181 / 207
虎の国、小国群編
魔馬車内での過ごし方3(ユーイ2)
しおりを挟む
ロートに心の内を愚痴ったので、幾分かはスッキリしました…。
それでもショウ様に、私が作った食べ物の差し入れするのを躊躇ってしまいました…。
理由は、ですね、私自身が笑われたのと、勝手に解釈して私を馬鹿にされたから、頭にきたんですよっ!
祖国に戻って来てからも私には余裕がなかったんです!勉強やらマナーやら、王族らしく行動する事とか…!
日本では一庶民だったんですから…!何度、枕に涙を流したか…。
ショウ様がいて、ストレス解消だけの涙を流せないで、違う意味で涙を流し、啼かされていましたけれども。そんな日も多くなって、十分な睡眠時間を確保出来ない日々。
「愛されておいでですね。羨ましいですわ。」「真っ直ぐ立てないほど、寵愛されていますのね。」等々、色々とナーオ・ロウの貴族令嬢達から、遠回しな嫌味やら牽制をされる日々。
ナーオ・ロウの王城でさえ、護衛のロートのおかげで今も無事に生きていられます。
そうです、ヒヤッとした経験が何度もありましたから…。日本人なら寿命をまっとう出来るでしょうが、この世界では日本の庶民ではない危険が色々とあるんです、はい。
だから、王族には聖獣様の加護と、貴族や王族と言う人達には護衛が付いているのでしょうね。ロートを専属護衛にしてくれたワーオランドーラの王様と友人のジャンヌ王妃様に感謝です…。
それなのに、初外交に出れば、移動中も他国の王城滞在中までも、その他の国からやって来た密偵達に何度か命を狙われたり、貞操が狙われたりする予想外な毎日でしたとも!
ええ!水際で被害を食い止めてくださっていたナーオ・ロウから付いてきている騎士達には(リヨウさんとかロートにも)、どんなに感謝したでしょう!
その度に、私の中の何かがゴリゴリと削られていってましたとも!
そこに、どこにいても、どの夜もナーオ・ロウの王城にいた頃と変わらずに、私を交尾で抱き潰すショウ様。
充分に休めないんです…。その上で、私のなけなしのプライドにまで、止めを刺しに来たショウ様を許せない私がいました…。
私だって、普通のただの人です。
出来ない事の方が多いのは十分、自覚しています。それでも努力してきたのはショウ様の隣で同じように微笑みたかったから。
誘拐されないで、ナーオ・ロウで貴族のご令嬢として育っていれば、こんな気持ちにもならなかったかもしれないけれど、ずっとショウ様に対して、何かしらの負い目を感じていました…。
そんな気持ちをショウ様に笑われた事で、私の心がグニャッと折れ曲がってしまったんです。しばらく立ち直れないと思います…。
気晴らしと誤魔化しを兼ねて、何かしらを作ったり、やっていないと、この場から消えてなくなりたくなりますから、動いているんです…。
細い糸の上を歩いているような私の心細さを、生まれながら貴族として育ってきた王太后様や、聖獣として育ってきたクーちゃんには理解して貰えるとは思っていないので、今回は話す事さえ、もちろん、相談さえ、出来る気がしません。
義姉妹になった白花にも話せない事です。
時間や経験が解決してくれるのでしょうけれど、それまで私の心が保てるのかどうかも自分の事なのに、全然、分からない…。
どうすればいいのか、どうすれば正解なのか、誰に聞いたらいいのか、まったく分からないから、動いて誤魔化していかなくちゃ…。
周りに心配をかけたくないから。折角、私を気遣ってくれるようになった人達が出来たんだから。
半分は、どうにでもなーれー!っていう気持ちもあるんだ…。だって、どうにもならないでしょう?
