【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

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ウインティア王国編

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マイを地下牢に入れてから一週間が経つ。

レイに床に叩きつけられた顔は鼻の骨が折れていたようだが、二度と外には出られないのだからと自然治癒に任せることにした。

簡単な治療だけ施されたマイが目を覚ました時には、地下牢に入れられていた怒りで暴れて怒鳴り散らしていたが、そんな事よりも性病の症状が現実に引き戻したのか、今度は痛みや痒みを訴える。が、それこそ相手をする者などおらず、この一週間のたうち回っているそうだ。

これで反省でもすれば、薬を与えるつもりだったが、マイから出るのは恨み言ばかりで、まったく反省する素振りすら見えない。
もう暫くはこのまま放置でいいだろう。

ここは王族が犯罪を犯した時に幽閉される塔の下に特別に作られた地下牢だ。
王族ならばこの塔に幽閉されても、外に出られないだけで生活に困ることはない場所だがこの地下牢は違う。

天井にある小さな窓から光は射し込むが、円形の部屋になっており、絶望しても天井が高く首を吊ることも出来ない部屋だ。
まあ、死のうと思えば出された食事を食べず餓死を選ぶとか、舌を噛み切るなりすればそれも可能だろうが、マイにはそんな勇気もないだろう。




卒業まであと僅かとなった休日。

婚礼衣装の最終調整のためエリーがランも連れて王宮に来ていた。
もちろんアランとレイも一緒に来ていたが、レイはエリーの衣装合わせの付き添いだ。

いつもなら王宮に着くなりゾルティーと遊びだすランがその日はエリーから離れなかった。
不思議に思いながらもランを好きにさせることにした。


母上が待ち構えている衣装部屋の前まで手を繋いで行ったが俺は入室を拒否された。

何でだ!
俺だってエリーのウエディングドレス姿が見たいんだ!
デザインすら教えてくれないではないか!
部屋の入り口で駄々を捏ねる俺をランが澄まして素通りして入って行く。

中から母上の歓喜の声が聞こえる。
そう、ランをひと目見た時から気に入った母上は今ではゾルティーとランの取り合いになっている。

その様子を微笑ましく見ている女神のようなエリーがもうすぐ俺の妻になるのだ。

俺のために覚悟を決めてくれたエリー。

これから先、辛いことも悲しいこともあるだろうが、俺は必ずエリーを幸せにする。

「ルフィ、衣装は結婚式までのお楽しみよ。衣装合わせが終わったらルフィの執務室に顔を出すからそれまで待っていてね」

「・・・わかった」

かがんでエリーの額にチュッとキスを落とす。
その後ろをエリーを着付けるメイドたちが俺たちから視線を外して部屋に入って行く。
見られたことが恥ずかしかったのか顔を赤くしたエリーが睨んでくるが、その顔だって可愛いだけだぞ。

エリーを部屋に入れて去ろうとした時、ランの唸り声が聞こえたと同時に物が壊れた音がした。

慌てて部屋に入ると一人のメイドを取り押さえたレイと目が合った。
すでに真っ青な顔で震えているメイドを拘束したレイが「このメイドの素性を調べ、裏にいる人物を吐かせて!」とドアの外にいた護衛騎士に身柄を引き渡した。

メイドの怯え方を見る限り、何かしたことは間違いないだろう。

レイお前俺から見てもカッコイイな。
エリーと母上も目をキラキラさせてそんなレイを見ている。

壊れた音の正体は化粧品?
辺りに散らばった物の中からランが1つくわえて俺に持ってきた。

「すぐに調べさせろ」



容器を渡して調べさせている間に、俺の執務室では眉間に皺を寄せたアランと、ランを褒めちぎるゾルティーとグレイにザック。

ガルはレイとエリーの側にいる。

まだ結果は出ていないが、俺たちはランを信用している。
何かしらの結果が出るはずだ。

それにしても、食べるもの、飲むものには毒見が付くが、口紅までは気が回らなかった。



数時間後、口紅に混入されていたのが毒だと判明した。
命までは落とさずとも体に麻痺が残るものだと医師から説明されたが、他国の毒で我が国では使用を禁止された違法薬物だ。

そして、取り調べを受けていたメイドの証言からセルティ嬢の名前が出てきたのだ。

王家の影からは毒の入手など報告にはなかった。

影を欺き、どうやって毒を手に入れた?

「どんな手を使ってもいいメイドからそれも聞き出せ!」



もし今日ランがエリーの側にいなかったら?

たとえエリーに麻痺が残ろうが俺の気持ちが変わることはないが、引け目を感じたエリーが身を引こうとするのは目に見えてる。

何かしてくると予測はしていたが、ここまで愚かだったとは・・・

絶対に許さない。
お前も、お前を止められなかった公爵も、関わったすべて者にも目に物見せてやる!




「ねえルフラン殿下。僕にいい考えがあるんだけど乗ってみない?」

それまで難しい顔で一言も発さなかったアランが、男でも見惚れるような笑顔で提案してきた。

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