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今学期最終日、終業式が講堂で行われた。
式が終わり教師の合図で解散しようとしたところで、小鳥が囀るような可愛らしい声が響いた。エルザだ。
「皆さん!このまま少しお時間をいただけませんか?」
始まる⋯⋯
今日エルザが動く情報は掴んでいた。
「この学園に違法薬物を王都に蔓延させるという犯罪に手を染めた人物がいます!」
ニヤつくエルザと皆んなの視線が一斉に私に向けられた。
「とても許されることではありません!⋯⋯メイジェーンさん潔く罪を認めて下さい!」
両手を前に組んでお願いポーズはエルザのお気に入りなのか、前にも見たことがある。
「面白いことを仰るのね。どこにそんな証拠が有りますの?」
「が、頑張ってやっと掴んだ⋯⋯しょ、証拠を⋯⋯」
はい!それ泣き真似~!
「証拠を?」
「せ、先日襲われて⋯あたしは命まで狙われて⋯逃げるのがやっとで⋯⋯その時に奪われたのです」
『キャッー』と女生徒の中には悲鳴をあげる人もいた。
でも、ふふっと笑う声も聞こえたってことは、私が責められているのを楽しんでいる人もいるのね。
『やり過ぎたろ』『そんな恐ろしい人だったのか』『最低だな』コレは男子生徒たちだ。
皆んなエルザの言っていることを信じているようだ。
「先日とは何時ですか?何処で襲われたのですか?衛兵には報告したのですか?」
「え?先日は先日です!」
「そんな衝撃的なことが起こりましたのに覚えていないのですか?」
「き、気が動転して⋯⋯」
「では、何処で襲われたのですか?」
「そ、それは王都の街で⋯⋯」
「それなら目撃者がいますわね!」
「え?⋯⋯」
「男爵令嬢とはいえ1人で街中を歩くことはありませんでしょう?護衛やメイドが一緒に居たのではないのですか?」
「そ、その時は1人だったの!」
「もちろん命を狙われたのですから襲われた報告はされましたわよね?」
「し、してないわよ!」
「何故ですか?」
「こ、怖くて家から出られなかったのよ!」
「私の知る限りヒューア男爵令嬢が学園を欠席した日はないと記憶しておりますが?」
「⋯⋯」
もうボロが出そうね。
周りにも矛盾に気付いている人もいるようだ。
「で、違法薬物でしたか?街に蔓延していると?我がイスト公爵家にはあらゆる情報が入ってきますが、そのような報告はありませんわよ?」
「⋯⋯」
「私が何のために犯罪に手を染めないといけませんの?」
「お、お金のためでしょう!」
「うふふっ、お金のため?自慢ではございませんが我がイスト公爵家はこの国一番のお金持ちと言われておりますのよ?」
「ここまでだよ」
あら、お兄様!我慢が出来なかったのね。
「レオクリフくん!」
エルザ、もういい加減学習しようよ。
お兄様の額に青筋がたったのが見えないの?
しかも味方が増えたと勘違いしていらっしゃる。
「私の名を呼ぶなと何度言えば分かる?⋯⋯妹も言っていたが、たかだかはした金の為に犯罪を犯すと思うのか?しかも我が妹に濡れ衣を着せるとは言語道断!」
「え?ごん、ごんご?」
「こんな言葉も知らない君が、よく犯罪の証拠を集められたね?」
うん⋯⋯馬鹿が出来るわけないだろって言っている。
「我が妹が言っていた通り、我がイスト公爵家には色んな情報が入ってくる。⋯⋯そこにメイジェーンに有りもしない罪を擦り付ける計画を立てている者がいると情報が入ったんだよ」
イスト公爵家の名が出てしまえば、どちらの言い分が正しいか生徒たちも考えなくても分かるだろう。
「⋯⋯君だよね。君が嘘の噂を流したんだ。君は街にも行っていないし、もちろん襲われてもいない。当然犯罪の証拠など最初から無かった」
「あ、あったわ!」
「もう一度聞くよ⋯⋯メイジェーンが違法薬物を使って犯罪に手を染めていると噂を流したのは君だよね?」
「ち、ちが⋯⋯ぅ」
再度問われるとろくな反論も思いつかないようね。
「君は指示された通りに動いたんだよね?」
お兄様が優しく問いかけると、エルザが嬉しそうに頷いた。
「そ!そうなの!あたしは悪くないの!指示された通りにやっただけなの!信じてレオクリフくん」
もう突っ込むのはやめよう。
生徒たちも呆れた顔をしている。
「信じる?何を信じるの?メイジェーンが犯罪者だってこと?それとも、誰かの指示に従って君がメイジェーンを犯罪者にしようとしたこと?」
「あ!ご、ごめんねメイジェーンさん!あたしは送られてきた手紙の指示に従っただけなの。ね?あたしは悪くないでしょう?」
⋯⋯馬鹿なの?
