26 / 69
第二章
「えええ!?最下層までいかれたんですか!?」
しおりを挟む
ナイとアルベルトたちが出会った次の日。
王都の冒険者ギルドでは、一番忙しい時間を終えようとしていた。
通常、冒険者ギルドは朝の新しい依頼が貼りだされた直後が一番忙しい。
依頼を受けるのは早い者勝ちで、良い依頼はすぐに無くなってしまうからだ。
当然ながら窓口もその時間が一番混雑し、広いギルドが狭く感じるほどの長い列ができるほどだった。
そんな混雑する時間も過ぎ、昼下がりのまったりとした時間になろうとした時に、一つのパーティーが入ってきた。
アルベルトに引き連れられた、初心者パーティーとナイだ。
誰の目から見ても、引率者付きの初心者パーティーで、ナイもそれに紛れていた。
よくある初心者パーティーが引率者に連れられていることはよくある光景のため、周りにいた職員や冒険者たちも一瞥しただけで気にも留めなかった。
彼らはまっすぐに職員のいる窓口に進んでいく。
「素材の買取をお願いしたい」
「あら、アルベルトさん。今回はダンジョンに行かなかったんですか?」
アルベルトが声をかけると、窓口にいた女性職員が尋ねてくる。
「いや、ダンジョンに行ってきた。買取の後に報告もあるんだが、いいだろうか?」
「はい。大丈夫ですよ?」
女性局員は肯定しながらも、不思議そうな表情を浮かべた。
それもそのはず、初心者用ダンジョンであるゴブリンダンジョンの、初心者に許可された階層までだと買取できるものが無いはずだからだ。
ゴブリンから取れる素材は質が悪く、無理して加工したとしても加工費の方が高くなってしまうために誰も買い取らないのである。
ダンジョン外のゴブリンなら討伐依頼が出て報酬がもらえることもあるが、ダンジョンではそういったこともない。
ゴブリンダンジョンが初心者ばかりで、他の冒険者がほとんど入らないのもそういった理由があった。
「まず、これの査定を頼む」
アルベルトたちは窓口のテーブルの上に袋を載せる。
ロウを染み込ませた防水の袋で、解体した素材を入れるためのものだ。
それが人数分の六つ。どれもいっぱいまで中身が詰まっていた。
「これは?」
「スプリガンの素材だ」
「えっ?」
女性職員は短く疑問の声を上げた。
「ゴブリンダンジョンの最下層にいた」
「えええ!?最下層までいかれたんですか!?」
アルベルトの坦々とした言葉に反して、女性職員は思わず、悲鳴のような叫びをあげた。
そのことで、冒険者ギルド内にいたすべての人の注目を浴びてしまう。
アルベルトはこうなることを予測していたため、頬を引きつらせながらも自分たちに集まる視線を無視し続けた。
「報告というのはそのことなんだ。上層にまで彷徨える落とし穴が出た」
「え!?彷徨える落とし穴!!?それは……すみません!少しお待ちください。ギルドマスターに報告してきます!」
そう言って、アルベルトの返答も聞かずに女性職員は慌てて奥へと走っていく。
比較的安全に初心者を育てられる場所だったのに、それが崩れたのだ。
一大事である。
周囲にいた冒険者たちも口々に驚きの声を上げ、冒険者ギルドは騒然とした。
王都の冒険者ギルドでは、一番忙しい時間を終えようとしていた。
通常、冒険者ギルドは朝の新しい依頼が貼りだされた直後が一番忙しい。
依頼を受けるのは早い者勝ちで、良い依頼はすぐに無くなってしまうからだ。
当然ながら窓口もその時間が一番混雑し、広いギルドが狭く感じるほどの長い列ができるほどだった。
そんな混雑する時間も過ぎ、昼下がりのまったりとした時間になろうとした時に、一つのパーティーが入ってきた。
アルベルトに引き連れられた、初心者パーティーとナイだ。
誰の目から見ても、引率者付きの初心者パーティーで、ナイもそれに紛れていた。
よくある初心者パーティーが引率者に連れられていることはよくある光景のため、周りにいた職員や冒険者たちも一瞥しただけで気にも留めなかった。
彼らはまっすぐに職員のいる窓口に進んでいく。
「素材の買取をお願いしたい」
「あら、アルベルトさん。今回はダンジョンに行かなかったんですか?」
アルベルトが声をかけると、窓口にいた女性職員が尋ねてくる。
「いや、ダンジョンに行ってきた。買取の後に報告もあるんだが、いいだろうか?」
「はい。大丈夫ですよ?」
女性局員は肯定しながらも、不思議そうな表情を浮かべた。
それもそのはず、初心者用ダンジョンであるゴブリンダンジョンの、初心者に許可された階層までだと買取できるものが無いはずだからだ。
ゴブリンから取れる素材は質が悪く、無理して加工したとしても加工費の方が高くなってしまうために誰も買い取らないのである。
ダンジョン外のゴブリンなら討伐依頼が出て報酬がもらえることもあるが、ダンジョンではそういったこともない。
ゴブリンダンジョンが初心者ばかりで、他の冒険者がほとんど入らないのもそういった理由があった。
「まず、これの査定を頼む」
アルベルトたちは窓口のテーブルの上に袋を載せる。
ロウを染み込ませた防水の袋で、解体した素材を入れるためのものだ。
それが人数分の六つ。どれもいっぱいまで中身が詰まっていた。
「これは?」
「スプリガンの素材だ」
「えっ?」
女性職員は短く疑問の声を上げた。
「ゴブリンダンジョンの最下層にいた」
「えええ!?最下層までいかれたんですか!?」
アルベルトの坦々とした言葉に反して、女性職員は思わず、悲鳴のような叫びをあげた。
そのことで、冒険者ギルド内にいたすべての人の注目を浴びてしまう。
アルベルトはこうなることを予測していたため、頬を引きつらせながらも自分たちに集まる視線を無視し続けた。
「報告というのはそのことなんだ。上層にまで彷徨える落とし穴が出た」
「え!?彷徨える落とし穴!!?それは……すみません!少しお待ちください。ギルドマスターに報告してきます!」
そう言って、アルベルトの返答も聞かずに女性職員は慌てて奥へと走っていく。
比較的安全に初心者を育てられる場所だったのに、それが崩れたのだ。
一大事である。
周囲にいた冒険者たちも口々に驚きの声を上げ、冒険者ギルドは騒然とした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
196
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる