【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!

kana

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その後

2 お祖母様

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ずっと会いたかったお祖母様に会えたのはわたくしの結婚式に出席するために、王都のタウンハウスに来た時だった。

わたくしが前世の記憶を思い出したことは、お祖母様にも伝わっていて、家族とジークが揃ったサロンで共通する話題がないか話すことが出来た。

そこで驚くことになった。

昭和生まれだどわたくしが勝手に思っていたお祖母様は平成生まれでバリバリのキャリアウーマンだったことが判明したのだ。

しかも、亡くなったのは28歳の時で過労死だろうと言っていた。
何よりも驚いたのは死んだのが、わたくしよりも後だったそうで、わたくしとカイトやナタリー様の事件も知っていた。

転生って死んだ順番じゃなかったのね。

「幼いアリシアが『どこでもド〇~』と言って扉を開けたり閉めたりする姿に前世の記憶があることには気付いていたのよ」

そんな記憶はないけど・・・

「毎年会う度に記憶が薄れていることも気付いていたの」

だから教えてくれなかったのね。



あの事件の後のことをお祖母様が詳しく教えてくれた。

資産家のお嬢様が殺されたことで新聞やワイドショーで騒がれたのは仕方がないけれど、お祖母様が印象に残ったのは、3番目の兄が執拗いインタビューに『俺の大切な妹は生まれ変わって幸せになっています』と言った言葉だった。

その3番目の兄と仕事で知り合った事で、気になっていたインタビューの言葉の意味を聞いたらしい。

世の中は狭いっていうのは本当なのね。

その時の兄が嬉しそうに『夢を見るんです。アリシアって名前で家族からも大切にされている夢を何度も見るんです。だから妹を亡くしてしまいましたが、あいつが幸せならそれでいいんです』

お祖母様が兄の言葉を疑うことなく信じられたのは、兄が本当に見てきたように幸せそうな顔をしていたからだそうだ。

そして生まれた孫は兄の言っていた人物と同じ名前と容姿に『どこでもド〇』発言でわたくしだと確信したらしい。

わたくしよりも、あとから亡くなったお祖母様が先に転生した事も驚愕だが、兄の夢とこの世界が繋がっていることの方が不思議だ。

それでもわたくしが死んでから兄が元気で過ごせていることが知れて嬉しくって涙が止まらない。

もしかしたらこの会話も兄の夢に現れているかもしれない。
神様どうかこの思いを兄に伝えて。

「拓斗兄さん!私は幸せだよ。だから安心してね。お父さんにもお母さんにもありがとうと伝えて。陸斗兄さんにも和斗兄さんにも拓斗兄さんにも幸せになって欲しい。私のこの願いを叶えて。拓斗兄さん大好きよ」

(ああ伝えるよ有紗幸せになれ)

そんな声が聞こえた気がした・・・
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