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ウインティア王国編
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夏季休暇前にエリーから待ち望んだ手紙が届いた。
『ルフラン元気にしていますか?私はとっても元気です』
俺も元気だぞ。
『ルフランのプレゼントしてくれたランの首輪はもう少しでピッタリになりそうです。そう、ランは大型犬らしく大きく育っているんだよ』
いや、ちょっと待て!
確かに大型犬用の首輪を送ったが、もう少しでピッタリだと?
3ヶ月前には小型犬用の首輪が合っていたんだぞ。
生まれて半年程度だと思っていたが・・・違うのか?
『毎日庭園を駆け回り、ご飯もいっぱい食べています。』
いっぱい・・・だから成長が早いのか?
『最近はお手もお座りも覚えたの。次は待てを教えるつもりよ』
エリーは芸まで教え込んでいるのか。
『私が学院に行っている間も泣かずに我慢が出来るようになったのよ』
いい子だな。
『その代わり夜は私のベッドで添い寝をしないと拗ねてしまう困った甘えん坊さんなの』
エリーと添い寝だと?
贅沢な子犬?だな。
羨ましい。
『まだ慣れない環境に連れて行くことが心配なので、夏季休暇もアトラニア王国で私はランとお留守番です』
夏季休暇も帰ってこないんだ・・な。
『今回もアランとレイは帰るので時間があれば会ってあげてね。最近のレイはとても綺麗になったのよ。これもアラン効果ね』
ああ、レイとも一年会っていないな。
少しだけ・・・もしかしたら休暇中に会えるかもしれないと俺は期待していたんだけどな。
もしかしたらエリーに好きな奴でも出来たのか?
アトラニア王国でも綺麗で清楚で可愛いエリーに見惚れている男は多かった。
さらにエリーの女神の微笑みを見てしまえば惚れてしまう男の気持ちも分かる。
この先もエリーに会うことが出来なかったら・・・
俺の記憶のエリーは15歳で止まったままだ。
16歳、17歳・・・成長するにつれエリーは今以上に美しくなる。
そんなエリーを放っておく奴なんていない。
俺はダメだな。
思いを伝えてケジメをつけたはずなのに、未練タラタラだ。
『ルフラン、次に会った時には貴方のように大きく強くなったランを見せてあげるわ。楽しみにしていてね』
本当だな?
また会えるんだよな?
沈みかけた心が浮上してくる。
手紙一つで心が乱れる俺はまだ弱いままだ。
エリーが望むなら俺は強くなるよ。
アランとレイが顔を見せに来てくれた。
ゾルティーにもレイを紹介したが、頬を染めたゾルティーを見たのは初めてだ。
確かにレイは王子妃教育も受けた完璧な令嬢だ。
それに同じ学院に通っていた頃よりも、エリーの言っていた通り綺麗になっていた。
なるほどね。
ゾルティーは可愛いタイプが好きなのか。
でも残念。
レイはアランの婚約者だ。
それに俺の知っている頃よりも2人はラブラブに見える。
そんな2人からランを飼いだしてから、エリーのやんちゃがパワーアップしたと聞いた。
ある時はランと池に飛び込んで一緒に犬掻きをしたり。
またある時は池で溺れる振りをして救助を覚えさせたり。
エリーに言わせれば、これも強くなるための特訓なんだとか・・・
横で一緒に聞いていたゾルティーも令嬢らしくないエリーに驚いていた。
でも、これがエリーなんだよな。
何をしでかすか目が離せないんだよ。
見た目は上品で清楚な完璧な令嬢なのにな。
想像していたエリーと違ったんだろうな。
「貴族の令嬢が・・・本当にそんな事を?」
何度も2人に確認していた。
帰る時に「またエリーにも会えるわよ。すごく綺麗になっているのよ。楽しみに待っていてね」
レイがそう言ったんだ。
レイは嘘をつくような女性ではない。
本当にエリーに会えるんだ。
その日が来るのを楽しみにしているよ。
長い夏季休暇も与えられた執務を熟すうちに終わった。
また学園が始まる。
学園に到着するとセルティ嬢が目の前にいた。
もううんざりだ。
「セルティ嬢、俺を迎えるのは止めてくれ」
「まあ、他人行儀ですわ。アルマとお呼び下さい」
「俺たちは他人だ。そう呼ぶつもりもない、勝手な思い込みも程々にしろ」
セルティ嬢の取り巻き達がざわついたが、知ったことじゃない。
「わたくしはルフラン殿下の婚約者になるのですよ?」
隣にいたゾルティーも我慢できなくなったようだ。
「ねえ、何か勘違いしていない?王家から婚約の打診もなく、君が婚約者になるかのように振る舞うのはやめてくれないかな?迷惑なんだよ」
でた!ゾルティーの黒い笑顔。
「打診が来るのも時間の問題ではないでしょうか?」
「だから、その自信はどこからくるの?」
ゾルティーがイライラしだしたぞ。
「ルフラン殿下に相応しい女性がわたくし以外のどこにおりますの?」
心底不思議そうな顔で断言するセルティ嬢。
話が通じない。
なんだ、寒気がする。気味が悪い。
こんな女が俺の婚約者に?有り得ない!
