【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
17 / 122

17

しおりを挟む
~レイチェル視点~


わたしは転生者だ。
物心ついた時には前世の記憶があった。

あのお茶会でエリザベート様を見た瞬間に『世界を超えた乙女の愛と友情』の悪役令嬢だと気づいた。

あのゲームには裏モードがあった。

普通にゲームをしても悪役令嬢が断罪され、乙女ゲームではよくあるパターンでエンディングを迎えるが、わたしは登場人物のアラン様が好きで好きで何度もやり込んだ。
アラン様がわたしの理想そのものだった。



アラン様攻略を30回を超えた時、突然画面が真っ黒になり『真実が知りたいか?』の白い文字だけが浮かんだ。

その文字が消えると画面の真ん中にはYES、Noの文字。

もちろんYESを選択した。

新しく始まったゲームは第一王子が主人公で進められる物語だった。

幼い頃にエリザベートに一目惚れした王子だったが、エリザベートだけに素直になれず、どんどん墓穴を掘るうちに、最後の王子の一言からエリザベートに長く会えない時間を過ごすことになってしまった。
その時の後悔から、年々王子の顔から表情が消えてしまう。


その時の王子の後悔がゲームをやっていて痛いくらい伝わってきた。



そんな時ヒロインが現れた。

突然現れたヒロインに城内も慌ただしくなるなか、王子は指示を出すだけでヒロインには関心を示さなかった。



学園に入学してからも遠くからエリザベートを見ることしか出来ない王子。

アラン様が側にいない時はいつも一人でいるエリザベート。
そのうち、アランもヒロインに惹かれてエリザベートはひとりぼっちになってしまう。

他の攻略対象者たちがヒロインに惹かれていく中、王子だけは一途にエリザベートだけを思い続けていた。

そんな時、エリザベートがヒロインを虐める悪役令嬢だと噂が流れる。


ヒロインへのイジメにエリザベートが関わっていないことを王子は知っていた。
ヒロイン自身が自作自演でエリザベートを悪役令嬢に仕立て陥れたことも。

正規のゲームでは断罪後、悪役令嬢は生涯を修道院で終えたとあったが、それは違う。


断罪後、王都から離れた緑豊かな場所で、ご両親が用意した屋敷でエリザベートを慕うメイド達と楽しく穏やかに過ごしていたのだ。

そんなエリザベートに会いに王都から何度も通い、素直に一途な想いを伝え続ける王子。
時間はかかったが受け入れてもらえた時の王子の笑顔は本当に嬉しそうで、見ているわたしまでが幸せな気持ちになった。

王子は無責任だと思いながらも王位継承権を放棄し、弟の第二王子に王の椅子を譲る事に決めていた。
エリザベートと一緒に生きていくために。

第一王子の思いを知っていた第二王子は、『いつかこんな日がくると思っていたよ。覚悟は兄上から表情が消えた時から出来ている。それは父上も母上も同じだよ。後のことは任せて安心して幸せになって欲しい。やっと兄上の想いが届いたのでしょう?』

第一王子はエリザベートが自由になりたがっていることに気づいて、ワザと断罪したのだ。

断罪後は継承権を捨ててでも幼い頃の言動の許しを乞い、想いを伝え貴族社会の据から自由になったエリザベートを自分の手で幸せにするために。

裏モードでも後ろ姿しか見えなかった悪役令嬢が、王子ではなくなった元王子が継承権を放棄してエリザベートのもとへと帰ってきた時、はじめて画面に映った悪役令嬢の笑顔が最っ高に可愛いかったんだ。

裏モードのエンディング後に、アランが物陰から幸せそうなエリザベートと元王子を見て「エリー幸せになるんだよ」って寂しそうに笑って言うんだよ。

アラン様の優しさに泣けた。


そして真相が明かされる。

早くからヒロインの裏の顔に気づいたアランが姉のエリーを窮屈な貴族社会から逃がす為に第二王子と手を組んでいたこと。

ヒロインの嘘を疑うことなく信じた宰相の息子と騎士団長の息子、その他の取り巻きを国の中枢に置くことを王家も良しとせず、見極めるために王からの命令でアランがヒロインの側で監視していたこと。

もちろん宰相も騎士団長も息子が試されていることは知っていた。
最後まで目を覚まさなかった息子を見限り廃嫡にしたのだ。
その他の取り巻き達も似たような結果だ。

そしてヒロインは自身の欲の為に何人もの人生を狂わせた罪で死ぬまで陽の光を浴びることなく牢の中で過ごすことになる。

これが真実だった。

ゲームが終わって、アランが騙されていなかったこと、王子の一途な思いが報われたこと、エリザベートと元王子の幸せそうな顔すべてに感動した。

アランは悪役を演じてまでエリザベートの幸せを願っていた事に涙した。




その悪役令嬢のエリザベート様がなぜ今この国にいるの?
もしかして彼女もゲームの内容を知っている転生者だとか?
それでもさすがに裏モードは知らないだろう。
彼女に聞きたいことが山ほどある。
早く会って話がしたい。

まあ、これは冷静になった今だから言えることだわ。


だってあの時わたしの理想のアラン様が子供の姿で目の前に生きて存在していたのよ!
しかも!自惚れじゃなくあの目はわたしに好意を寄せている目に違いないわ!




でも、わたし別の乙女ゲームの悪役令嬢なんだよね~

大っ嫌いな王子に断罪されて婚約破棄されるの。
そして国外追放される予定。

そのゲームの名は『みんなわたしの虜にしちゃうゾ!ドッキュ~ン♡』

なんてフザケたネーミングなんだ!
力が抜けるわ!トホホ・・・


この世界が2つの乙女ゲームが同時進行するなんて、こんな事ってある~~
しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

処理中です...