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ラーン・ビット国編
王太子とその側近が動くと…1
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王家との話し合いの翌日から、第1王子アインハルトに対しては、気ままな黒猫の異名を持つ、ショウ王太子の護衛のリヨウが付いて、騎士達の訓練を見学していた。
ショウとユーイについては、自由自在の猫と呼ばれているロートが護衛を引き受けているので、リヨウは安心している。
それにしても、この国の騎士共は、ナーオ・ロウよりも兵としての練度が低いな。ま、地球では草食と言われている兎と同種なのだから、のんびりする気性なのは仕方ないか。
それでも、兵にもその気性が出ているのか。ちらほらと兎でない獣人もいるのに、活用出来ていないのは勿体ないな。
一通り、兵の訓練が済んだ所へ、アインハルト王子の従僕が俺を呼びに来た。
仕方なさそうに歩いて移動している俺の頭の中に『身代わり人形の映像を思い出せ。そうすれば強くなるニャン。』と、聖獣のクー様からの声が響いた。
「ひっ!」
俺を案内していた従僕の引きつった声が聞こえた気がしたが、無視をした。アインハルト王子の横へ立った。
「今、我が国を訪問されているナーオ・ロウ国の王太子付きの護衛のリヨウ殿である。良い機会だと言って、ショウ王太子殿が私へ案内を頼んだのだ。
皆も、他国の騎士殿に揉まれて、精進して欲しい。」
紹介されたのだから、挨拶をしておくか。
「只今、ご紹介に与りましたリヨウと言います。日頃はショウ王太子様の護衛をしていますが、近衛騎士団長でもあります。
昨日まで馬車の中でしたので、鬱憤が溜まってしまって困っていました。今日から滞在中はこちらで、王太子妃付きの護衛の者と交互に鍛錬をしに来ますので、よろしくお願いします。」
愛想良く、にっかりと笑っておいたが、どうしても真顔になってしまう。聖獣様め!これを狙っていたのか?
「では、多数対1人での模擬戦、魔法なしでという事前の話の通りにしましょう。」
「頼みます。」
「では、10人前へ。リヨウ殿と事前に話をして、決めていたのでな。魔法はなしで。武器は木剣でのみとする!」
「自前の木剣でも構わないか?」
「ああ。その腕前を見せてもらいたい。」
「国じゃ、俺よりも上が何人もいるんだが、な。よっと。」
自前の木剣を帯同していた兼帯から出した。愛用の真剣はブレスレットの中だが、ナイフやその他を隠し持っている。自衛の為にな。
「はじめっ!」
まずは一人、血気盛んな名を上げたいだけの様な奴だ。目が血走っている。自国の王太子の前で、他国の護衛を倒せば、その名を上げれるだろうがな、だがな、そう簡単に倒される訳にはいかないんだよっ!
真っ直ぐ切り込んできた奴の隙を狙って来たのが3人。他6人は様子見か。
切り込んできた奴をいなして、隙を狙って来た3人を突きと回し蹴りと、木剣の柄で、倒した。残りもやって来たので、木剣を受け流して、倒して行く。
何だ、大した事もなく倒せたな。自国ではもっと過酷な訓練なのだから。
「それまでっ!」
おー、おおぅ、最初に切りかかって来た奴は、諦めてなさそうだな。こちらを睨み付けていやがるが、同僚に殴られて、引き連られて行ったな。面倒な。
「さすがだ。リヨウ殿よりも強い者がかの国にはいるのか…。」
何かを考えている様なアインハルト王子を遮るように声をかけた。
「残りの者達も俺と打ち合いたいと、うずうずしている様子。続けてもいいでしょうか?」にっかりと笑顔で。
「ああ。構わない。頼む…。」
面倒な事を考えていないといいのだが。
「王子殿の許可を得た!残りの者も全て来いっ!相手になってやる!魔法はなしだっ!武器は木剣のみとする!」
残りの20人程が一斉に木剣で真剣を持ったような気迫で切りかかってきた!
流して躱して、木剣で打ち据え倒す。蹴りを入れて、木剣の柄の部分をも使って、次々に倒していった。
その場で立っているのが俺だけになった頃、アインハルト王子が打ち込んできた。
卑怯な王子の兄だけに、参加を表明していない王子が真剣で切り込んで来たのだ。ちっ!聖獣様が言いたかったのはこの事か!
あの映像を観た時の怒りを思い出し、真剣を持つ俺に攻撃してくる王子の手や手首を狙って、何度も攻撃と防御を繰り返し、手首の骨を折ってやった。
「卑怯なりっ!参加も表明していない、かつ、木剣でもない者が攻撃をするとは王族の名折れだっ!」
俺がそう叫ぶと、「私も妃も見学していたので、一部始終を最初から最後までを見ていました。」
冷静な声で叫んだショウの声がした。その側にはユーイ様とロートがいた。アマデウス王もファネス王妃もいたんだな。2人は顔を青くしている。
ロートがアインハルト王子を拘束し、ショウも他の護衛に守られながら、真剣を抜いていた。もちろん、ユーイ様を守る為に。
その場で、今この場であった事についての箝口令がアマデウス王の口から即座に敷かれた。
アインハルト王子も廃嫡コースか?また面倒な。
ショウの後ろにいたからか目立ってはいなかったが、王弟様と先王様も護身用にと愛用の真剣を抜いていたみてーだな。
あー、この事態はマズいんじゃないか?先王様が凄みを増した顔でニヤニヤしているぞ。
ショウとユーイについては、自由自在の猫と呼ばれているロートが護衛を引き受けているので、リヨウは安心している。
それにしても、この国の騎士共は、ナーオ・ロウよりも兵としての練度が低いな。ま、地球では草食と言われている兎と同種なのだから、のんびりする気性なのは仕方ないか。
それでも、兵にもその気性が出ているのか。ちらほらと兎でない獣人もいるのに、活用出来ていないのは勿体ないな。
一通り、兵の訓練が済んだ所へ、アインハルト王子の従僕が俺を呼びに来た。
仕方なさそうに歩いて移動している俺の頭の中に『身代わり人形の映像を思い出せ。そうすれば強くなるニャン。』と、聖獣のクー様からの声が響いた。
「ひっ!」
俺を案内していた従僕の引きつった声が聞こえた気がしたが、無視をした。アインハルト王子の横へ立った。
「今、我が国を訪問されているナーオ・ロウ国の王太子付きの護衛のリヨウ殿である。良い機会だと言って、ショウ王太子殿が私へ案内を頼んだのだ。
皆も、他国の騎士殿に揉まれて、精進して欲しい。」
紹介されたのだから、挨拶をしておくか。
「只今、ご紹介に与りましたリヨウと言います。日頃はショウ王太子様の護衛をしていますが、近衛騎士団長でもあります。
昨日まで馬車の中でしたので、鬱憤が溜まってしまって困っていました。今日から滞在中はこちらで、王太子妃付きの護衛の者と交互に鍛錬をしに来ますので、よろしくお願いします。」
愛想良く、にっかりと笑っておいたが、どうしても真顔になってしまう。聖獣様め!これを狙っていたのか?
「では、多数対1人での模擬戦、魔法なしでという事前の話の通りにしましょう。」
「頼みます。」
「では、10人前へ。リヨウ殿と事前に話をして、決めていたのでな。魔法はなしで。武器は木剣でのみとする!」
「自前の木剣でも構わないか?」
「ああ。その腕前を見せてもらいたい。」
「国じゃ、俺よりも上が何人もいるんだが、な。よっと。」
自前の木剣を帯同していた兼帯から出した。愛用の真剣はブレスレットの中だが、ナイフやその他を隠し持っている。自衛の為にな。
「はじめっ!」
まずは一人、血気盛んな名を上げたいだけの様な奴だ。目が血走っている。自国の王太子の前で、他国の護衛を倒せば、その名を上げれるだろうがな、だがな、そう簡単に倒される訳にはいかないんだよっ!
真っ直ぐ切り込んできた奴の隙を狙って来たのが3人。他6人は様子見か。
切り込んできた奴をいなして、隙を狙って来た3人を突きと回し蹴りと、木剣の柄で、倒した。残りもやって来たので、木剣を受け流して、倒して行く。
何だ、大した事もなく倒せたな。自国ではもっと過酷な訓練なのだから。
「それまでっ!」
おー、おおぅ、最初に切りかかって来た奴は、諦めてなさそうだな。こちらを睨み付けていやがるが、同僚に殴られて、引き連られて行ったな。面倒な。
「さすがだ。リヨウ殿よりも強い者がかの国にはいるのか…。」
何かを考えている様なアインハルト王子を遮るように声をかけた。
「残りの者達も俺と打ち合いたいと、うずうずしている様子。続けてもいいでしょうか?」にっかりと笑顔で。
「ああ。構わない。頼む…。」
面倒な事を考えていないといいのだが。
「王子殿の許可を得た!残りの者も全て来いっ!相手になってやる!魔法はなしだっ!武器は木剣のみとする!」
残りの20人程が一斉に木剣で真剣を持ったような気迫で切りかかってきた!
流して躱して、木剣で打ち据え倒す。蹴りを入れて、木剣の柄の部分をも使って、次々に倒していった。
その場で立っているのが俺だけになった頃、アインハルト王子が打ち込んできた。
卑怯な王子の兄だけに、参加を表明していない王子が真剣で切り込んで来たのだ。ちっ!聖獣様が言いたかったのはこの事か!
あの映像を観た時の怒りを思い出し、真剣を持つ俺に攻撃してくる王子の手や手首を狙って、何度も攻撃と防御を繰り返し、手首の骨を折ってやった。
「卑怯なりっ!参加も表明していない、かつ、木剣でもない者が攻撃をするとは王族の名折れだっ!」
俺がそう叫ぶと、「私も妃も見学していたので、一部始終を最初から最後までを見ていました。」
冷静な声で叫んだショウの声がした。その側にはユーイ様とロートがいた。アマデウス王もファネス王妃もいたんだな。2人は顔を青くしている。
ロートがアインハルト王子を拘束し、ショウも他の護衛に守られながら、真剣を抜いていた。もちろん、ユーイ様を守る為に。
その場で、今この場であった事についての箝口令がアマデウス王の口から即座に敷かれた。
アインハルト王子も廃嫡コースか?また面倒な。
ショウの後ろにいたからか目立ってはいなかったが、王弟様と先王様も護身用にと愛用の真剣を抜いていたみてーだな。
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