ゾルティーもそう感じたのだろう。
「もう朝の迎えはいらないよ。分かったね。二度は言わないよ」
俺たちは背を向けて歩き出した。
「ねえ、兄上。彼女危ないね」
「ああ」
「次は既成事実でも作るつもりかもよ。狙われているのは兄上なんだからね。気をつけてよ」
「ああ、分かっている」
本当に身の危険を感じた。
帰ったらすぐに父上に報告だ。
人の意見を聞き入れず、思い込みだけで勝手な行動をとる。
それが高位の貴族にいることは危険だ。
セルティ公爵家に抗議文を送る。
接触禁止令を出してもいいくらいだ。
結局、抗議文だけに留めたがセルティ公爵には王宮の応接間で父上とゾルティーと揃ってセルティ嬢の勝手な思い込みを伝えた。
これで娘が婚約者になれないことを悟ったのか、顔色を悪くして項を垂れて部屋から退室した。
それからは俺に近づく事はなくなったが、ずっと視線を感じる。
何かしてくるとしたら媚薬系の薬だな。
それか俺に襲われたとでも言い出すか・・・
帰ったらエリーの絵を見て癒されるよう。
『ルフラン元気にしていますか?私はとっても元気です』
俺も元気だぞ。
『ルフランのプレゼントしてくれたランの首輪はもう少しでピッタリになりそうです。そう、ランは大型犬らしく大きく育っているんだよ』
いや、ちょっと待て!
確かに大型犬用の首輪を送ったが、もう少しでピッタリだと?
3ヶ月前には小型犬用の首輪が合っていたんだぞ。
生まれて半年程度だと思っていたが・・・違うのか?
『毎日庭園を駆け回り、ご飯もいっぱい食べています。』
いっぱい・・・だから成長が早いのか?
『最近はお手もお座りも覚えたの。次は待てを教えるつもりよ』
エリーは芸まで教え込んでいるのか。
『私が学院に行っている間も泣かずに我慢が出来るようになったのよ』
いい子だな。
『その代わり夜は私のベッドで添い寝をしないと拗ねてしまう困った甘えん坊さんなの』
エリーと添い寝だと?
贅沢な子犬?だな。
羨ましい。
『まだ慣れない環境に連れて行くことが心配なので、夏季休暇もアトラニア王国で私はランとお留守番です』
夏季休暇も帰ってこないんだ・・な。
『今回もアランとレイは帰るので時間があれば会ってあげてね。最近のレイはとても綺麗になったのよ。これもアラン効果ね』
ああ、レイとも一年会っていないな。
少しだけ・・・もしかしたら休暇中に会えるかもしれないと俺は期待していたんだけどな。
もしかしたらエリーに好きな奴でも出来たのか?
アトラニア王国でも綺麗で清楚で可愛いエリーに見惚れている男は多かった。
さらにエリーの女神の微笑みを見てしまえば惚れてしまう男の気持ちも分かる。
この先もエリーに会うことが出来なかったら・・・
俺の記憶のエリーは15歳で止まったままだ。
16歳、17歳・・・成長するにつれエリーは今以上に美しくなる。
そんなエリーを放っておく奴なんていない。
俺はダメだな。
思いを伝えてケジメをつけたはずなのに、未練タラタラだ。
『ルフラン、次に会った時には貴方のように大きく強くなったランを見せてあげるわ。楽しみにしていてね』
本当だな?
