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ウインティア王国編
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警察官に取り調べをされて、思わず嘘をついた。
"好きな人に振り向いて欲しかった"自分を正当化しようとしてしまった。
私のしたことが "人殺し"だと理解したのは、精神科医と面談した時。
言われてみれば当然だった。
だって、彼女の背中を押したのは私。
彼女は血を大量に流していた。
私が人殺し?
人殺しは悪いことだよ?
私はいつから頭がおかしくなっていたのだろう?
それとも今おかしくなったのだろうか?
分からない・・・
人を殺したら殺人罪になるよね?
あれ?
彼女を殺した私は?
精神科の先生と何度も面談するようになって、自分が何を仕出かしたのか分かった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・
起きている間中、もういない彼女に謝っていた。
あと50年は生きられるはずの、まだ18歳の彼女の人生を奪ってしまった。
人気者の彼女ならきっと大学でも、社会に出ても、結婚して子供が出来ても、幸せな人生を歩むはずだった。
私は何をしたの?
私のことを覚えていなかっただけで勝手に怒って殺した・・・
・・・彼女と話す機会を無くしたのも、謝ることも出来なくなったのも、全て私が招いたこと。
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
・
・
・
何日も何日も謝り続けていた。
目を覚ました時には亡くなった母の温かい腕に抱かれていた。
知らないうちに私は死んだのだと理解した。
生まれ変わり。
転生。
何でもいい。
もう一度やり直せるのなら次は絶対に間違わない。
二度と過ちは犯さない。
「そう決めたんです」
最後まで黙って聞いてくれていたレイ様が「もしかしてシンイーの前世の名前は立花 雫ちゃん?」
なぜその名前を?
私のしたことを知っているの?
震えが止まらない。
ここで逃げてはダメだ!
自分の犯した罪と向き合え!
「・・・はい」
「そう・・・未成年だったからテレビや新聞では名前は伏せられていたけれど、ネットに名前があげられたのよ」
「と、当然です。私のしたことは・・・人殺しですから・・・どんなに後悔しても、反省しても許されることではないんです」
部屋が静寂に包まれた。
いつの間にかエリー様の隣にいたランちゃんが握りこんだ私の手を舐めてくれていた。
「許すわ。私が雫ちゃんを、前世の貴女を許すわ」
え?
今なんて?
「ごめんね。あの時の子が雫ちゃんだと気付いてあげられなくて、だって受験の日は雫ちゃん三つ編みのおさげに眼鏡だったでしょ?入学出来たか探したけれど見つからなかったのよ」
困った顔をした、このエリー様はまさか?
まさか最上・・絵梨花・・・先輩なの?
私が勝手に憧れて、殺してしまった先輩なの?
探してくれたって言ってくれた。
忘れられていなかった。
それなのに・・・私のしたことは・・・
勝手に恨んで、命を奪ってしまった。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・
確かにダサい髪をバッサリ切って、眼鏡をコンタクトに変えた・・・気付かれなくて当たり前だ。
やっぱり私はバカだ。
「ご・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
「もういいのよ」
エリー様があの時のように震える私の手を包んでくれた。
「ず、ずっと後悔していたんです。転生してからも後悔しなかった日はありませんでした」
泣きながらも謝り続ける私を「大丈夫、大丈夫」とレイ様が背中をさすってくれる。
謝ることを止めない私にエリー様が、前世のご家族のことを教えてくれた。
いつも友達に囲まれていた先輩は、ご両親からは愛されていなかった。
あんな大豪邸とも言える家で一人ぼっちだったと。
「だから転生してからは幸せなの。優しい両親に、甘過ぎる祖父母、心配性な弟に義妹のレイまでいて本当に幸せよ」
でも、私が貴女を殺したことには変わらない・・・
「今も私にはこの世界にも信じられる大切な仲間がいるのよ」
それでも・・・
「それにね。私はルフィを、彼を幸せにする為に転生したと思っているの」
優しくルフラン殿下を思い微笑むエリー様はとても綺麗だった。
「だから雫ちゃん、貴女もジン王太子殿下と幸せになりなさい。過去の過ちを教訓に二度と間違えなければいいのよ」
「わ、私も幸せになってもいいのでしょうか?」
「「もちろんよ!」」
エリー様とレイ様がハモっている。
「私たちは幸せになるために世界を超えて転生したのよ!」
声高々にまるで熱血漫画のセリフを言うなんて・・・
レイ様、可憐な令嬢のイメージが崩れるわ。
そこからは3人の恋バナが始まってしまった。
唯一結婚しているレイ様の話に私もエリー様も赤面する。
「やっぱりアランはお父様の子なのね」
エリー様が小さく呟いたけれど、私の耳には聞こえてしまった。
え?エリー様のお父様もすごいの?
でも、そんなエリー様だって、数日後には・・・
覚悟を決めたお茶会だったのに、前世のことまで許してもらえた。
母のことも・・・
お母様、ありがとうございます。
貴女の教えのおかげです。
また会えたら褒めてくれますか?
