2 / 134
第一部
ポチタロウ、回想する(前)
しおりを挟む僕ら勇者パーティ4人は、5歳の時にお城に連れてこられて、6歳で魔王討伐の旅に出た。
「え? 6歳で魔王討伐!?」
・・・なんて、最初は耳を疑ったけど、そこには理由があった。世界的に高名な預言者が、こう書き記したのだ。
魔王を倒せるのは、次の者のみ。
ー 四大精霊を宿した、4人の聖徒 ー
大精霊を宿せるのは、次の者のみ。
ー 精通前、もしくは初潮前の男女 ー
聖徒たる資格があるのは、次の者のみ。
ー 童貞、または処女 ー
どんな預言だよ。どんなペド縛りだよ。そんで。その預言を採用するのかよ。(僕はこれを聞いた時に、そうツッコんだ。)
預言書には、さらに細かい指示や注意書きが、何枚もあって、その条件に見合う者だけが、お城に連れてこられたという。その数4人。ドラ○エなんかで定番の人数だ。
ちなみに僕はこの「お城に連れてこられた時」に前世の記憶を取り戻した。いわゆる「異世界転生者」だ。
ーーーーーー
「ポチタロウ殿、聞こえておられますか?」
「へ・・・?」
「・・・ポチタロウ殿?」
記憶を取り戻して気がついたら、大きなお城で、小さな身体になっていた。お尻のあたりはモフモフで、見るとそこには、尻尾。どうやら僕の尻尾らしい・・・。なんか動く・・・。
他のみんなが、話を聞き、相づちを打ったり、神妙な顔をしている中、僕だけ一人、ワニワニ大パニック。
動転して、質問しては、偉い人達の話の腰をポキポキ、ポキポキ、へし折りまくってしまった・・・。その説は、ほんと、すみませんでしたm(_ _)m
話自体は、5歳から6歳まで、訓練を受けて魔王討伐に出る・・・なんかそんな感じの内容だった。
僕以外で選ばれたのは、3人の女の子。人間、エルフ、ドワーフ。みんな種族は違えども、みんな幼くて可愛かった。
僕はこの時、この世界に来て初めて、未来に希望を持った。・・・いろんな意味で。
僕だけ何故か、男で、何故か僕だけ、異世界転生者。5歳頃の前世の体に、犬っぽい耳と尻尾付き。種族は獣人。名前はポチタロウ・・・。
・・・・・ポチタロウて・・・。
・・・・・獣人て・・・。
当時の僕は、いくぶんか嘆いた。さすがにもう慣れたけどね・・・。
こうして僕は、異世界ものでありがちな、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で、3人の可愛い仲間達とめぐり会ったのだった。
■■■■■■
□□□□□□
僕らはお城での謁見の後、すぐに大精霊の力を宿された。そんでもって5歳から6歳まで、様々な指導を受けた。
野営方法、火起こし。料理に洗濯・・・。簡単な作法に、地図の読み方、初歩の性教育に、性的禁則事項、旅での精霊魔法の活用方法・・・等々。僕らはとにかく、学んだ。
預言の内容が内容だけに「性的禁則事項」の縛りは特に厳しかった。
万が一でも穢れないように・・・と。冒険中の、大人達との接触が禁じられた。
「動物を乗り物にする」なんてことすらNGだった。発情した動物にいわゆる、ぶっかけとかされたら精霊の力が乱れるとかなんとか・・・。
僕らは自力で、それこそ自分たちの足で、魔王の元へたどりつく必要があると思い知った。
「この4人で、なんとかしなきゃ・・・だねぇ・・・。」
「おー! 一緒に頑張るゾ。」
「おー」
おのずと、責任感と団結力が芽生えていった。僕らは大精霊の加護の元、ぐんぐん強くなり、若さの加護? の元、知識もどんどん吸収していった。
一年が過ぎ・・・。
特訓が終わると、各国の偉い人達が、成果を見に来た。僕らは精霊の力を、苦もなく操って見せた。すぐさまゴーサインが出て、魔王討伐へと出発することになった。
濃厚だった一年に反比例するかのように、あっさりと、出発は決まった。
僕がチャ○ズだったら、あまりの展開の早さに、ここらへんでもう置いて行かれていたことだろう・・・。(でも僕は、チ○オズじゃなくて、ポチタロウだった)