どうにか出来るのは、私自身の気持ちと行動だけだから。
…もちろん、後ろ向きな理由で始めた勉強も欠かさずに続けているし、マナーや王太子妃としての勉強もしているから、誰にも迷惑をかけていないし、かけないようにしています。
…なーんて事をオーブンで鳥の丸焼きモドキ、分かりやすく言えば、ニワトリみたいな食用の鳥を使って、ローストチキン風な物を作っている間に、考えたり、思っていたりしていましたよ…。
んーー!いい匂い!今日の晩御飯に間に合いそう。あと何匹分、焼けば足りるかな?ええと、ひーふぅみぃ…、これだけ焼けたけど、こっちの下拵えが済んでいる分も焼いちゃおうっと。
何匹かを騎士達のおやつに差し入れしよう。騎士達は肉体労働だから、沢山、食べるからなぁ。ついでに、作り置きにしようと作ったサンドウィッチも一緒にして、運ぶのをロートに手伝ってもらおうっと。
「ロート!ロート!いる?」
「お嬢はん、お呼びでっか?」
「差し入れにね、サンドウィッチと丸焼きをおやつに差し入れしたいんだけど、立ち会う人がいないとブレスレットには入れられないでしょ?だから、呼んだの。」
「いい匂いが充満してはるんで、ヨダレが垂れそうですわ!わいとお嬢はんのどっちに入れはりますか?」
「ロートの夜食と食料のストックも兼ねているから、ここのテーブルにある半分だけ、ロートの方に入れちゃって下さいな。」
私が指し示したテーブルの上には、20斤分の各種サンドウィッチ、鳥の丸焼きモドキ40匹分が並んでいました。
半分はロートのブレスレットの中へ、残り半分は私のブレスレットの中に入れました。
この世界は、個人のブレスレットの中に時間を停止させたままで物を入れられるので、日本のラノベでありがちな荷物運びでの問題は余りありません。でもね、個人の魔力量でのブレスレット内の容量が決まっているので、その辺は仕方ないって思っています。
ロートには、脇に除けておいて置いたサンドウィッチと丸焼き1匹分を出して、試食と言う名のおやつをその片付いたテーブルの上で、食べてもらっています。
ロートが凄い勢いで食べてます。凄ーいなぁ。ロートって細マッチョなのに、どこにあんな量の料理が入るんだろう?
見ている間に、ロートが食べ終わりました。
「ご馳走さんでしたわー。美味かったですわー。わいが騎士達に差し入れを持って行っている間は、リヨウはんと交代しますわー。…リヨウはんが来おったわ。」
「おーい、ロート。ユーイ様。良い匂いで我慢出来なくてさ。来ちまったよ。」
扉の向こう側からリヨウさんの声がしました。
ここでは、追加でまだ鳥の丸焼きモドキを焼いているから、良い匂いが廊下には漂っているのかな。台所にいるからか、その辺はよく分からないけど。
「リヨウはんは鼻がイイでんな。お嬢はん、入室許可出していいでっか?」
「はい。許可します。」
「リヨウはん、許可が出ましてん。どうぞー。」
「はっ!入室致します。ロートと護衛をしばしの間、交代します。」
リヨウさんがロートと私の護衛を交代して、リヨウが台所から出ていきました。
私はリヨウさんの分のサンドウィッチと丸焼きを出して、ロートの分の食べた後の片付けと、次の料理の準備を始めました。
何となく、リヨウさんが私の背中を見て何かを言いたそうにしていたのには気付いていたけれど、気が付かない振りをして、白米を炊く準備と、炊き込みご飯を炊く準備をしていました。
次は、ストックする分の各種おにぎりを作らなくっちゃ。おにぎりの具材も用意して。白米と炊き込みご飯も、更に炊かなくっちゃ。更に炊いた分は、炊けたらすぐにストックとして仕舞っておかなくちゃならないし、と。
ロートに出した分よりも多く、リヨウさんの分を用意していたけれど、私と話そうとしてゆっくり食べていたのかもしれないけれど、私も忙しかったので、リヨウさんには食後のお茶のおかわりを出してからも、洗い物やら下拵えや片付けに没頭していました。
「ユーイ様、ごちそうさまでした。今日も美味しかったです。ロートが休憩して戻ってくるまで、俺が護衛していますので、心おきなく料理して下さい。