「認めましたわね」
「ああ、認めたね」
「え?」
全生徒からのシラケた視線にやっと気付いたようね。
「捕らえろ」
手配していた衛兵たちが入ってくるとエルザが慌てだした。
「え?⋯⋯なんで?謝ったじゃない!」
謝って許されるわけがないのよ。
「ちょっ、ちょっと触らないで!あたしは悪くないって言っているでしょ!」
「お前はまだ理解していないんだな。お前は公爵令嬢に冤罪をかけたんだ。嘘の噂を流し、有りもしない罪を着せメイジェーンを社会的に抹消しようとしたんだ。⋯⋯これこそが罪だ。謝って済むわけが無い」
「ま、待って!待ってよレオクリフくん!」
「何度も言わせるな。不敬罪も追加だ」
「あ、あたしにはリュート様がいるのよ!あたしは王妃になる女なのよ!皆んな!そんな目であたしを見ないで!」
ギャーギャー騒ぐものだから最後にはエルザは引き摺られるように連れて行かれた。
ふぅ~取り敢えずエルザの方は終わりね。
「お兄様ありがとうございます」
「お疲れ様」
そう言って微笑みながら頭を撫でてくれた。
シーンと静まる講堂をお兄様に肩を抱かれて後にする。
安心したからか、疲れがどっと押し寄せてきてお兄様が、周りに冷たい視線を送っていたことには全く気付かなかった。
式が終わり教師の合図で解散しようとしたところで、小鳥が囀るような可愛らしい声が響いた。エルザだ。
「皆さん!このまま少しお時間をいただけませんか?」
始まる⋯⋯
今日エルザが動く情報は掴んでいた。
「この学園に違法薬物を王都に蔓延させるという犯罪に手を染めた人物がいます!」
ニヤつくエルザと皆んなの視線が一斉に私に向けられた。
「とても許されることではありません!⋯⋯メイジェーンさん潔く罪を認めて下さい!」
両手を前に組んでお願いポーズはエルザのお気に入りなのか、前にも見たことがある。
「面白いことを仰るのね。どこにそんな証拠が有りますの?」
「が、頑張ってやっと掴んだ⋯⋯しょ、証拠を⋯⋯」
はい!それ泣き真似~!
「証拠を?」
「せ、先日襲われて⋯あたしは命まで狙われて⋯逃げるのがやっとで⋯⋯その時に奪われたのです」
『キャッー』と女生徒の中には悲鳴をあげる人もいた。
でも、ふふっと笑う声も聞こえたってことは、私が責められているのを楽しんでいる人もいるのね。
『やり過ぎたろ』『そんな恐ろしい人だったのか』『最低だな』コレは男子生徒たちだ。
皆んなエルザの言っていることを信じているようだ。
「先日とは何時ですか?何処で襲われたのですか?衛兵には報告したのですか?」
「え?先日は先日です!」
「そんな衝撃的なことが起こりましたのに覚えていないのですか?」
「き、気が動転して⋯⋯」
「では、何処で襲われたのですか?」
「そ、それは王都の街で⋯⋯」
「それなら目撃者がいますわね!」
「え?⋯⋯」
「男爵令嬢とはいえ1人で街中を歩くことはありませんでしょう?護衛やメイドが一緒に居たのではないのですか?」
「そ、その時は1人だったの!」
「もちろん命を狙われたのですから襲われた報告はされましたわよね?」
「し、してないわよ!」
「何故ですか?」
「こ、怖くて家から出られなかったのよ!」
「私の知る限りヒューア男爵令嬢が学園を欠席した日はないと記憶しておりますが?」
「⋯⋯」
もうボロが出そうね。
周りにも矛盾に気付いている人もいるようだ。
「で、違法薬物でしたか?街に蔓延していると?我がイスト公爵家にはあらゆる情報が入ってきますが、そのような報告はありませんわよ?」
「⋯⋯」
「私が何のために犯罪に手を染めないといけませんの?」
「お、お金のためでしょう!」
「うふふっ、お金のため?自慢ではございませんが我がイスト公爵家はこの国一番のお金持ちと言われておりますのよ?」
「ここまでだよ」
あら、お兄様!我慢が出来なかったのね。
「レオクリフくん!」
エルザ、もういい加減学習しようよ。
お兄様の額に青筋がたったのが見えないの?
