断罪の華は夜に散る

はるまき

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7章

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ヴァルターの鋭い一撃が私の前髪をかすめ、空を切った。

カイルは素早く私の盾となり、ヴァルターの剣を受け止める。

金属のぶつかる音が響き渡り、その場に緊張感が一層広がる。

「リリアーナ様、私が道を切り拓きます。どうかお逃げください!」
「馬鹿な、この精鋭兵と、私を掻い潜れるとでも?」

カイルが私に向けて叫ぶ。

しかし、私はここで引くわけにはいかない。

私には闇の魔法もある。逃げるのは簡単だが、それではヴァルターの信念を覆すことはできない。

この戦いに勝つには、彼の忠誠心を揺るがす必要があった。

「ヴァルター、私はあなたが本当に王家の正義を信じていることを理解している。でも、あなたが守っているその正義が偽りだとしたら?」

ヴァルターの動きが一瞬止まった。彼の目に、わずかな迷いの色が浮かぶ。

「何を言っている?」

私は巻物を取り出し、その中に記された王家の秘密を見せつけた。

「これが証拠よ。王家は魔族と契約を交わし、その力を利用して王位を保ってきたの。彼らの正義は私たちを守るためのものではなく、自らの権力を維持するためのものだったのよ!」

ヴァルターの顔に驚きと苦悩が混じり合う。彼は一度その巻物に視線を走らせ、再び私を見た。

「そんなはずはない…王家が…そんなことを…」

彼の動揺は明らかだったが、完全に信じきるには至っていない。

しかし、その迷いの一瞬は私たちにとって貴重な時間を生み出した。

カイルはその隙を逃さず、ヴァルターの剣を弾き飛ばした。

「ヴァルター、あなたもまた真実を見定めるべきよ。王家への忠誠心がどれほど深くても、貴方が間違った道を歩む必要はない」

私はヴァルターに向けて歩み寄り、彼の手から剣を下ろすように促した。
しかし、彼はまだ完全に自分の信念を捨てることはできないようだった。

「私は…王家に忠誠を誓った。だが、もし貴様の言うことが真実であれば…」

彼は苦悩しながらも剣を鞘に戻し、その場を立ち去った。

---

王家の追っ手から逃れた私たちは、ついにエドワードの元へ戻ることができた。

彼は私たちを迎え入れ、王家の秘密を公にするための準備を整えていた。

「リリアーナ嬢、貴女の計画は成功しつつあります。ですが、これで終わりではない。王家はこの一件を全力で隠そうとするでしょう。次の一手が重要ですね」

エドワードの言葉に私は頷いた。

これからの戦いは、今まで以上に困難なものになるだろう。

しかし、私は決して諦めない。王家を覆し、この国を新しい未来へと導くために――。

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