…ショウには良い薬です。自業自得とも言いますけどね。お二人を見ていたので、いつかはこうなるんだって俺もイッチェンも思っていましたから、気が済むまでやっちゃって下さい。でないと、ショウには理解出来ないでしょうから。良い機会だと思いますよ。」
そう言って、リヨウさんはまたのんびりとお茶を自分で淹れて、飲んでいました。
…そっか。リヨウさんとイッチェンさんは何となく理解してくれているんだ。…良かった。ショウ様を留めてくれる人達がいて。私の気の済むまでって、プライベートの部分って事だよね。
ロートに愚痴を聞いてもらえた分と、リヨウさんとイッチェンさんに少しは事情を理解してもらえている分、私の気持ちが軽くなった気がした。
うん、明日からの差し入れの分は、今までの分よりも更に感謝の気持ちを込めて作ろう。そう思うと、何を作ればいいかと考えるのが楽しくなった。今日まで、半分は感謝だったけど、残り半分は、何かしらの暇つぶし兼ストレス解消だったのだから。
私が一段落した所に、ロートが帰ってきました。
「ロート、戻りました。護衛の交代を告げます。」
「ロートとのユーイ様の護衛の交代を告げる。これからは私が休憩に入ります。
っと、皆、美味いって言ってただろう?足りたのか?」
「そりゃもう!美味いって絶賛するのは当たり前でっせ!あんだけの量があれば、足りますよ。
それに、夜になれば、もう一つの台所でメイド達が作っている晩御飯も食べられるんですから。
あ、お嬢はんの夜食も期待しているって、夜中の当直の当番の騎士達が楽しみにしていましたー!」
「ロート、リヨウさん、いつもありがとうございます。
リヨウさんはイッチェンさんにも、この差し入れをこの後にするんですよね。」
「いつも通りにしますよ。ただし、ショウが居ないのを確認してからだけど。
ショウには差し入れなんて贅沢品だから。差し入れを食べたら、反省しないだろうし、ね。」
「そうでんな。心を入れ替える必要があるんは王太子はんでっせ。ユーイお嬢はんは気にせんでええんですわ。」
「二人のおかげで、気が楽になりました。イッチェンさんも騎士さん達並みに食べるんですよね…。」
「そうなんだよ。身体が鈍るって、剣で素振りをしているからさ。食べるんだよ。」
「そうなんですね。量があるので、食べきれないので言い出せないのかと心配していたんです。」
「大丈夫、大丈夫。心配しないでいいから。お残しがあれば、俺が食べちゃうから。
じゃあ差し入れに行ってきまーす。」
リヨウさんがイッチェンさんの分のおやつを持って、台所から出ていきました。
それでもショウ様に、私が作った食べ物の差し入れするのを躊躇ってしまいました…。
理由は、ですね、私自身が笑われたのと、勝手に解釈して私を馬鹿にされたから、頭にきたんですよっ!
祖国に戻って来てからも私には余裕がなかったんです!勉強やらマナーやら、王族らしく行動する事とか…!
日本では一庶民だったんですから…!何度、枕に涙を流したか…。
ショウ様がいて、ストレス解消だけの涙を流せないで、違う意味で涙を流し、啼かされていましたけれども。そんな日も多くなって、十分な睡眠時間を確保出来ない日々。
「愛されておいでですね。羨ましいですわ。」「真っ直ぐ立てないほど、寵愛されていますのね。」等々、色々とナーオ・ロウの貴族令嬢達から、遠回しな嫌味やら牽制をされる日々。
ナーオ・ロウの王城でさえ、護衛のロートのおかげで今も無事に生きていられます。
そうです、ヒヤッとした経験が何度もありましたから…。日本人なら寿命をまっとう出来るでしょうが、この世界では日本の庶民ではない危険が色々とあるんです、はい。
だから、王族には聖獣様の加護と、貴族や王族と言う人達には護衛が付いているのでしょうね。ロートを専属護衛にしてくれたワーオランドーラの王様と友人のジャンヌ王妃様に感謝です…。
それなのに、初外交に出れば、移動中も他国の王城滞在中までも、その他の国からやって来た密偵達に何度か命を狙われたり、貞操が狙われたりする予想外な毎日でしたとも!
ええ!水際で被害を食い止めてくださっていたナーオ・ロウから付いてきている騎士達には(リヨウさんとかロートにも)、どんなに感謝したでしょう!
その度に、私の中の何かがゴリゴリと削られていってましたとも!
