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オーギュスト王国編
52 ~ギリアン殿下視点~
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~ギリアン殿下視点~
べティー・ドドラー伯爵令嬢。
ドドラー伯爵が前妻との婚姻前に付き合っていた女性の娘。
しかも、ドドラー伯爵の実娘だという。
礼儀作法もマナーも未熟な令嬢だ。
僕が学院に入学してから毎日のように追いかけ回されうんざりしている。
ハッキリ言って迷惑だ。
入学したての頃は彼女だけでなく、大勢の令嬢に取り囲まれて困っていた。
その理由は僕が王子で婚約者がいないからだ。余程、王族という身分は魅力的なのだろう。
それも入学から1年も経てば落ち着いてきた。
僕に近付くにはジョシュアの鉄壁の守りをくぐり抜けなくてはならないからだ。
ほとんどの令嬢が諦めるなか、ドドラー伯爵令嬢だけは執拗くまとわりついてくる。
クラスは違うが昼休憩と登下校時間は同じだからか待ち伏せされているようだ。
⋯⋯馬鹿らしい。
許可も出していないのに敬称も付けずに名を呼ぶ。
隙あらば勝手に僕に触れようとする。
何かと王族の僕をドドラー伯爵家のお茶会に誘おうとする。王族が参加するなら侯爵家以上だということも知らない。
成績も下から数えた方が早い。
礼儀もマナーも知性もない。
そんな令嬢に惹かれるわけがない。
そんな令嬢を妻に迎えるわけがない。
王族の伴侶には求められるものが何一つとして身に付いていないのだから。
ドドラー伯爵令嬢にはうんざりしていたが、学院生活自体は有意義に過ごしていた。
そして1年が過ぎ、新入生が入ってくる時期に父上から聞かされた。
『レアンドル、お前の叔父の娘が帰ってくるぞ』
『マシェリア王国にいるリリーシアが?』
叔父上の娘⋯⋯従妹なのに会ったことがないな。
『ああ、編入してくる』
『僕にそのリリーシアの世話を?』
『その必要はない。友人と一緒だからな。頭の隅にでも置いておけばいい』
ふ~ん。
『本当はお前の婚約者にしたかったのだが、無理に結ぶわけにはいかなくなった』
従妹には会ってみたいが興味はない。だが王命を出せない理由が気になる。
『レアンドルがマシェリア王国の公爵令嬢を妻に迎えたのは知っているな?彼女はマシェリア現国王の従妹だったんだが既に亡くなっている。⋯⋯でだ、情けないことにレアンドルは残された幼いリリーシアに見向きもせず、使用人任せだった。それを見かねたガルシア公爵⋯⋯リリーシアの伯父が引き取りに来たんだ。⋯⋯マシェリア王国の王太子を連れてな。その時にリリーシアの婚約者を後見人になったガルシア公爵の許可なく決めるなと念を押されたんだ』
親が育児放棄したなら仕方がないな。
でもレアンドル叔父上はそんな人には見えないが⋯⋯
『当時のレアンドルはそう言われても仕方がなかったんだ⋯⋯あいつは魅了に掛けられていた』
はあ?魅了魔法?
それから魅了魔法の効果を聞いて恐ろしくなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでくださりありがとうございます。
たくさんの登録とエールも励みになっています。m(_ _)m
次話もギリアン殿下視点です。
べティー・ドドラー伯爵令嬢。
ドドラー伯爵が前妻との婚姻前に付き合っていた女性の娘。
しかも、ドドラー伯爵の実娘だという。
礼儀作法もマナーも未熟な令嬢だ。
僕が学院に入学してから毎日のように追いかけ回されうんざりしている。
ハッキリ言って迷惑だ。
入学したての頃は彼女だけでなく、大勢の令嬢に取り囲まれて困っていた。
その理由は僕が王子で婚約者がいないからだ。余程、王族という身分は魅力的なのだろう。
それも入学から1年も経てば落ち着いてきた。
僕に近付くにはジョシュアの鉄壁の守りをくぐり抜けなくてはならないからだ。
ほとんどの令嬢が諦めるなか、ドドラー伯爵令嬢だけは執拗くまとわりついてくる。
クラスは違うが昼休憩と登下校時間は同じだからか待ち伏せされているようだ。
⋯⋯馬鹿らしい。
許可も出していないのに敬称も付けずに名を呼ぶ。
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何かと王族の僕をドドラー伯爵家のお茶会に誘おうとする。王族が参加するなら侯爵家以上だということも知らない。
成績も下から数えた方が早い。
礼儀もマナーも知性もない。
そんな令嬢に惹かれるわけがない。
そんな令嬢を妻に迎えるわけがない。
王族の伴侶には求められるものが何一つとして身に付いていないのだから。
ドドラー伯爵令嬢にはうんざりしていたが、学院生活自体は有意義に過ごしていた。
そして1年が過ぎ、新入生が入ってくる時期に父上から聞かされた。
『レアンドル、お前の叔父の娘が帰ってくるぞ』
『マシェリア王国にいるリリーシアが?』
叔父上の娘⋯⋯従妹なのに会ったことがないな。
『ああ、編入してくる』
『僕にそのリリーシアの世話を?』
『その必要はない。友人と一緒だからな。頭の隅にでも置いておけばいい』
ふ~ん。
『本当はお前の婚約者にしたかったのだが、無理に結ぶわけにはいかなくなった』
従妹には会ってみたいが興味はない。だが王命を出せない理由が気になる。
『レアンドルがマシェリア王国の公爵令嬢を妻に迎えたのは知っているな?彼女はマシェリア現国王の従妹だったんだが既に亡くなっている。⋯⋯でだ、情けないことにレアンドルは残された幼いリリーシアに見向きもせず、使用人任せだった。それを見かねたガルシア公爵⋯⋯リリーシアの伯父が引き取りに来たんだ。⋯⋯マシェリア王国の王太子を連れてな。その時にリリーシアの婚約者を後見人になったガルシア公爵の許可なく決めるなと念を押されたんだ』
親が育児放棄したなら仕方がないな。
でもレアンドル叔父上はそんな人には見えないが⋯⋯
『当時のレアンドルはそう言われても仕方がなかったんだ⋯⋯あいつは魅了に掛けられていた』
はあ?魅了魔法?
それから魅了魔法の効果を聞いて恐ろしくなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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