天才の天才による天才のための異世界

野良子猫

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セシア・ルカリア

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「……」

「カズヤさんどうしたんです? 美人過ぎて声も出ませんか?」

 フランの言葉に和也は気を取り戻す。

「あっ、い、いや、良い取引相手を紹介するとは言ってたけど、予想を超えた相手に驚いただけだ」

 ――まさか、姫が取引相手とは思ってなかった……あ、やべぇ、変な汗かいてきた

 するとリリが和也の肩を叩き後ろを向いて相手に聞こえないように話す。

「ちょっとどうすんのよ。相手がセシア姫なんて聞いてないんだけど!」

「俺だって聞いてねえよ。おい、どうすんだ? 高値で売ろうものなら無理やり奪うことができる相手だぞ……あ、ちょっと緊張してお腹痛くなってきた。リリ、後は頼む」

「何一人で逃げようとしてんのよ。逃がさないわよ」

 後ろを向いてコソコソ話している二人に銀髪の男がものすごい剣幕で口を開く。

「おい! いつまでしゃべっている。早く始めるぞ。姫はあんたらと違って忙しんだ」

 二人はすぐさま前を向き、姿勢を正す。
 そんな二人を見てセシアは笑みを浮かべて話す。

「そんなに畏まらなくてもよろしいですよ。今は同等の立場なのですから。それにあなた方のことは聞いてますので自己紹介も不要ですよ」

 ――そんなこと言われても横のやつがめっちゃ怖いんですけど! 何あいつ? 俺がなんかした? もしかしてさっき緊張のあまり屁したのばれた? ウソ!? 音だしてないよ!? そんなに臭い!?

「あの……」

「ひゃい!?」

 セシアの急な問いかけに、和也は変な声を出してしまった。

「それでは本題に戻しましょう。はっきり言ってわたくしは宝剣に興味はありません」
 
 セシアは和也の方をじっと見つめ続ける。

「わたくしがほしいのはあなたです。カズヤさん」

「……は?」

 和也は何を言っているかわからなかった。が、とりあえず話を聞くことにした。

「今この国は戦争に負け大変な状況下にあります。今はなんとか耐えていますが、いつ領土を奪われるかわかりません。ですから、あなたの力が必要なんです!」

「なんでおれ……なぜ自分なのですか?自分にはそんな大層な力など持っておりません」

 和也の返答を聞き、銀髪の男はセシアを説得する。

「姫、やはりやめましょう。こんな男に国を救うのは無理です」

 その言葉に和也は自慢顔で答える。

「おい、何勝手に無理と決めつけてんだよ。こう見えても諦めの速さと体力の無さには自信があるんだぜ?」

「説得力皆無なんですけど!?」

 和也の内容と表情が一致してないセリフにリリはツッコミを入れる。
 だが、リリも疑問思っていることを質問する。

「でも、なぜカズヤ何ですか? 姫は和也とは初対面ですよね?」

 リリの質問にセシアは理由を話す。

「視えたのです」

「視えた?」

「はい。わたくしの神通力は未来視――つまり未来が見えるのです。そこでわたくしは、あなたが我が軍を率いて王国を勝利に導く光景を見ました。最初はあなたのことは知りませんでしたが、大通りを通った時にあなたを見かけ、何とかコンタクトを取ろうと、彼に依協力してもらったのです」

 そう言って、セシアはフランの方を見つめる。
 フランは頭を掻きながら事情を話す。

「いや~そういうわけだったんですけど、いざ取引を餌に話しかけたも全然取り合ってくれないんで格好焦りましたよ。でも、その時、家を探してると知ってこれはチャンスと思いまして、家探しも手伝ったわけです」

「ん? でも、出会ったとき俺が家を探してること教えてないよな? なんでその時点で知ってたんだ?」

 和也の疑問にフランは胸に手を当て自慢顔で答える。

「ズバリ! 僕の神通力なんです。僕の神通力は相手の望みが分かるんです!」

 ――なるほどな。あの時から家は欲しかったわけだからフランにはわかったんだな。だから、図書館に現れた。情報屋のくせにやってることは不動産屋と思ったら、下準備してから来やがったな。それに家を買うときさらっと金を出してたが、三十万とはいえ大金は大金だ。おそらく国から前金をもらってたんだろう