また会えるんだよな?
沈みかけた心が浮上してくる。
手紙一つで心が乱れる俺はまだ弱いままだ。
エリーが望むなら俺は強くなるよ。
アランとレイが顔を見せに来てくれた。
ゾルティーにもレイを紹介したが、頬を染めたゾルティーを見たのは初めてだ。
確かにレイは王子妃教育も受けた完璧な令嬢だ。
それに同じ学院に通っていた頃よりも、エリーの言っていた通り綺麗になっていた。
なるほどね。
ゾルティーは可愛いタイプが好きなのか。
でも残念。
レイはアランの婚約者だ。
それに俺の知っている頃よりも2人はラブラブに見える。
そんな2人からランを飼いだしてから、エリーのやんちゃがパワーアップしたと聞いた。
ある時はランと池に飛び込んで一緒に犬掻きをしたり。
またある時は池で溺れる振りをして救助を覚えさせたり。
エリーに言わせれば、これも強くなるための特訓なんだとか・・・
横で一緒に聞いていたゾルティーも令嬢らしくないエリーに驚いていた。
でも、これがエリーなんだよな。
何をしでかすか目が離せないんだよ。
見た目は上品で清楚な完璧な令嬢なのにな。
想像していたエリーと違ったんだろうな。
「貴族の令嬢が・・・本当にそんな事を?」
何度も2人に確認していた。
帰る時に「またエリーにも会えるわよ。すごく綺麗になっているのよ。楽しみに待っていてね」
レイがそう言ったんだ。
レイは嘘をつくような女性ではない。
本当にエリーに会えるんだ。
その日が来るのを楽しみにしているよ。
長い夏季休暇も与えられた執務を熟すうちに終わった。
また学園が始まる。
学園に到着するとセルティ嬢が目の前にいた。
もううんざりだ。
「セルティ嬢、俺を迎えるのは止めてくれ」
「まあ、他人行儀ですわ。アルマとお呼び下さい」
「俺たちは他人だ。そう呼ぶつもりもない、勝手な思い込みも程々にしろ」
セルティ嬢の取り巻き達がざわついたが、知ったことじゃない。
「わたくしはルフラン殿下の婚約者になるのですよ?」
隣にいたゾルティーも我慢できなくなったようだ。
「ねえ、何か勘違いしていない?王家から婚約の打診もなく、君が婚約者になるかのように振る舞うのはやめてくれないかな?迷惑なんだよ」
でた!ゾルティーの黒い笑顔。
「打診が来るのも時間の問題ではないでしょうか?」
「だから、その自信はどこからくるの?」
ゾルティーがイライラしだしたぞ。
「ルフラン殿下に相応しい女性がわたくし以外のどこにおりますの?」
心底不思議そうな顔で断言するセルティ嬢。
話が通じない。
なんだ、寒気がする。気味が悪い。
こんな女が俺の婚約者に?有り得ない!
ゾルティーもそう感じたのだろう。
「もう朝の迎えはいらないよ。分かったね。二度は言わないよ」
俺たちは背を向けて歩き出した。
「ねえ、兄上。彼女危ないね」
「ああ」
「次は既成事実でも作るつもりかもよ。狙われているのは兄上なんだからね。気をつけてよ」
「ああ、分かっている」
本当に身の危険を感じた。
帰ったらすぐに父上に報告だ。
人の意見を聞き入れず、思い込みだけで勝手な行動をとる。
それが高位の貴族にいることは危険だ。
セルティ公爵家に抗議文を送る。
接触禁止令を出してもいいくらいだ。
結局、抗議文だけに留めたがセルティ公爵には王宮の応接間で父上とゾルティーと揃ってセルティ嬢の勝手な思い込みを伝えた。
これで娘が婚約者になれないことを悟ったのか、顔色を悪くして項を垂れて部屋から退室した。
それからは俺に近づく事はなくなったが、ずっと視線を感じる。
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