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オーギュスト王国編
28 ~リズベット視点~
~リズベット視点~
リリーシアは私とは騎士団の練習場で出会ったの。同じ4歳とは思えないくらい小柄で可愛くて⋯⋯元気だった。
わたくしが騎士団の幼児部に参加したのは、わたくしを生んだ女が『いざとなったら自分の身は自分で守れるようになりなさい』と言って、強引に通わせるようになったから⋯⋯
今となっては、それだけは感謝しているわ。
あの人はいつも男の人が傍に居ないとダメな人だった。
気に入った相手を当然ともいうように手に入れる。
見た目だけなら年齢よりも若く、可愛らしい人だった。
甘い言葉を囁いてくれる人。
抱きしめて温もりを与えてくれる人。
わたくしは自分の母親がお父様以外の男の人に甘え、愛を囁かれ、抱きしめられ、高価な宝石を強請る姿を見せられていたわ。
幼くても母親のそんな姿に嫌悪していたわ。
だから、5歳の拙い言葉でソレをお父様に教えた。
わたくしの言葉を信じてくれたお父様に、浮気現場を押えられ、わたくしの将来のためだとか言い訳をしていたけれど、そんな姿を娘に見せてきたこと自体が異常だと離婚を迫られた。
泣いてお父様に『愛しているのは貴方だけ』『寂しかったの』と縋る姿はみっともなく、さらに嫌悪したわ。
お父様は遊んでいて邸に帰れない日が多かった訳では無い。
お父様は騎士団長として国や民を守るために寝る間を惜しんで働いていただけ。
そんな父をわたくしは幼いながらも尊敬していたわ。
お父様から二度と娘に会わないなら慰謝料の請求はしないと伝えられると喜んで出て行った。
あの人は母親でいることよりも、女でいることを選んだ。
そんな人がわたくしの母親。
あの人が去っても寂しくはなかった。
それどころか、二度と会うことがないことに安心したわ。
それに、わたくしにはリリーシアも、マリエルも居たから、寂しいなんて思うことすらなかったわ。
ずっと一緒にいたリリーシアから帰国すると聞いた時には心配したわ。
だって、4歳で知り合ってから一度もリリーシアからオーギュスト王国のことも、ミラドール公爵(父親)のことも聞いたことがなかったから⋯⋯
大体、4歳で親元を離れてから一度も帰らないなんて、何か理由があると思うのが普通でしょう?リリーシアが心配だった。
だから、マリエルと相談してついて行くことにしたの。
いつの間にかレイまで加わっていたのは⋯⋯クロイツ殿下が関係していると思う。
リリーシアがクロイツ殿下のお気に入りだというのは、マリェリア王国の貴族なら誰もが知っているわ。
気付いていないのはリリーシアだけ。
初めて会ったリリーシアのお父様⋯⋯ミラドール公爵は見た目も中身もとても素敵な方だった。
わたくし達三人を快く迎えてくれ、リリーシアと仲良くしてくれてありがとうって言ってくれたわ。
ミラドール公爵が10年以上離れて暮らしていたリリーシアをとても愛していることは彼の言動から、わたくし達にも伝わってきたわ。
リリーシアのぎこちない態度も少しずつ緩和してきた頃、編入先の学院に初登校した。
素敵な学院でこれからの学生生活にワクワクしたわ。
あの人を思い起こさせる声を聞くまでは⋯⋯
『べティー』あの人に似たわたくしの大嫌いなタイプの女だった。
媚びた声も、甘えた声も、上目遣いもあの人のようで気持ちが悪かった。
だってあきらかに演技だったし、本来のあの子は相当気が強い性格だと思うわ。きっと恥をかかされた相手に泣き寝入りなんてしないはずよ。
面白い!返り討ちにしてあげるわ!
結局、リリーシアに手を引かれその場を去ることになったけれど、気になったのは『べティー』よりも『ギリアン殿下』のリリーシアへ向けた熱を帯びた瞳だった⋯⋯あれが一目惚れってやつかしら?