ーーーーーー
旅立ちの際。
「案内役」として、新たな仲間が、パーティーに加わった。
名前はリリ。小さな妖精さんで、体長25センチくらい。赤髪、赤目。良く飛び回る元気っ子だ。
勝ち気な感じだけど、リリも他の子に負けず劣らず可愛い子だった。冒険に出発する前に、さいかわロリパーティー(僕以外)が完成した。
「あたしにまっかせなさーいっ!無事に魔王のところまで、連れてってあげる!」
「まかせて大丈夫かな?」なんて、逆に心配になる、そんなリリの言葉と共に、僕らの冒険は始まった。
■■■■■■
□□□□□□
「こっちこっちーー!」
「お。本当だ・・・。」
「リリ、すっごーーい!」
「ふっ、ふーーん♪」
「リリ、また、調子のってる・・・」
リリの道案内と、事前に聞いていた数々の預言のおかげで、旅の道中で迷うことはなかった。
敵の強さも魔王の城に近づくたびに、徐々に上がっていく、テンプレ的展開で、僕らもそれに合わせて、強くなっていけた。
「これって、一本道RPG?」
・・・ってくらいに基本、順調だった。
リリだけは、ちょくちょく、先行しすぎて、たまに魔物に捕捉された。調子に乗ると道案内を頑張りすぎるのだ・・・。
何故かリリは、必ず「むんず」と体を捕まれる。その度に僕は、全速力で魔物に突っ込んで行くことになった・・・。「妖精陵辱イベント」を目の前で見せつけられるなんて、まっぴらごめんだったからね。
「ごめんね、ポチ・・・。」
捕まるたびに殊勝になるリリだったが、3羽ばたきもすれば、忘れた・・・。ちっちゃな妖精さんは、なんというか、アホの子だった。
ーーーーーー
僕らの冒険は「移動」が、かなりの時間を占めた。文明的な移動手段は発達してなかったし、転移の魔法なんてのもなかった。
預言書で、細かく指示がされていたので、やっぱり僕らに乗れる乗り物もなかった。・・・なので基本、てくてくと、歩いていくことになった。
「乗り物に乗って、優雅に旅をしてみたいねぇ。」
・・・冒険の当初こそ、こんな話をみんなとしていたのだけれども・・・。
幸いなことに大精霊の力で、僕らの足は早く、疲れのたまりは遅かった。最終的には「街道を歩いてて、馬車を追い抜く」くらいの速度になった。僕がIKK○さんなら「大精霊さんどんだけー」って、言ってたと思う。(でも僕はIKK○さんじゃなくて、ポチタロウだった)
とにもかくにも。
僕らは魔王城への道を、一歩ずつ踏みしめていった。
・・・ただし、すごい速度で。
■■■■■■
□□□□□□
1年8ヶ月の歳月をかけて、僕らは魔王の城にたどりついた。ギリギリの戦いを強いられたけど、なんとか魔王も倒せた。ここまで来る間に、培ってきた経験や技術、連携が生きた。
「グボァァァァァァーーーーッッッッ!!!!!」
魔王の断末魔が大地を轟かした。
・・・
・・・
・・・
「やっっ・・・たぁーーー!」
「わふー!」
「おー。」
「・・・勇者さま・・・。」
僕らは魔王を倒して歓声をあげ、ひとしきりみんなで労いあった。そして、一息ついたところで、僕は気づいた。
「・・・。あれ?帰りも徒歩?・・・。」
そうなのだ。魔王城から、最初のお城に帰るのも、普通に歩いて帰る必要があったのだ。いや。当たり前なんだけどね? それでもちょっとシュールに感じた。ゲームなら「ぎゅーん」で、お城だものねぇ・・・。
「ポチタロ? どうした? お腹減ったか?」
「いこ。ポチにぃ。あったか、おふとん、待ってるよ。」
・・・仲間達が呼んでる。
うん。しょーもないことで、たそがれてる場合じゃなかったね。
一緒に歩いてきた。一緒に歩いてく。
「・・・帰ろっか。」
「「「うん!」」」
「おー。」
そうして僕らは、帰路を歩き始めた。
・・・ゆっくりと、踏みしめるように。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる