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ウインティア王国編
107
「それからガルがセルティ公爵夫人の学生時代の友好関係を調べてくれたんだ・・・」
俺は皆の顔を見回してから続ける。
影のことはエリーやレイにはまだ知られたくないからな。
「コウカ国からの留学生と一時期懇意にしていたことが分かった」
「コウカ国って、かなり遠方にある国だよね?」
流石アランだ知っていたか。
「私たちの結婚式にも招待しているわよね」
「ああ、当時はまだ友好国ではなかったにも関わらず我が国に留学してきたんだ・・・なのに3ヶ月程で帰国している」
「何があったの?」
「当時母上を含む3人の婚約者候補のうち2人が毒殺されたんだ。疑われたのは母上だったが、それは父上が容疑を晴らした。留学生は2人が毒殺されてすぐに帰国しているんだ」
「セルティ夫人に毒を渡したのが留学生だったと?」
「それは分からないが、この国にはない毒で2人が亡くなったのは間違いない。その毒とセルティ嬢がメイドに渡していた毒と、セルティ夫人が服毒自殺した毒が一致したことも確かだ」
「ん~状況から留学生がセルティ夫人に毒を渡した可能性が高いが、毒殺したのはセルティ夫人の指示を受けたメイドだよね?なら20年前の毒殺は留学生は関与していなかった気がするな」
「ええ、もしかしたら"乙女ゲーム、転生者"と言うのもセルティ夫人ではなく、その留学生なんじゃないかしら?」
「レイもそう思う?私もなの。"お母様"はセルティ夫人で、留学生がセルティ夫人に乙女ゲームの内容を話した転生者。それを母親からセルティ嬢は聞いて知っていたんじゃないかしら?」
「今はその辺も踏まえて調べているが、結婚式にはコウカ国の王太子とその婚約者が出席すると報告を受けている」
「今ね別室にガルとグレイとザックが待機しているんだよね。彼らにもエリー嬢とレイ嬢に前世の記憶があることを教えていた方がいいと思うんだよね。ダメかな?」
「「いいわよ」」
ゾルティーの提案にあっさりと了承したエリーとレイ。
「もっと早く教えていたらよかったよね」
「ええ、彼らなら信用出来るわ」
一番乙女ゲームに詳しいレイが"ゲームの真実"まで話すことを決めて別室のガル達を呼んだ。
あのマイが転移してきたお茶会にはエリーとレイ以外は参加していたこともあり、その時にはゾルティーとアランが既にゲームの内容を知っていたことも、マイを警戒していたこともレイの話の間に口を挟みながら説明していった。
ゲームで俺が何もしていないエリーを断罪したところでは、軽蔑の眼差しを向けられたが、俺が王位継承権を放棄してまでエリーを選んだ結末を聞いて、何故か残念な子を見るような目を向けられた。なぜだ?
エリーがアトラニア王国に逃げたのは俺を避ける為なのに、執拗く追いかけた俺の執念深さに3人とも顔を引きつらせていた。
俺は執拗くない!
一途なだけだ!
"ゲームの真実"で、マイが投獄されガルとレックスは親に見限られ廃嫡され平民になったことを話すと、ガルは真っ青になっていた。
「お、俺が・・・?あんな女に現を抜かし続けていたら廃嫡?・・・俺、心を入れ替えて本当によかった」
涙目でそう呟く声に何も言えない俺たちをよそにグレイとザックだけが揶揄っていた。
コイツらいい性格しているわ。
レイが全てを話し終わると3人とも納得した顔をしていた。
「こんな話を信用できるの?」
エリーが不安そうに聞くと3人が揃って仲間ですからねと笑顔で答えた。
余程嬉しかったのだろう。
エリーは、ありがとうと言いながらガル、グレイ、ザックを順番に抱きしめていた。
おい!
お前ら何真っ赤になっているんだ!
これが最初で最後だからな!