編入早々、騒がしくなりそうな予感。
リリーシアは私とは騎士団の練習場で出会ったの。同じ4歳とは思えないくらい小柄で可愛くて⋯⋯元気だった。
わたくしが騎士団の幼児部に参加したのは、わたくしを生んだ女が『いざとなったら自分の身は自分で守れるようになりなさい』と言って、強引に通わせるようになったから⋯⋯
今となっては、それだけは感謝しているわ。
あの人はいつも男の人が傍に居ないとダメな人だった。
気に入った相手を当然ともいうように手に入れる。
見た目だけなら年齢よりも若く、可愛らしい人だった。
甘い言葉を囁いてくれる人。
抱きしめて温もりを与えてくれる人。
わたくしは自分の母親がお父様以外の男の人に甘え、愛を囁かれ、抱きしめられ、高価な宝石を強請る姿を見せられていたわ。
幼くても母親のそんな姿に嫌悪していたわ。
だから、5歳の拙い言葉でソレをお父様に教えた。
わたくしの言葉を信じてくれたお父様に、浮気現場を押えられ、わたくしの将来のためだとか言い訳をしていたけれど、そんな姿を娘に見せてきたこと自体が異常だと離婚を迫られた。
泣いてお父様に『愛しているのは貴方だけ』『寂しかったの』と縋る姿はみっともなく、さらに嫌悪したわ。
お父様は遊んでいて邸に帰れない日が多かった訳では無い。
お父様は騎士団長として国や民を守るために寝る間を惜しんで働いていただけ。
そんな父をわたくしは幼いながらも尊敬していたわ。
お父様から二度と娘に会わないなら慰謝料の請求はしないと伝えられると喜んで出て行った。
あの人は母親でいることよりも、女でいることを選んだ。
そんな人がわたくしの母親。
あの人が去っても寂しくはなかった。
それどころか、二度と会うことがないことに安心したわ。
それに、わたくしにはリリーシアも、マリエルも居たから、寂しいなんて思うことすらなかったわ。
ずっと一緒にいたリリーシアから帰国すると聞いた時には心配したわ。
だって、4歳で知り合ってから一度もリリーシアからオーギュスト王国のことも、ミラドール公爵(父親)のことも聞いたことがなかったから⋯⋯
大体、4歳で親元を離れてから一度も帰らないなんて、何か理由があると思うのが普通でしょう?リリーシアが心配だった。
だから、マリエルと相談してついて行くことにしたの。
いつの間にかレイまで加わっていたのは⋯⋯クロイツ殿下が関係していると思う。
リリーシアがクロイツ殿下のお気に入りだというのは、マリェリア王国の貴族なら誰もが知っているわ。
気付いていないのはリリーシアだけ。
初めて会ったリリーシアのお父様⋯⋯ミラドール公爵は見た目も中身もとても素敵な方だった。
わたくし達三人を快く迎えてくれ、リリーシアと仲良くしてくれてありがとうって言ってくれたわ。
ミラドール公爵が10年以上離れて暮らしていたリリーシアをとても愛していることは彼の言動から、わたくし達にも伝わってきたわ。
リリーシアのぎこちない態度も少しずつ緩和してきた頃、編入先の学院に初登校した。
素敵な学院でこれからの学生生活にワクワクしたわ。
あの人を思い起こさせる声を聞くまでは⋯⋯
『べティー』あの人に似たわたくしの大嫌いなタイプの女だった。
媚びた声も、甘えた声も、上目遣いもあの人のようで気持ちが悪かった。
だってあきらかに演技だったし、本来のあの子は相当気が強い性格だと思うわ。きっと恥をかかされた相手に泣き寝入りなんてしないはずよ。
面白い!返り討ちにしてあげるわ!
結局、リリーシアに手を引かれその場を去ることになったけれど、気になったのは『べティー』よりも『ギリアン殿下』のリリーシアへ向けた熱を帯びた瞳だった⋯⋯あれが一目惚れってやつかしら?
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