【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!

kana

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その後父は仕事に、母はお茶会に出かけて行ったけど、兄に捕まった。

どうも前世の世界の技術や人々の生活が気になって仕方がないらしいの。

確かにパソコンや携帯、車や電車に飛行機!
そりゃこの世界の人にとっては魔法のような世界だもんね。

鋭くキツめのお顔なのに子供のように目がキラッキラしてて可愛いわ!
特に乗り物関係はしつこいくらい聞いてくるの!
でも、わたくし作り方なんて知らないからね?
そんなチートないからね?
出来ることなんて料理と裁縫ぐらいよ?
だから兄よ落ち着け!


兄は祖母が前世持ちだとは知っていたが、詳しくは聞いたことがなかったそうな。
もちろん、わたくしの事も家族だけの秘密になった。

あ~祖母に会いたいわ。
祖母といってもまだ50代よ。
いつの時代の記憶があるのか気になる~
やっぱり昭和の人かしら?



16年も令嬢として生きてきたのに、前世を思い出しだしてしまうと部屋着ぐらいは楽な格好がしたくなるのよね。
大丈夫!裁縫なら得意よ!
無いなら作ればいいじゃない!

早速メイドにお願いして商人を呼んでもらったわ。

伸びる生地なんて無いのかと思えばあったの!
何種類かの色を選んで即購入よ!

「何ができるんだい?」兄よ側をウロウロしないでおくれ。
「出来てからのお楽しみ」と伝えて部屋から出ていってもらったの。

簡単に裁断して、チクチクチク・・あ~ミシンが欲しいわ。
チクチク・・・日が暮れる頃にスエットもどきが完成したの。
ズボンのゴムのところは紐でカバーしたわ。

早速兄にお披露目よ!

兄の部屋に【スエット】もどきを着て訪ねると
また目が輝きだした。
「シア似合ってる!可愛い!」
【スエット】もどきを称賛されると素人の手作りだけに恥ずかしいわ。
「お兄様にもシアとお揃いで作って」ってモジモジ照れながらお願いしてくるの。
ウチの兄は本当に可愛いわ。

「今日はもう疲れたから無理だけどサイズを測ったら明日作りますね」と伝えると抱き締められたわね。
黙ってたらキツめのイケメンが笑顔を見せた時の破壊力って凄いわ!
こんな可愛い兄の為なら頑張れるわ!



次の日も朝からせっせとチクチクチク・・・
さらにチクチクチク・・・2枚目ともなると要領も良くなり1枚目よりも上手く早く作れたわ!

早速兄の部屋を訪れる。
コンコン「アリシアです」
笑顔で迎えてくれる兄。

「お兄様出来ましたよ」
「すぐ着てみる!お茶でもして待っててくれ」よっぽど楽しみにしてたのか寝室に駆け込んで行ったわ。


寝室の扉が開くと同時に「どうだ!見てくれ!」
イケメンって何着ても似合うのね。
ダボッとしたところが少し幼く見えるわ。
「お兄様とても似合っていますわよ」
「動きやすい!シアは天才だ!」
もう!褒めないでってば!
素人の手作りなんだよ!

「外では絶対に着ないで下さいね?それは部屋着なんですからね」強調して言っておくのを忘れないわ!

鏡の前でクルクル笑顔で回る兄よ、乙女かよ?可愛すぎるだろ!


よく小説では前世の年齢+今世の年齢で自分をおばちゃん!なんて書いてあったけど、前世で22歳までしか生きれなかったわたくしは、今世の年齢16歳を足したとしても精神年齢は22歳よ?
当たり前じゃない?
だって学生しか経験したことないもの!
まだ頭も柔らかいはずよ?

だから、素敵な兄を見ても17歳なんて日本では高校生よ?
22歳の大学生から見ると可愛いだけなんだよね~

もちろん、こっちの世界の記憶があるから、めちゃくちゃに甘やかしてくれる兄は頼りになるし尊敬もしているわ。
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