しかも味方が増えたと勘違いしていらっしゃる。
「私の名を呼ぶなと何度言えば分かる?⋯⋯妹も言っていたが、たかだかはした金の為に犯罪を犯すと思うのか?しかも我が妹に濡れ衣を着せるとは言語道断!」
「え?ごん、ごんご?」
「こんな言葉も知らない君が、よく犯罪の証拠を集められたね?」
うん⋯⋯馬鹿が出来るわけないだろって言っている。
「我が妹が言っていた通り、我がイスト公爵家には色んな情報が入ってくる。⋯⋯そこにメイジェーンに有りもしない罪を擦り付ける計画を立てている者がいると情報が入ったんだよ」
イスト公爵家の名が出てしまえば、どちらの言い分が正しいか生徒たちも考えなくても分かるだろう。
「⋯⋯君だよね。君が嘘の噂を流したんだ。君は街にも行っていないし、もちろん襲われてもいない。当然犯罪の証拠など最初から無かった」
「あ、あったわ!」
「もう一度聞くよ⋯⋯メイジェーンが違法薬物を使って犯罪に手を染めていると噂を流したのは君だよね?」
「ち、ちが⋯⋯ぅ」
再度問われるとろくな反論も思いつかないようね。
「君は指示された通りに動いたんだよね?」
お兄様が優しく問いかけると、エルザが嬉しそうに頷いた。
「そ!そうなの!あたしは悪くないの!指示された通りにやっただけなの!信じてレオクリフくん」
もう突っ込むのはやめよう。
生徒たちも呆れた顔をしている。
「信じる?何を信じるの?メイジェーンが犯罪者だってこと?それとも、誰かの指示に従って君がメイジェーンを犯罪者にしようとしたこと?」
「あ!ご、ごめんねメイジェーンさん!あたしは送られてきた手紙の指示に従っただけなの。ね?あたしは悪くないでしょう?」
⋯⋯馬鹿なの?
「認めましたわね」
「ああ、認めたね」
「え?」
全生徒からのシラケた視線にやっと気付いたようね。
「捕らえろ」
手配していた衛兵たちが入ってくるとエルザが慌てだした。
「え?⋯⋯なんで?謝ったじゃない!」
謝って許されるわけがないのよ。
「ちょっ、ちょっと触らないで!あたしは悪くないって言っているでしょ!」
「お前はまだ理解していないんだな。お前は公爵令嬢に冤罪をかけたんだ。嘘の噂を流し、有りもしない罪を着せメイジェーンを社会的に抹消しようとしたんだ。⋯⋯これこそが罪だ。謝って済むわけが無い」
「ま、待って!待ってよレオクリフくん!」
「何度も言わせるな。不敬罪も追加だ」
「あ、あたしにはリュート様がいるのよ!あたしは王妃になる女なのよ!皆んな!そんな目であたしを見ないで!」
ギャーギャー騒ぐものだから最後にはエルザは引き摺られるように連れて行かれた。
ふぅ~取り敢えずエルザの方は終わりね。
「お兄様ありがとうございます」
「お疲れ様」
そう言って微笑みながら頭を撫でてくれた。
シーンと静まる講堂をお兄様に肩を抱かれて後にする。
安心したからか、疲れがどっと押し寄せてきてお兄様が、周りに冷たい視線を送っていたことには全く気付かなかった。
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