そこに、どこにいても、どの夜もナーオ・ロウの王城にいた頃と変わらずに、私を交尾で抱き潰すショウ様。
充分に休めないんです…。その上で、私のなけなしのプライドにまで、止めを刺しに来たショウ様を許せない私がいました…。
私だって、普通のただの人です。
出来ない事の方が多いのは十分、自覚しています。それでも努力してきたのはショウ様の隣で同じように微笑みたかったから。
誘拐されないで、ナーオ・ロウで貴族のご令嬢として育っていれば、こんな気持ちにもならなかったかもしれないけれど、ずっとショウ様に対して、何かしらの負い目を感じていました…。
そんな気持ちをショウ様に笑われた事で、私の心がグニャッと折れ曲がってしまったんです。しばらく立ち直れないと思います…。
気晴らしと誤魔化しを兼ねて、何かしらを作ったり、やっていないと、この場から消えてなくなりたくなりますから、動いているんです…。
細い糸の上を歩いているような私の心細さを、生まれながら貴族として育ってきた王太后様や、聖獣として育ってきたクーちゃんには理解して貰えるとは思っていないので、今回は話す事さえ、もちろん、相談さえ、出来る気がしません。
義姉妹になった白花にも話せない事です。
時間や経験が解決してくれるのでしょうけれど、それまで私の心が保てるのかどうかも自分の事なのに、全然、分からない…。
どうすればいいのか、どうすれば正解なのか、誰に聞いたらいいのか、まったく分からないから、動いて誤魔化していかなくちゃ…。
周りに心配をかけたくないから。折角、私を気遣ってくれるようになった人達が出来たんだから。
半分は、どうにでもなーれー!っていう気持ちもあるんだ…。だって、どうにもならないでしょう?
どうにか出来るのは、私自身の気持ちと行動だけだから。
…もちろん、後ろ向きな理由で始めた勉強も欠かさずに続けているし、マナーや王太子妃としての勉強もしているから、誰にも迷惑をかけていないし、かけないようにしています。
…なーんて事をオーブンで鳥の丸焼きモドキ、分かりやすく言えば、ニワトリみたいな食用の鳥を使って、ローストチキン風な物を作っている間に、考えたり、思っていたりしていましたよ…。
んーー!いい匂い!今日の晩御飯に間に合いそう。あと何匹分、焼けば足りるかな?ええと、ひーふぅみぃ…、これだけ焼けたけど、こっちの下拵えが済んでいる分も焼いちゃおうっと。
何匹かを騎士達のおやつに差し入れしよう。騎士達は肉体労働だから、沢山、食べるからなぁ。ついでに、作り置きにしようと作ったサンドウィッチも一緒にして、運ぶのをロートに手伝ってもらおうっと。
「ロート!ロート!いる?」
「お嬢はん、お呼びでっか?」
「差し入れにね、サンドウィッチと丸焼きをおやつに差し入れしたいんだけど、立ち会う人がいないとブレスレットには入れられないでしょ?だから、呼んだの。」
「いい匂いが充満してはるんで、ヨダレが垂れそうですわ!わいとお嬢はんのどっちに入れはりますか?」
「ロートの夜食と食料のストックも兼ねているから、ここのテーブルにある半分だけ、ロートの方に入れちゃって下さいな。」
私が指し示したテーブルの上には、20斤分の各種サンドウィッチ、鳥の丸焼きモドキ40匹分が並んでいました。
半分はロートのブレスレットの中へ、残り半分は私のブレスレットの中に入れました。
この世界は、個人のブレスレットの中に時間を停止させたままで物を入れられるので、日本のラノベでありがちな荷物運びでの問題は余りありません。でもね、個人の魔力量でのブレスレット内の容量が決まっているので、その辺は仕方ないって思っています。
ロートには、脇に除けておいて置いたサンドウィッチと丸焼き1匹分を出して、試食と言う名のおやつをその片付いたテーブルの上で、食べてもらっています。
ロートが凄い勢いで食べてます。凄ーいなぁ。ロートって細マッチョなのに、どこにあんな量の料理が入るんだろう?
