してもいい様に調ととのえられていた部屋に住む事になりました。

 伯父様は、私の帰国を知っていらしたように思えるわ、だって、この部屋、素敵だわ。いつこの部屋を調ととのえられたのかしら?と思ったもの。

 そこから、謁見室で大臣達や従兄弟である宰相補佐や近衛隊長、いとこの王太子を紹介された後、伯父様と宰相様の3人だけでお茶をして、この先の私に予定されている内容の話をされたのだわ。

 私の思っていた通り、国の益になる相手との見合いをして、その中から相手を選んで結婚して欲しいと言われたの。

 獅子国の皇太子から貰ったモノは、国で処理をして、私が嫁いだ国に獅子国の密偵扱いをされない様に細心の注意をして欲しいと説明もあったわ。

 見合いをして半年後までに、この国での勉強を終え、婚約した相手の国へ移住し、その国での事を学びながら結婚準備をし、更にその半年後に、その婚約者と結婚をする予定なんですって。

 だから、私は1年後にはどこかの国で、人妻になっている筈だって言われたわ。

 その際、私が小さな頃から伯父様の子として養子になっていたので、どの国からも、アノ頭の悪い王弟とは一切関係が無いと知られているし、私の方が巻き込まれた被害者だと思われているので、その点は安心する様にとの説明される所もあったの。

 そこで落とされた爆弾が凄かった…。

 私の実父は罪人となった王弟ではなく、先代の王と側室の間に、人工授精で産まれた王兄であったと。

 母は王にはなりたくないと、気ままに生活したいと言って王位継承権を破棄した父と出会い、番だと理解して結婚をしたのだと聞かされた。

 でも、実の父は母と婚姻直前で暗殺されてしまい、母は大層、悲しんだけれど、犯人は分からずじまいだったのだとも。

 それで、母に横恋慕していた王弟が、強引に母との結婚を説得したそうで、母と実の父が予定していた結婚式を取り止めずに、母と王弟の結婚にその予定していた結婚式を利用したのだと聞かされたわ。

 ただ、私の実父は王弟でないのだと私を産む前の母から、その事実を聞いていたそう。その際に、伯父様は、母が出産に耐えられないと診断をされていると打ち明けられてもいたのだと語ってくれました。

 だから、私が不幸にならない様にして欲しいと言っていた生前の母との約束を守って、私が獅子国に出される前に私を自身の養子としたのだと教えてくれました。

 でも、王弟であった男は、母が私の父親が誰なのかを明言しなかった上、妊娠期間が長引き、母が私を産んだ際に亡くなってしまったので、真実を知る機会がなかった。
 だからか、未だに私が実子だとあの男だけが思い込んでいるだけなのだと聞かされました。

 なるほどね。私が気にしなくていい理由は理解したわ。
 でもね、母もしたたかだったのね。本当の父様を亡くしても、私を産む事とその後の私の生活を最優先にしてくれたんだわ。私、母に愛されていたのね。

 そんなこんなで、見合い当日、私の付き添いには、普通は母親やそれに代わる者が付く筈なのだけど、母親は亡くなっていないし、伯父様の妻にあたる人も伯父様が離婚していないので、王太后様が私の付き添いをしてくれる事になりました。

 勿論、お見合い相手の姿絵も詳細も、その噂話をもキチンと確認しましたわ!私の将来がかかっているんですもの!王太后様も私の祖母でられるから、おかしな奴はすぐに排除すると言ってくれたので、心強いわ。

 朝早くから、入浴やらマッサージやらでグッタリしながらでも、磨き上げられて、その日の午後、私の見合いが始まったのでした。

 最初は、国内の貴族の嫡男で、輸出を大手で引き受けている家で、可も不可もない相手だったわ。

 2人目は、女の子なら誰でもいいと評判のだらしない男で、仕事は出来るし見てくれも良かったけど、性格や言動がバツでした。王太后様が最後にダメ出しをして下さったので、相手の方は私に相応しいのは自分だと渋っていたけれど、穏便に見合いの部屋から追い出せましたの。

