最初からここに私の居場所はなかった

kana

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目を覚ました私を微笑ましそうに見つめるお婆様と伯父様。
⋯⋯ユーリとアルトの2人の兄様は何故か笑いを耐えているようなおかしな顔をしていた。
その理由がわかったのは、クロイツ殿下の一言。

「ぷっ!寝ているくせにくぅ~くぅ~腹の音がうるさかったぞ」

⋯⋯まだ居たのか!
早く帰ればいいのに!
4歳の幼児相手に揶揄ってばっかり!
早く成長してこの舌っ足らずをしたら3倍にして言い返してやるからな!
⋯⋯前回大人しくいい子を演じていた反動か、今回は前世の日本人だった時の性格が強く出ている気がする。

結局、クロイツ殿下は夕食まで平らげて帰って行った。
明日、迎えを寄越すから王宮に顔を出すようにと言い残して⋯⋯






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



私に用意されていた部屋はとてもファンシーな女の子らしい部屋だった。

私の手紙が届いてから、お婆様が張り切って準備してくれたらしい。

クローゼットには着心地の良さそうなワンピースやドレスがズラリと並び、下着から靴下、靴やハンカチといった身につけられる物が揃えられていた。
もちろんサイズもピッタリ!
これは乳母のマリーから報告がされていたらしい。

ガルシア公爵家の皆んなが、優しく受け入れてくれたことが嬉しい。
⋯⋯伯父様の奥様であり、ユーリ兄様とアルト兄様のお母様は3年前に流行病で亡くなったそうだ。
⋯⋯ごめんね。前回17歳まで生きていたのに自分のことでいっぱいいっぱいで、身内のことなのに知ろうともしなかった。

前回も助けを求めていたら、伯父様もお婆様もきっとあの家から助け出してくれていたと思う。
ゲームの知識があるからって何故、1人で何とかしようとしたのか⋯⋯プライドまで捨てて、媚びまで売って⋯⋯本当に馬鹿だった。

もうこのまま、この国で生きて行けたらいいな。
人にも、物にも、公爵令嬢という地位もあの国に未練なんてないもの。

ちなみに隣の部屋はお母様が嫁ぐまで使用していた部屋で当時のまま残されていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ふふふっ寝顔までアナとよく似ているわ」

「ええ、可愛いですね」

「性格までは似ていないといいのだけれど⋯⋯」

「例え似ていたとしてもアナがそうだったように、ある程度の年齢になれば落ち着きますよ」

「アナには手を焼いたわ」

「はははっ、確かにアレには陛下を含め皆んなが振り回されましたからね~」

「可愛い孫のリリーシアの成長がこんなに近くで見られるなんて⋯⋯この子には自由に生きてほしいわ」




私の寝顔を見ながら、お婆様と伯父様がそんな会話をしていたことは知らない。

そして、お母様が皆んなを振り回すほどのお転婆だったことを知ったのは随分あとのことだった。

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