"好きな人に振り向いて欲しかった"自分を正当化しようとしてしまった。
私のしたことが "人殺し"だと理解したのは、精神科医と面談した時。
言われてみれば当然だった。
だって、彼女の背中を押したのは私。
彼女は血を大量に流していた。
私が人殺し?
人殺しは悪いことだよ?
私はいつから頭がおかしくなっていたのだろう?
それとも今おかしくなったのだろうか?
分からない・・・
人を殺したら殺人罪になるよね?
あれ?
彼女を殺した私は?
精神科の先生と何度も面談するようになって、自分が何を仕出かしたのか分かった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・
起きている間中、もういない彼女に謝っていた。
あと50年は生きられるはずの、まだ18歳の彼女の人生を奪ってしまった。
人気者の彼女ならきっと大学でも、社会に出ても、結婚して子供が出来ても、幸せな人生を歩むはずだった。
私は何をしたの?
私のことを覚えていなかっただけで勝手に怒って殺した・・・
・・・彼女と話す機会を無くしたのも、謝ることも出来なくなったのも、全て私が招いたこと。
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
・
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・
何日も何日も謝り続けていた。
目を覚ました時には亡くなった母の温かい腕に抱かれていた。
知らないうちに私は死んだのだと理解した。
生まれ変わり。
転生。
何でもいい。
もう一度やり直せるのなら次は絶対に間違わない。
二度と過ちは犯さない。
「そう決めたんです」
最後まで黙って聞いてくれていたレイ様が「もしかしてシンイーの前世の名前は立花 雫ちゃん?」
なぜその名前を?
私のしたことを知っているの?
震えが止まらない。
ここで逃げてはダメだ!
自分の犯した罪と向き合え!
「・・・はい」
「そう・・・未成年だったからテレビや新聞では名前は伏せられていたけれど、ネットに名前があげられたのよ」
「と、当然です。私のしたことは・・・人殺しですから・・・どんなに後悔しても、反省しても許されることではないんです」
部屋が静寂に包まれた。
いつの間にかエリー様の隣にいたランちゃんが握りこんだ私の手を舐めてくれていた。
「許すわ。私が雫ちゃんを、前世の貴女を許すわ」
え?
今なんて?
「ごめんね。あの時の子が雫ちゃんだと気付いてあげられなくて、だって受験の日は雫ちゃん三つ編みのおさげに眼鏡だったでしょ?入学出来たか探したけれど見つからなかったのよ」
困った顔をした、このエリー様はまさか?
まさか最上・・絵梨花・・・先輩なの?
私が勝手に憧れて、殺してしまった先輩なの?
探してくれたって言ってくれた。
忘れられていなかった。
それなのに・・・私のしたことは・・・
勝手に恨んで、命を奪ってしまった。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・
確かにダサい髪をバッサリ切って、眼鏡をコンタクトに変えた・・・気付かれなくて当たり前だ。
やっぱり私はバカだ。
「ご・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
「もういいのよ」
エリー様があの時のように震える私の手を包んでくれた。
「ず、ずっと後悔していたんです。転生してからも後悔しなかった日はありませんでした」
泣きながらも謝り続ける私を「大丈夫、大丈夫」とレイ様が背中をさすってくれる。
謝ることを止めない私にエリー様が、前世のご家族のことを教えてくれた。
いつも友達に囲まれていた先輩は、ご両親からは愛されていなかった。
あんな大豪邸とも言える家で一人ぼっちだったと。
「だから転生してからは幸せなの。優しい両親に、甘過ぎる祖父母、心配性な弟に義妹のレイまでいて本当に幸せよ」
でも、私が貴女を殺したことには変わらない・・・
「今も私にはこの世界にも信じられる大切な仲間がいるのよ」
それでも・・・
「それにね。私はルフィを、彼を幸せにする為に転生したと思っているの」
優しくルフラン殿下を思い微笑むエリー様はとても綺麗だった。
「だから雫ちゃん、貴女もジン王太子殿下と幸せになりなさい。過去の過ちを教訓に二度と間違えなければいいのよ」
「わ、私も幸せになってもいいのでしょうか?」
「「もちろんよ!」」
エリー様とレイ様がハモっている。
「私たちは幸せになるために世界を超えて転生したのよ!」
声高々にまるで熱血漫画のセリフを言うなんて・・・
レイ様、可憐な令嬢のイメージが崩れるわ。
そこからは3人の恋バナが始まってしまった。
唯一結婚しているレイ様の話に私もエリー様も赤面する。
「やっぱりアランはお父様の子なのね」
エリー様が小さく呟いたけれど、私の耳には聞こえてしまった。
え?エリー様のお父様もすごいの?
でも、そんなエリー様だって、数日後には・・・
覚悟を決めたお茶会だったのに、前世のことまで許してもらえた。
母のことも・・・
お母様、ありがとうございます。
貴女の教えのおかげです。
また会えたら褒めてくれますか?
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