【完結】偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね!

kana

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出迎えてくれたマキュリー公爵家の執事に案内されて通されたのは、手入れの行き届いた色とりどりの薔薇に囲まれたガゼボだった。

「ご機嫌ようユティフローラ様」

エミリア様今日は一段と気品に溢れていて、とっても綺麗だわ。

「ご招待ありがとうございます。エミリア様」

「こんにちはユティフローラ嬢」

エドワード様はラフな格好も似合っているわ。

「ご機嫌ようエドワード様」

ジルにお土産のアップルパイをメイドに渡してもらい席に着いた。



「ねえユティフローラ様お願いがあるの」

いつも堂々としているエミリア様が珍しく伺うように聞いていた。

「??なんでしょうか?」

「わたくしもユティって愛称で呼んではダメかしら?もちろん、わたくしのことはエミーでも、リアとでも呼んでくれて構いませんわ」

愛称ですって!

「もちろん構いませんわ!ユティとお呼び下さい・・・リア様」

嬉しい!けど少し恥ずかしい!でも夢見たい!

「様も付けなくていいわユティ」

いやん!エミリ、、、リアって呼んでもいいの?

「ではお言葉に甘えて・・・リア」

「本当に可愛らしいわ!お人形のようだわユティ」

「では私もユティと呼ばせてもらう。私のことはエドで構わない」

エドワード様まで愛称を呼ばせてくれるなんて!

「はい!よろしくお願い致します。エド」

どうしよう。飛び跳ねたいくらい嬉しい。

「なんでエドまで便乗してるのよ」

ん?

「・・・ユティフローラ嬢では長すぎる。だからお前に乗っかったまでだ」

お前?

「あんたね~」

あんた?

「あ、あのお2人の関係は・・・」

「ああ、私たちは所謂幼馴染みってやつなのよ」

私とジル兄様みたいな関係かしら?

「あの、この国の貴族の子供たちは15歳までは家から出ないと聞いていたのですが・・・」

「間違いではないが、私たちは公爵家の生まれだからな。殿下たちの遊び相手に幼い頃から王宮に呼ばれていたんだ」

「まあ!では殿下方とも幼馴染みなのですね。素敵ですわ」

だから気軽な言葉になっているのね。

「何が素敵なものですか!何度泣かされたことか!思い出しても腹が立つわ!」

一体何があったの?
リアが震えるほど怒るなんて。

「お前が俺たちの遊びに付いてきて勝手に泣いていただけだろ」

「なんですって~」

「木に登れば降りられなくて泣く、かけっこすれば転んで泣く、かくれんぼすれば一番に見つかって鬼はイヤだと泣く」

あれ?思っていたのと違う?

「悔しかったのよ!」

「私にはお前が泣いていた記憶しかない」

これが幼馴染みの関係・・・

私とジル兄様とは違うよね。
ジル兄様はいつも優しかったわ。

私が転ばないように手を繋ぐか、お姫様抱っこしてくれていたわ。
木登りやかくれんぼはしたことがないから分からないけど、ジル兄様なら私が泣くようなことはしないと思うわ。

「あなた達また喧嘩してるの?」

呆れた顔で現れたのはリアのお母様、マキュリー公爵夫人。

「ごめんなさいねユティちゃん。2人は顔を合わせると喧嘩するのよ。いつもの事だから気にしないでね」

「いえ、羨ましいぐらいです。ご挨拶が遅れました。今日はご招待くださりありがとうございます」

「本当に可愛らしいわ!お人形のようだわユティちゃん!」

リアと同じことを言われたわ。
さすが母娘ね。そっくりだわ。

この日から、私とリアとエドの会話から敬語が抜けるようになった。

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