【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
113 / 122
ウインティア王国編

113

しおりを挟む
警察官に取り調べをされて、思わず嘘をついた。

"好きな人に振り向いて欲しかった"自分を正当化しようとしてしまった。

私のしたことが "人殺し"だと理解したのは、精神科医と面談した時。

言われてみれば当然だった。

だって、彼女の背中を押したのは私。
彼女は血を大量に流していた。

私が人殺し?
人殺しは悪いことだよ?
私はいつから頭がおかしくなっていたのだろう?
それとも今おかしくなったのだろうか?

分からない・・・

人を殺したら殺人罪になるよね?
あれ?
彼女を殺した私は?

精神科の先生と何度も面談するようになって、自分が何を仕出かしたのか分かった。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・

起きている間中、もういない彼女に謝っていた。
あと50年は生きられるはずの、まだ18歳の彼女の人生を奪ってしまった。

人気者の彼女ならきっと大学でも、社会に出ても、結婚して子供が出来ても、幸せな人生を歩むはずだった。

私は何をしたの?

私のことを覚えていなかっただけで勝手に怒って殺した・・・

・・・彼女と話す機会を無くしたのも、謝ることも出来なくなったのも、全て私が招いたこと。

ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
          ・
          ・
          ・


何日も何日も謝り続けていた。

目を覚ました時には亡くなった母の温かい腕に抱かれていた。

知らないうちに私は死んだのだと理解した。

生まれ変わり。
転生。
何でもいい。

もう一度やり直せるのなら次は絶対に間違わない。

二度と過ちは犯さない。

「そう決めたんです」

最後まで黙って聞いてくれていたレイ様が「もしかしてシンイーの前世の名前は立花 雫ちゃん?」

なぜその名前を?
私のしたことを知っているの?
震えが止まらない。

ここで逃げてはダメだ!
自分の犯した罪と向き合え!

「・・・はい」

「そう・・・未成年だったからテレビや新聞では名前は伏せられていたけれど、ネットに名前があげられたのよ」

「と、当然です。私のしたことは・・・人殺しですから・・・どんなに後悔しても、反省しても許されることではないんです」


部屋が静寂に包まれた。

いつの間にかエリー様の隣にいたランちゃんが握りこんだ私の手を舐めてくれていた。

「許すわ。私が雫ちゃんを、前世の貴女を許すわ」

え?
今なんて?

「ごめんね。あの時の子が雫ちゃんだと気付いてあげられなくて、だって受験の日は雫ちゃん三つ編みのおさげに眼鏡だったでしょ?入学出来たか探したけれど見つからなかったのよ」

困った顔をした、このエリー様はまさか?
まさか最上・・絵梨花・・・先輩なの?
私が勝手に憧れて、殺してしまった先輩なの?
探してくれたって言ってくれた。
忘れられていなかった。

それなのに・・・私のしたことは・・・
勝手に恨んで、命を奪ってしまった。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・


確かにダサい髪をバッサリ切って、眼鏡をコンタクトに変えた・・・気付かれなくて当たり前だ。
やっぱり私はバカだ。



「ご・・・ごめんなさい、ごめんなさい」

「もういいのよ」

エリー様があの時のように震える私の手を包んでくれた。

「ず、ずっと後悔していたんです。転生してからも後悔しなかった日はありませんでした」

泣きながらも謝り続ける私を「大丈夫、大丈夫」とレイ様が背中をさすってくれる。

謝ることを止めない私にエリー様が、前世のご家族のことを教えてくれた。

いつも友達に囲まれていた先輩は、ご両親からは愛されていなかった。

あんな大豪邸とも言える家で一人ぼっちだったと。

「だから転生してからは幸せなの。優しい両親に、甘過ぎる祖父母、心配性な弟に義妹のレイまでいて本当に幸せよ」

でも、私が貴女を殺したことには変わらない・・・

「今も私にはこの世界にも信じられる大切な仲間がいるのよ」

それでも・・・

「それにね。私はルフィを、彼を幸せにする為に転生したと思っているの」

優しくルフラン殿下を思い微笑むエリー様はとても綺麗だった。

「だから雫ちゃん、貴女もジン王太子殿下と幸せになりなさい。過去の過ちを教訓に二度と間違えなければいいのよ」

「わ、私も幸せになってもいいのでしょうか?」

「「もちろんよ!」」

エリー様とレイ様がハモっている。

「私たちは幸せになるために世界を超えて転生したのよ!」

声高々にまるで熱血漫画のセリフを言うなんて・・・
レイ様、可憐な令嬢のイメージが崩れるわ。

そこからは3人の恋バナが始まってしまった。

唯一結婚しているレイ様の話に私もエリー様も赤面する。

「やっぱりアランはお父様の子なのね」

エリー様が小さく呟いたけれど、私の耳には聞こえてしまった。

え?エリー様のお父様もすごいの?

でも、そんなエリー様だって、数日後には・・・



覚悟を決めたお茶会だったのに、前世のことまで許してもらえた。

母のことも・・・

お母様、ありがとうございます。
貴女の教えのおかげです。

また会えたら褒めてくれますか?

しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

処理中です...