56 / 122
ウインティア王国編
56
しおりを挟む
あと二時間、あと二時間すればエリーに会いに行ける。授業なんか早く終わってしまえ。
エリーが帰ってきたんだ。
夢でしか会えなかったエリーが、手を伸ばせば届く距離にいるんだ。
俺が教室に入るとクラスメート達が何か言いたそうにしていたが、どうせエリーのことを知りたいだけだろう。
男たちはソワソワしているしな。
分かっているだろうがエリーには近づかせない。
まだ抱きしめた時のエリーの温もりと柔らかさが残っているような気がする。
胸を育てたと言っていたが、どうやって育てるんだ?
別に俺はエリーなら胸なんかなくても気にしていなかったぞ。ある方がいいのか?
触ったことがないから分からないな。
でも柔らかいのは確かだ。
さりげなくクラスを見渡して令嬢たちの胸を見てみた。
みんな育てたのか?
エリーより小さい令嬢はいないようだ。
エリーに育て方を聞いても怒られないか?
いや大丈夫だ。
胸を張って自慢していたもんな。
あんなに暗かった世界がエリーが近くにいると思うだけで俺の世界を明るくする。
綺麗になっていたな。
でも中身はあの頃の気取らないエリーのままで安心した。
弁当も美味しかったな。
何も言わなくても食べさせてくれた。
俺もさりげなく催促したがな。
俺だけに向けたエリーの微笑みは最高だ。
独り占めした気分だ。
周りから見たら俺たちが恋人のように見えたんじゃないか?
恋人・・・いいなそれ!
ダメだ!まだ舞い上がるな。
帰ってきたと言っていたが、一年したらアトラニア王国に戻るかもしれないんだ。
カトルズ公爵家には跡継ぎがいないのだからな。
それも聞かなければならない。
もし、本当にこのままウインティア王国にエリーが残るのなら俺がエリーを諦める必要はなくなる。
早く、早く時間よ過ぎてくれ。
エリーに会いたいんだ。
聞きたいことが沢山あるんだ。
長く感じた授業が終わると急いで馬車止めに向かった。
そこには既に馬車の中でゾルティーが待っていた。
「兄上、私も一緒にウォルシュ家について行きますからね。アランは私の友人ですからダメだとは言わないですよね」
お前もエリーに会いたいだけなんじゃないのか?
いくら可愛い弟とはいえエリーだけは譲らないからな。
ウォルシュ侯爵家に着くとエリー、アラン、レイが笑顔で出迎えてくれた。
エリーまたズボンなんだな。
ゾルティーが顔を赤くさせて驚いているぞ。
「いらっしゃいルフラン、ゾルティー殿下」
初めて訪れたウォルシュ家は全体が明るく、上品な調度品に飾られて落ち着いた雰囲気だった。
ここでエリーが育ったんだな。
庭園の見えるサロンに通されメイド達がお茶とお菓子をセットして部屋から退室して行った。
「さて、帰ってきた理由を教えて欲しいな」
いきなりゾルティーが切り出した。
俺もそれが聞きたかったんだ。
「カトルズ公爵家に跡継ぎの子供が生まれたんだよ。伯母上も高齢出産になるから元気な子が生まれるか心配していたんだけどね」
「もう元気すぎるくらいの男の子で可愛いの。私たちが帰る頃にはよちよち歩きも出来ていたのよ」
「だからエリーが養子になる話も流れたんだよ」
「伯父様と伯母様もそのままカトルズ公爵家に居てもいいと言ってくれたんだけど、私が残ると揉める原因になるかもしれないし、やっぱり我が家が一番居心地がいいから帰ってきちゃった」
えへって照れて笑うエリーが可愛い。
それなら俺の・・・俺のよ・・嫁・・・になって欲しい。
ダ、ダメだ。
エリーの気持ちも分からないのに。
「アランとエリーが帰るなら一年後には嫁いでくるのは決まっていたからわたしも一緒に着いてきたの」
「結婚前に一緒に暮らして大丈夫なのか?」
「僕は皆んなから信頼されているからね。それに、レイと一年も離れるのは嫌だから、レイのご家族を説得して連れてきたんだよ」
何故かアランが大人に見える。
俺と同じ歳だよな。
「それに、私たちの部屋の内装とか決めないと、お祖母様とお義母様にどんな内装にされるか・・・」
ああ、ウォルシュ家は金が腐るほどあるもんな。
「そうそう、ちょっと待っててね」
大きな窓を開けてエリーが「ラン~おいで~」と庭園に向かって声を上げると、真っ白な動物が走ってきた。
まさかあれがランなのか?