「アレはない。」と、「私から、王と宰相に直接伝えておく。」と不機嫌な顔で王太后様も言っていたし、後から支障が出ない様にしてくれると約束してくれました。

 3人目は、前髪の長い、髪を後ろで一つに縛った方でした。

 その実力を買われて、近々、遠隔地に赴任されると話していましたが、王女である私の相手として、自分は相応しくないので辞退したい。でも、上司の勧めで見合い自体はしないとならなかったと話したので、その件はその場で了承し、お断わりをすると約束しました。

 王太后様が護衛の騎士に何かを告げて、部屋を出ていったと思ったら、その騎士が次の見合い相手を連れて来てくれました。

 4人目は、山岳地帯に住む、獣の姿が白虎の、虎の国の王太子様でした。

 王太子様は、番であった婚約者が幼少時に亡くなり、そこから婚約をしていなかったのだそうですが、今回の見合いだけは是非とも受けて欲しいと伯父様からの書簡が届いたそうです。その書簡を読んでから、私の事も調べたそうですが、その時から、会ってみたいと思っていたので、今日会えて嬉しいと伝えてくれました。

 王太后である祖母様もうなずいて、「2人で庭園を散歩してお茶をしてきなさい。庭園にはお茶の用意がしてあります。」と、送り出してもらえました。

 私も、この正直な方の事が何だか凄く気になり、庭園を一緒に散歩する事にしました。

 王太子様は、グレイル・ウェガー様という名でした。
 虎の国は我が国よりも小さい国ですが、虎の国の次代の王になられる方です。兄弟は妹が2人いて、2人共、国内の貴族に嫁いでいるそうです。でも、甥も姪もまだいないと話してくれました。

「グレイル様は今、お幾つなのですか?」

「私は、もう50歳になりますね。成人がもう直ぐの白花姫様とは少しだけ年が離れていますが。」

「そんな事はありませんわ。この前、他国で結婚された王様は、90才近く年齢が離れていたと聞いていますし…。」

 グレイル様が散歩の途中で立ち止まりました。何か、言いたそうにしています。

「実は、ですね…、この見合いをする前に気が急いてしまって、早く着き過ぎてしまったのです。
 それで、皆様よりも早く貴女の事をこっそり見せて頂いたのですよ。

 その時、私の番だと解ったので、他国から来る筈だった方々を断ってもらい、私を見合いの最後の順番にしてもらいました。

 …そんな私を卑怯だと思いますか?」

 わ、私が番?!え?!本当に!?!

「私はこのまま明日にでも、あなたを連れて国へ帰りたいのですが、リンクス王が「是」と頷いてくれません。あなたの気持を優先したいと言うのです。」

「そうですね。私、獅子国の白星皇太子様の番だと小さい頃から言われていましたし、最近まで獅子国にいましたの。
 ですが、実際は違ったのですわ。ただあの国での人質として滞在していただけで、何もありませんでした。その役目も終えまして、帰国したばかりなのです。

 陛下は、その私の気持ちをんで、グレイル様には待つようにと話したのだと思いますの。」

「では、貴女さえ良ければ…。」

「…グレイル様にお会いして、何故だか凄く気になりました。でも、今すぐにはお返事出来ませんわ。私にも考える時間を頂けますか。
 7日間だけ、私と交流しながら、私からの返答を待って頂けませんか。」

「分かりました。元々、あなたと見合いしたら、ここの王城で交流して、返事を待つ事になっていましたので、支障はありません。」

「ありがとうございます。あちらの東屋でお茶を致しませんか?私の選んだ菓子と茶を用意してあると言われていますの。」

「それは楽しみです。」

 その見合いの2人が東屋に入っていくのを見ている者が何人かいた。

 1人は、顔も良く、仕事も出来るが、女性なら誰でもいいと豪語する馬鹿。もう1人は、仕事が出来、将来を期待されているが、前髪が長く、見合いを辞退したストーカー気質の男。

 そのまた後ろに2人の者がいた。

 その男達を見張る王家の影である事と家業の輸入業を両立している、最初に見合いをした貴族の嫡男。と、その隣には王太后がいたのであった。

「あれらが何を言っているか分かるだろうか?」

「ええ。母様、素の話し方が出ていますが良いのですか?
 馬鹿の方が「姫なら、遊んでも見逃してくれそうだし、摘まんだ女共が勝てないと見て、楽なんだけどな。」です。」

「話し方など構わん。アホのストーカー気質の方はどんな感じだろうか?」

「ええと、「ユーイ様もいいけど、こっちも良かったから断らなければよかったかな。家庭内でストーカーし放題だったし。」です。」

「して、そなたはどうであったか?」

「二足の草鞋わらじを履いていますので、家業も手伝えて、影の件を黙っていられる方でないと困りますね。

 姫様なら、いづれそうなったかもしれませんが、私が「姫」と言う立場と、その地位に男として遠慮してしまいそうなので、不可ですか、ね。」

「私はそなたでも良かったのだがな。」

「番だと言う執着を白花にみせる、あの王太子様を押し退けてまでなんて、私には無理ですよ。」

「そなたの子をショウとユーイの子の専属の影にどうかとまで考えていたのだがな。そなたの子なら、あの子達の子の影武者まで出来そうだったのにな。残念だ。」

、そこまでの無茶を言わないで下さい。兄上が王弟であった義兄の件で悲鳴を上げそうになっているのですよ。」

「済まない。王弟は、側妃であった者と先々王の血が少しは流れている者の間に産まれているからと様子見していたのだが、やっぱり駄目であったか。

 あの王弟の母である側妃は、その実家共々、王家の持つ権力を欲していた強い家であった。だから、先王様が一度も訪れなかったのだ。

 先王様の側妃は2人いたのだ。政治的に反発しないようにと仕方なく迎えただけで、一度たりとも通いもしなかったが。

 だから、先王様と他の側妃が王兄であった者を人工授精で産んだ辺りで、私とも他の側妃とも話もしなくなり、部屋から出なくなったった。

 自分だけ、子供が産めないのだと焦ったのだろう。

 側妃の実家がこっそりと先王様と色味が近い男を探し出し、秘密裏に」側妃の元へと何度か通わせて、子をなしたのだ。

 側妃は王の子を産んだとうそぶいて自慢をしたのだが、先王様が一度も通わぬ女の所に王の子は出来ぬ。

 聖獣様も側妃の事実を教えてくださったのもあり、側妃とその相手とその一族の者共は残らず処刑されたのだ。そんな中、赤子には罪はないと養子に迎えたのだが。

 先王と似ていた男はもともと、番が見つからなかった女好きの先々王の庶子の中のひとりであったし、一応は王家の血をひく者として育てたのだが、結局は駄目であった、か…。

 王弟は、母親であった側妃と同じ気質で、見栄と嘘で塗り固め、権力好きであったようで同じ道を辿ってしまった…。」

「だから、その側妃と同じように権力志向の強い庶子や、その縁者が雇った、どこから来るか分からない暗殺者を避けられるようにと、私を孕んだ事と私が産まれたのを隠す為に、母様は離宮に移り住んだのでしょう。

 私も暗殺を避ける為に教えられた事が性に合っていたので、王家の影となり、兄上と会ったのが成人後でしたからね。…あの時の兄上は見ものでしたね。」

「玉座から転げ落ちて、そなたの手を握りしめに来て、わんわんと泣いておったからな。」

「「死んだと聞かされていた弟が生きていたとは!生きて会えて嬉しい!!」って、号泣していましたからね。
 まぁ、今は亡き白花姫の父である兄上を殺したのも王弟の手の者であった事を最近になって、王弟が自白しましたし、生涯幽閉もそのうち、病死になる日も近いのでしょう?タダ飯食らいを生かしておくのも面倒ですし。」

「ショウとユーイの結婚での恩赦で、解放をしたくはないから、いずれは病死と言う名で始末されるだろう。

 さて、あの2人はどうする?」

「前からアヤシイと思って、見張りを付けてありましたので、引き続き、見張ります。今後は手を広げて調べる事が増えたので、その人員を増やすだけかと。」

「では、頼んだ。」

「父上は、引退してから貰った伯爵の地位で輸出や輸入をする仕事が楽しいと言っていますので、元気ですよ。
 また、離宮へ母上様に会いに行くと言っていました。」

「先王と言っても、する事がないのは暇だから。あの人は動いていないと生きていけないたちだからね。

 訪問を楽しみにしていると伝えてくれればいい。」

 そう言って王太后はその場から去って行ったのだが、そこに残された者は溜め息をついた。

「先王とその王妃は、王様家業を引退しても静かにしてくれないのだから、息子である私は困ってしまいますよ。」と。
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