 和也はフランの力を理解し、セシアの方に視線を向ける。

「で、仮に姫の言ったことが本当だったとして、さすがに無理ですよ。国を救えとか言われましても」

「ですが、実際に会って確信しました。あなたならこの国を救えると……あなたには可能性を感じるのです」

 なんだその明確じゃない理由はと思ったが、和也は口にしなかった。なんせ先程からすごい形相でこちらを睨んでいるものがいる。

「そういえば隣の人の名前をまだ聞いてなかったんだけど……」

「カリファーだ」

「え? あ、そ、そう」

 少しでも機嫌を良くしようと話題を振ったが、一瞬で終わった。
 和也はカリファーの機嫌取りは諦めることにした。

「でもフラン。誓約の儀はどうすんだ?」

「現に今誓約を果たしてるではないですか。ただし、誓約の儀はあなたをここに連れて来させるための鎖です。だから、剣の売値の二割の提供ではなく、次の取引の参加という曖昧な条件にしたんです。もちろんあなたが来なかった場合も、誓約破棄の条件であなたの権利は僕のものですから、どのみち連れて来られるんですけどね。僕も自分の目的のために必死だったので」

「フランの目的? 金じゃねぇのか?」

「それもありますが、僕は騎士になるのが夢だったんです。ですが、生憎腕っ節には自身がないもので諦めてたんです。そこでセシア姫に出会ったんです」

「なるほど、俺を引き込むことができればフランも騎士団に入れてやると言われてんだな。そして、どっちに転んでも逃げ場のない誓約をかけたわけか。まんまとはめられたよ」

「簡単に相手の提供した誓約書にサインしないほうがいいですよ」

「お前に言われるとすげぇ腹立つ。ったく仕方がねぇな」

「では、力を貸してくれるのですね!」

 セシアが嬉しそうにしている。が、和也は乗り気でない。戦場で死と隣り合わせの生活を送るか他の人に宝剣を売って大金で余生を謳歌するとなれば明らかに後者を選ぶ。
 それにリリもあまり良い反応はしていない。
 だが、和也には逃げ道が無い。

「ですが、誓約では取引扱いになってる。俺がそちらに手を貸すとして、あなたは何をくれるのですか?」

 今まで戦争とは無縁だった上、それほど強いわけでもないのにわざわざ死にに行く奴はいない。
 和也の返答にセシアは下を向き、それを見てカリファーが睨みつけ、思わず目をそらした。
 するとセシアは何かを決意した顔つきになり再び和也と目を合わせる。

「わかりました。見返りを提示すれば引き受けてくれますか?」

「見返り?」
 
「では、わたくしの話になっていただけるのでしたら、あなたの望みをなんでも叶えましょう」

 セシアの出した条件に和也の眉はピクリと反応した。そして真剣な表情で答える。

「なんでも……今そう言いましたよね?」

「え、ええ」

 和也は、目を見開き条件に対する要求をする。

「なら、俺の要求はただ一つ……」

 その場に緊張が走った。リリを除いては……

「俺に国を救って欲しいなら……胸を揉ませッゴフ!?」

 和也の頭にリリの拳骨が炸裂する。

「やっぱりか!! あんたの思考パターンがなんとなく分かって来たわ」

「痛ぇな。何すんだよ。これからいいとこなのに」

「一国の姫にどんな要求してるの! 馬鹿なの? 死ぬの?」

「死ぬわけねぇだろ。俺はこの手にその柔らかみを味わうまでは絶対に死なん!」

「なんなのその覚悟!?」

「それに対した要求してねぇだろ。胸くらい。別に一発****してくれとか、姫の****を**させてくれとか言ってねぇし」

「もう許さん! 今すぐそこに直れ! 切り捨てやる!」

 さすがに堪忍袋の尾が切れたカリファーは和也に剣を向ける。フランとリリは必死に止めに入り、和也もすかさず謝罪を繰り返しカリファーをなだめる。
 四人が騒がしい中、セシアは顔を赤らめて答える。

「あの……」

四人はセシアの方に視線を向ける。セシアは恥ずかしそうにしながら――

「わ……わかりました。わたくしの……胸でよろしければ……好きなだけ……お触り……ください」

「え? 今なんて?」

 小声のあまり上手く聞き取れなかった。セシアは吹っ切れたように大声で叫ぶ。

「好きなだけお触りくださいと申しましたの!! 二度も言わせないでください!!」

 四人が全員が言葉を失った。和也自身も、七割型冗談のつもりだったので、さすがにどう答えたらいいかわからなかった。
 だが、ただ一つ分かったことがある。
 セシア・ルカリアは国を第一に思い、そして自滅するタイプだと言うことを――

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