大型犬にしても大きすぎないか?
犬で間違いないんだよな。
しっぽを振ってエリーに擦りついているランはエリーの腰の高さまであった。
大きく育てるって言ってたが大きすぎるだろう。
ゾルティーは目を輝かせてランを見ている。
そうだったな、ゾルティーは動物が大好きだった。
「私も触ってもいいかい?」
「ええ、触ってあげて」
「ラン私のところにおいで」
賢い子だな。
名前を呼ばれとゾルティーにもスリスリしている。
俺のプレゼントした首輪はしてないんだな。
あれは大型犬用だったが、あれではランには小さ過ぎるな。
「エリー、またランに首輪をプレゼントしてもいいだろうか?」
「嬉しい!ありがとう!前の首輪が合わなくなって外したの。ランも喜ぶわ!」
「ラン俺のところにもおいで」
なんだ?俺のところには来ないぞ。
エリーの膝に頭をスリスリしてチラッと俺を見る・・・その態度がバカにされている様でムカつくのだが。気のせいか?
その後も誰が呼んでもランは愛想を振りまいていたが、俺のところにはこなかった。
コイツ・・・絶対ワザとだ。
「またランに会いに来てもいいかな?」
ゾルティーまた付いてくるのか?
「歓迎するわ」
エリー、ゾルティーを甘やかさなくていいんだぞ。
「俺も来るからな」
「ええ、ルフラン待っているわ」
これで学園では毎日会えるし、休みの日はウォルシュ家に来ればエリーに会えるな。
「明日からよろしくね」
笑顔で俺たちを見送ってくれた。
今日はぐっすり眠れそうだ。
ベッドに入ってからなぜかモヤモヤする。
何か忘れているような・・・
あ!胸の育て方だ!
・・・冷静になると女性に聞くことではないな。
危なかった、またエリーを怒らせるところだった。
明日が待ち遠しいよ。
おやすみエリー
エリーが帰ってきたんだ。
夢でしか会えなかったエリーが、手を伸ばせば届く距離にいるんだ。
俺が教室に入るとクラスメート達が何か言いたそうにしていたが、どうせエリーのことを知りたいだけだろう。
男たちはソワソワしているしな。
分かっているだろうがエリーには近づかせない。
まだ抱きしめた時のエリーの温もりと柔らかさが残っているような気がする。
胸を育てたと言っていたが、どうやって育てるんだ?
別に俺はエリーなら胸なんかなくても気にしていなかったぞ。ある方がいいのか?
触ったことがないから分からないな。
でも柔らかいのは確かだ。
さりげなくクラスを見渡して令嬢たちの胸を見てみた。
みんな育てたのか?
エリーより小さい令嬢はいないようだ。
エリーに育て方を聞いても怒られないか?
いや大丈夫だ。
胸を張って自慢していたもんな。
あんなに暗かった世界がエリーが近くにいると思うだけで俺の世界を明るくする。
綺麗になっていたな。
でも中身はあの頃の気取らないエリーのままで安心した。
弁当も美味しかったな。
何も言わなくても食べさせてくれた。
俺もさりげなく催促したがな。
俺だけに向けたエリーの微笑みは最高だ。
独り占めした気分だ。
周りから見たら俺たちが恋人のように見えたんじゃないか?
恋人・・・いいなそれ!
ダメだ!まだ舞い上がるな。
帰ってきたと言っていたが、一年したらアトラニア王国に戻るかもしれないんだ。
カトルズ公爵家には跡継ぎがいないのだからな。
それも聞かなければならない。
もし、本当にこのままウインティア王国にエリーが残るのなら俺がエリーを諦める必要はなくなる。
早く、早く時間よ過ぎてくれ。
エリーに会いたいんだ。
聞きたいことが沢山あるんだ。
長く感じた授業が終わると急いで馬車止めに向かった。
そこには既に馬車の中でゾルティーが待っていた。
「兄上、私も一緒にウォルシュ家について行きますからね。アランは私の友人ですからダメだとは言わないですよね」
お前もエリーに会いたいだけなんじゃないのか?
いくら可愛い弟とはいえエリーだけは譲らないからな。
ウォルシュ侯爵家に着くとエリー、アラン、レイが笑顔で出迎えてくれた。
エリーまたズボンなんだな。
ゾルティーが顔を赤くさせて驚いているぞ。
「いらっしゃいルフラン、ゾルティー殿下」
初めて訪れたウォルシュ家は全体が明るく、上品な調度品に飾られて落ち着いた雰囲気だった。
ここでエリーが育ったんだな。
庭園の見えるサロンに通されメイド達がお茶とお菓子をセットして部屋から退室して行った。
「さて、帰ってきた理由を教えて欲しいな」
いきなりゾルティーが切り出した。
俺もそれが聞きたかったんだ。
「カトルズ公爵家に跡継ぎの子供が生まれたんだよ。伯母上も高齢出産になるから元気な子が生まれるか心配していたんだけどね」
「もう元気すぎるくらいの男の子で可愛いの。私たちが帰る頃にはよちよち歩きも出来ていたのよ」
「だからエリーが養子になる話も流れたんだよ」
「伯父様と伯母様もそのままカトルズ公爵家に居てもいいと言ってくれたんだけど、私が残ると揉める原因になるかもしれないし、やっぱり我が家が一番居心地がいいから帰ってきちゃった」
えへって照れて笑うエリーが可愛い。
それなら俺の・・・俺のよ・・嫁・・・になって欲しい。
ダ、ダメだ。
エリーの気持ちも分からないのに。
「アランとエリーが帰るなら一年後には嫁いでくるのは決まっていたからわたしも一緒に着いてきたの」
「結婚前に一緒に暮らして大丈夫なのか?」
「僕は皆んなから信頼されているからね。それに、レイと一年も離れるのは嫌だから、レイのご家族を説得して連れてきたんだよ」
何故かアランが大人に見える。
俺と同じ歳だよな。
「それに、私たちの部屋の内装とか決めないと、お祖母様とお義母様にどんな内装にされるか・・・」
ああ、ウォルシュ家は金が腐るほどあるもんな。
「そうそう、ちょっと待っててね」
大きな窓を開けてエリーが「ラン~おいで~」と庭園に向かって声を上げると、真っ白な動物が走ってきた。
まさかあれがランなのか?
大型犬にしても大きすぎないか?
犬で間違いないんだよな。
しっぽを振ってエリーに擦りついているランはエリーの腰の高さまであった。
大きく育てるって言ってたが大きすぎるだろう。
ゾルティーは目を輝かせてランを見ている。
そうだったな、ゾルティーは動物が大好きだった。
「私も触ってもいいかい?」
「ええ、触ってあげて」
「ラン私のところにおいで」
賢い子だな。
名前を呼ばれとゾルティーにもスリスリしている。
俺のプレゼントした首輪はしてないんだな。
あれは大型犬用だったが、あれではランには小さ過ぎるな。
「エリー、またランに首輪をプレゼントしてもいいだろうか?」
「嬉しい!ありがとう!前の首輪が合わなくなって外したの。ランも喜ぶわ!」
「ラン俺のところにもおいで」
なんだ?俺のところには来ないぞ。
エリーの膝に頭をスリスリしてチラッと俺を見る・・・その態度がバカにされている様でムカつくのだが。気のせいか?
その後も誰が呼んでもランは愛想を振りまいていたが、俺のところにはこなかった。
コイツ・・・絶対ワザとだ。
「またランに会いに来てもいいかな?」
ゾルティーまた付いてくるのか?
「歓迎するわ」
エリー、ゾルティーを甘やかさなくていいんだぞ。
「俺も来るからな」
「ええ、ルフラン待っているわ」
これで学園では毎日会えるし、休みの日はウォルシュ家に来ればエリーに会えるな。
「明日からよろしくね」
笑顔で俺たちを見送ってくれた。
今日はぐっすり眠れそうだ。
ベッドに入ってからなぜかモヤモヤする。
何か忘れているような・・・
あ!胸の育て方だ!
・・・冷静になると女性に聞くことではないな。
危なかった、またエリーを怒らせるところだった。
明日が待ち遠しいよ。
おやすみエリー
620
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした
Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。
同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。
さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、
婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった……
とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。
それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、
婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく……
※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』
に出てくる主人公の友人の話です。
そちらを読んでいなくても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる