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オーギュスト王国編
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しおりを挟むあれからお父様とは上辺だけは今まで通りを装い、心の距離は離れている。
もちろん今回のことはマシェリア王国にいる伯父様には速攻で手紙を送り報告済みだ。
少し落ち込み気味の私を見かねて、新年の夜会に付き合ってくれたマリエルとレイには感謝だ。ただ単に面白そう!と着いてきたミカエルは好きにすればいいと思っている。
前回、ギリアン殿下の婚約者だった時は、夜会に出ても私の居場所はどこにもなかった。
彼は常に隣にべティーを置いていたから。
でも、今回はこの国の社交の場に出るのはこの日が初めてだった。
◇◇◇◇◇
もう、二度とココには来たくなかったのに。
でも仕方がないか。
オーギュスト王国の貴族を名乗っているのだから、新年の夜会には参加せざるを得ない。
でも結果から言うと、参加して正解だった。
あの場面を思い出すとあの人には申し訳ないが『ざまぁ』としか思えない。
それに長年の憂い?悩み?疑問?がスッキリした。
性格が悪いと言われようが、いまは最高に気分がいい。
もう二度と彼女たちに会うことがないのだから。
思い出すだけで笑えてくる。
もちろん私だって公爵令嬢だという立場があるのであの場では顔には出さなかった。⋯⋯はず。
まあ、何があったかというと⋯⋯
◇◇◇◇◇
私はレイに、マリエルはミカエルにエスコートされて会場である、王宮の大広間に入場した。
もちろん『リリーシア・ミラドール公爵令嬢~レイドリック・マシュー伯爵令息~⋯⋯』と、入場前に名を紹介されてからだから、注目を集めた。
そりゃあ、筆頭公爵家の令嬢がこの歳になるまで公の場には出たことがないのだからそれは仕方がない。
それにしても視線の種類が前回とは全く違う。
前回ではあれほど嘲笑っていた声も、蔑んだ視線も、今は好奇心や羨望、そして少しの嫉妬が混じったものだ。
⋯⋯本来ならコレが普通なんだ。
前回ビアンカ、べティー母娘がミラドール公爵家に迎え入れられた。
でも、貴族の常識からすれば所詮は元平民。
なのに、一度も蔑まれるとこもなく受け入れられていた。
当時は『愛されヒロインだから』なんて僻むこともなく当然だと私も思っていた。
⋯⋯ああ、馬鹿らしい。
自分が死にたくないがために、媚びを売り、暴力暴言にも耐えていたなんて⋯⋯。
その結果が処刑。
冷静になった今ならわかる。
人の婚約者を奪い、嘘で人を陥れるような者がヒロインなんておかしいと⋯⋯本当に私は馬鹿だった。
だから二度目が始まった時、自分らしく生きることに決めたんだった。
意識が過去にふけっていた私の前に小太りの男性が立ち塞がった。
その後ろには俯いたべティーの肩を抱いたビアンカ。
「君が権力を笠に着て、私の娘を虐めたのか?」
誰このオッサン⋯⋯?
って、簡単に想像がつくわね。
ドドラー伯爵。
ビアンカの現夫で、べティーの義父だ。
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