調子に乗ったレイが自分も別の乙女ゲームでアトラニア王国の悪役令嬢の設定だったと伝えれば、その内容に興味津々になるグレイとザックだったが、ゲームの題名『みんなわたしの虜にしちゃうゾ!ドッキュ~ン♡』と聞くと笑い転げていた。
深刻な話し合いの場だったはずが、笑いの場に変わったのはムードメーカーの2人のおかげだろう。
「ここからが本題だ」
「まだあるの?」
エリー・・・
コテンと首を傾げるエリーは可愛いが、相変わらず呑気だな。
「コウカ国の王太子の婚約者が留学生の娘だ」
皆の顔つきが変わった。
「何も無いかもしれないが、何か仕掛けてくるかもしれない、絶対に気を抜くな!」
「アラン、レイ、ガルはエリーから目を離すな」
3人が頷く。
「グレイ、ザックは陰からエリーを守れ」
「「はい!」」
「俺も極力エリーの側にいるつもりだが、立場上離れざるを得ないこともある。皆頼んだぞ!」
あと一週間もしない間に招待客が続々と到着し、式が終わるまでは王宮に滞在する。
警戒するのはコウカ国だけではないが、留学生の娘の動向は影に見張らせる。
父上と母上にも協力をお願いした。
手筈は万端だ。
20年前の真相が留学生の娘から明かされるとは・・・。
この時の俺たちはまだ知らなかった。
俺は皆の顔を見回してから続ける。
影のことはエリーやレイにはまだ知られたくないからな。
「コウカ国からの留学生と一時期懇意にしていたことが分かった」
「コウカ国って、かなり遠方にある国だよね?」
流石アランだ知っていたか。
「私たちの結婚式にも招待しているわよね」
「ああ、当時はまだ友好国ではなかったにも関わらず我が国に留学してきたんだ・・・なのに3ヶ月程で帰国している」
「何があったの?」
「当時母上を含む3人の婚約者候補のうち2人が毒殺されたんだ。疑われたのは母上だったが、それは父上が容疑を晴らした。留学生は2人が毒殺されてすぐに帰国しているんだ」
「セルティ夫人に毒を渡したのが留学生だったと?」
「それは分からないが、この国にはない毒で2人が亡くなったのは間違いない。その毒とセルティ嬢がメイドに渡していた毒と、セルティ夫人が服毒自殺した毒が一致したことも確かだ」
「ん~状況から留学生がセルティ夫人に毒を渡した可能性が高いが、毒殺したのはセルティ夫人の指示を受けたメイドだよね?なら20年前の毒殺は留学生は関与していなかった気がするな」
「ええ、もしかしたら"乙女ゲーム、転生者"と言うのもセルティ夫人ではなく、その留学生なんじゃないかしら?」
「レイもそう思う?私もなの。"お母様"はセルティ夫人で、留学生がセルティ夫人に乙女ゲームの内容を話した転生者。それを母親からセルティ嬢は聞いて知っていたんじゃないかしら?」
「今はその辺も踏まえて調べているが、結婚式にはコウカ国の王太子とその婚約者が出席すると報告を受けている」
「今ね別室にガルとグレイとザックが待機しているんだよね。彼らにもエリー嬢とレイ嬢に前世の記憶があることを教えていた方がいいと思うんだよね。ダメかな?」
「「いいわよ」」
ゾルティーの提案にあっさりと了承したエリーとレイ。
「もっと早く教えていたらよかったよね」
「ええ、彼らなら信用出来るわ」
一番乙女ゲームに詳しいレイが"ゲームの真実"まで話すことを決めて別室のガル達を呼んだ。
あのマイが転移してきたお茶会にはエリーとレイ以外は参加していたこともあり、その時にはゾルティーとアランが既にゲームの内容を知っていたことも、マイを警戒していたこともレイの話の間に口を挟みながら説明していった。
ゲームで俺が何もしていないエリーを断罪したところでは、軽蔑の眼差しを向けられたが、俺が王位継承権を放棄してまでエリーを選んだ結末を聞いて、何故か残念な子を見るような目を向けられた。なぜだ?
エリーがアトラニア王国に逃げたのは俺を避ける為なのに、執拗く追いかけた俺の執念深さに3人とも顔を引きつらせていた。
俺は執拗くない!
一途なだけだ!
"ゲームの真実"で、マイが投獄されガルとレックスは親に見限られ廃嫡され平民になったことを話すと、ガルは真っ青になっていた。
「お、俺が・・・?あんな女に現を抜かし続けていたら廃嫡?・・・俺、心を入れ替えて本当によかった」
涙目でそう呟く声に何も言えない俺たちをよそにグレイとザックだけが揶揄っていた。
コイツらいい性格しているわ。
レイが全てを話し終わると3人とも納得した顔をしていた。
「こんな話を信用できるの?」
エリーが不安そうに聞くと3人が揃って仲間ですからねと笑顔で答えた。
余程嬉しかったのだろう。
エリーは、ありがとうと言いながらガル、グレイ、ザックを順番に抱きしめていた。
おい!
お前ら何真っ赤になっているんだ!
これが最初で最後だからな!
調子に乗ったレイが自分も別の乙女ゲームでアトラニア王国の悪役令嬢の設定だったと伝えれば、その内容に興味津々になるグレイとザックだったが、ゲームの題名『みんなわたしの虜にしちゃうゾ!ドッキュ~ン♡』と聞くと笑い転げていた。
深刻な話し合いの場だったはずが、笑いの場に変わったのはムードメーカーの2人のおかげだろう。
「ここからが本題だ」
「まだあるの?」
エリー・・・
コテンと首を傾げるエリーは可愛いが、相変わらず呑気だな。
「コウカ国の王太子の婚約者が留学生の娘だ」
皆の顔つきが変わった。
「何も無いかもしれないが、何か仕掛けてくるかもしれない、絶対に気を抜くな!」
「アラン、レイ、ガルはエリーから目を離すな」
3人が頷く。
「グレイ、ザックは陰からエリーを守れ」
「「はい!」」
「俺も極力エリーの側にいるつもりだが、立場上離れざるを得ないこともある。皆頼んだぞ!」
あと一週間もしない間に招待客が続々と到着し、式が終わるまでは王宮に滞在する。
警戒するのはコウカ国だけではないが、留学生の娘の動向は影に見張らせる。
父上と母上にも協力をお願いした。
手筈は万端だ。
20年前の真相が留学生の娘から明かされるとは・・・。
この時の俺たちはまだ知らなかった。
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