見ている間に、ロートが食べ終わりました。
「ご馳走さんでしたわー。美味かったですわー。わいが騎士達に差し入れを持って行っている間は、リヨウはんと交代しますわー。…リヨウはんが来おったわ。」
「おーい、ロート。ユーイ様。良い匂いで我慢出来なくてさ。来ちまったよ。」
扉の向こう側からリヨウさんの声がしました。
ここでは、追加でまだ鳥の丸焼きモドキを焼いているから、良い匂いが廊下には漂っているのかな。台所にいるからか、その辺はよく分からないけど。
「リヨウはんは鼻がイイでんな。お嬢はん、入室許可出していいでっか?」
「はい。許可します。」
「リヨウはん、許可が出ましてん。どうぞー。」
「はっ!入室致します。ロートと護衛をしばしの間、交代します。」
リヨウさんがロートと私の護衛を交代して、リヨウが台所から出ていきました。
私はリヨウさんの分のサンドウィッチと丸焼きを出して、ロートの分の食べた後の片付けと、次の料理の準備を始めました。
何となく、リヨウさんが私の背中を見て何かを言いたそうにしていたのには気付いていたけれど、気が付かない振りをして、白米を炊く準備と、炊き込みご飯を炊く準備をしていました。
次は、ストックする分の各種おにぎりを作らなくっちゃ。おにぎりの具材も用意して。白米と炊き込みご飯も、更に炊かなくっちゃ。更に炊いた分は、炊けたらすぐにストックとして仕舞っておかなくちゃならないし、と。
ロートに出した分よりも多く、リヨウさんの分を用意していたけれど、私と話そうとしてゆっくり食べていたのかもしれないけれど、私も忙しかったので、リヨウさんには食後のお茶のおかわりを出してからも、洗い物やら下拵えや片付けに没頭していました。
「ユーイ様、ごちそうさまでした。今日も美味しかったです。ロートが休憩して戻ってくるまで、俺が護衛していますので、心おきなく料理して下さい。
…ショウには良い薬です。自業自得とも言いますけどね。お二人を見ていたので、いつかはこうなるんだって俺もイッチェンも思っていましたから、気が済むまでやっちゃって下さい。でないと、ショウには理解出来ないでしょうから。良い機会だと思いますよ。」
そう言って、リヨウさんはまたのんびりとお茶を自分で淹れて、飲んでいました。
…そっか。リヨウさんとイッチェンさんは何となく理解してくれているんだ。…良かった。ショウ様を留めてくれる人達がいて。私の気の済むまでって、プライベートの部分って事だよね。
ロートに愚痴を聞いてもらえた分と、リヨウさんとイッチェンさんに少しは事情を理解してもらえている分、私の気持ちが軽くなった気がした。
うん、明日からの差し入れの分は、今までの分よりも更に感謝の気持ちを込めて作ろう。そう思うと、何を作ればいいかと考えるのが楽しくなった。今日まで、半分は感謝だったけど、残り半分は、何かしらの暇つぶし兼ストレス解消だったのだから。
私が一段落した所に、ロートが帰ってきました。
「ロート、戻りました。護衛の交代を告げます。」
「ロートとのユーイ様の護衛の交代を告げる。これからは私が休憩に入ります。
っと、皆、美味いって言ってただろう?足りたのか?」
「そりゃもう!美味いって絶賛するのは当たり前でっせ!あんだけの量があれば、足りますよ。
それに、夜になれば、もう一つの台所でメイド達が作っている晩御飯も食べられるんですから。
あ、お嬢はんの夜食も期待しているって、夜中の当直の当番の騎士達が楽しみにしていましたー!」
「ロート、リヨウさん、いつもありがとうございます。
リヨウさんはイッチェンさんにも、この差し入れをこの後にするんですよね。」
「いつも通りにしますよ。ただし、ショウが居ないのを確認してからだけど。
ショウには差し入れなんて贅沢品だから。差し入れを食べたら、反省しないだろうし、ね。」
「そうでんな。心を入れ替える必要があるんは王太子はんでっせ。ユーイお嬢はんは気にせんでええんですわ。」
「二人のおかげで、気が楽になりました。イッチェンさんも騎士さん達並みに食べるんですよね…。」
「そうなんだよ。身体が鈍るって、剣で素振りをしているからさ。食べるんだよ。」
「そうなんですね。量があるので、食べきれないので言い出せないのかと心配していたんです。」
「大丈夫、大丈夫。心配しないでいいから。お残しがあれば、俺が食べちゃうから。
じゃあ差し入れに行ってきまーす。」
リヨウさんがイッチェンさんの分のおやつを持って、台所から出ていきました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる