アンネイセカイ~異世界と姉と安寧と~

蒼月

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異世界で転職する

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 翌朝、僕が起きるとすでにレヴィアさんは起きていた。着替え終わっており、寝顔を見つめていたようだ。恥ずかしい。
「起きてたなら起こしてよ……」
「いやなに、雄君の可愛い寝顔を堪能したくてね。さぁ、着替えるんだ。朝食が待っているよ」
 急いで着替え、流石にその最中は後ろを向いてほしいことをお願いしたが、渋々向いてくれた。
 朝食を食べ終わり、今日の予定は私が忘れていたクエストの報告と、僕のギルドカードの作成が目的だと教えてくれた。
 冒険者ギルドにつくと流石にもう絡んでくる人達はいなく、受付まで行くことが出来た。出来たが第一声がこれだった。
「れ、レヴィアさん隠し子ですかぁ!?」
「そ、そんな訳ないだろう!?」
 周りも吹き出す人が何人かいて、レヴィアの一睨みで静かになった。
「はぁ……勘弁してくれないか?今日はクエストの報告だよ。例の反応の件だが、おそらくこの子が原因だ」
 そう言われ頭に手を置かれる。くすぐったいが優しい手付きで、この人が冒険者なんて信じられないくらいだ。
「反応の場所に言ったらこの子がいた。それに魔物に襲われそうになっていたんだ。ただの子供があの死の森に遊びにでも入るとは思えん。迷い人だろう。この子も声に導かれていつの間にかここにいたと言っていたしな」
 報告は以上だと話を締めると、なるほどと受付も納得しており、報告のため一旦席を外した。少し不安になってくる。その不安を感じ取ったのか、レヴィアに頭を撫でられる。
「大丈夫さ。迷い人、君のような人は珍しくはないと聞いたろう?悪い待遇はしないから安心していいんだよ」
 不思議とレヴィアにそう言われると本当に安心出来るから不思議だ。まるで母親のようだ。
「うん、ありがとう。レヴィア」
 そう言うとレヴィアの顔がにへらっと一瞬緩むが、受付が戻ってきたことですぐに表情を戻す。
「はい、ありがとうございました。これでクエストは完遂になります。現地で発見された子供に関しては特に制限を設けないそうなので、自由で構いません」
「わかった。ありがとう。ところでこの子のギルドカードを作りたいのだがいいだろうか。身分証がなければ何かと不自由だろうしな」
 どうやら僕の年齢でも作れるらしい。というかこの世界では身分証のためだけに作る人が大勢いるらしく、もはや定着してしまっているらしい。
「では、簡単に説明させて頂きます。まず、ギルドカードは全国の冒険者ギルドで有効です。クエストの受注回数、成功、失敗回数が討伐、捕獲、護衛と種類ごとに記録されます。あまり失敗しすぎると制限のあるクエストを受けられなくなるのでお気をつけください。また、冒険者にはランクがあり、FからS、SS、SSSと段階分けされています。ちなみにレヴィアさんはAランクですね。あとは冒険者同士のトラブルは基本ギルドは介入しません。ただ、それによってギルドの設備を破損させた場合は請求させて頂くのでご理解ください。以上ですね」
 簡単とは言っていたが結構詳しく説明してくれた。途中難しい言葉はレヴィアが都度都度分かる言葉で説明してくれたから問題はなかった。ありがたい。
「では、この石版に手を触れてください。届きますか?届かないようなら台を持ってきますが」
「問題ない。私が抱き抱えるからな」
「えっちょっ」
 最後まで言い終える前に抱きかかえられてしまって。あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になるが諦めてそのまま石版に触れる。すると石版に青い幾何学模様が走り、カードが石版の上に浮かび上がってきた。どういう仕組みなのだろうか。
 それを手に取るとるように言われたためその通りにすると、右手の中にカードが吸い込まれてしまった。焦って手を振るが出てくるはずもなく泣きそうになってくる。
「レヴィアさん!なんか入ってきた!」
「お、落ち着け!大丈夫だから!カードオープンと言ってみるんだ!」
 焦りすぎて噛みながらもカードオープンと言うと、右手の甲から空色の透明なボードが出現した。そこには事細かに自身のことが記録されており、職業の所を除き全て埋まっていた。
「職業はどうすれば決められるんですか?」
「教会にある水晶に触れると、その職業に応じた神々の加護を得ることができ、身体能力が上がりますよ」
 日本と同じで八百万の神々の如くいるのだろうか。とりあえず行きたいと思うため、レヴィアに提案する。
「もちろんいいともさ。なに、ヴァーデルが待っているかもしれんが気にすることはない。アイツも……待つことには慣れているからな」
 最後の言葉に悲しみが込められていたように思えるのは気のせいだろうか。気にするなと言っていたため気にしないことにしよう。触らぬ神になんとやらだ。
 冒険者ギルドから出て教会へと行くとようこそと歓迎された。何かを待っている様子だが決して相手からは何も言わない。レヴィアが包を渡し、転写水晶を使いたいことを伝えると案内された。
 その先には6畳くらいの空間だろうか。そこに台座が設置されており、その上に水晶が安置されていた。
「こちらの水晶に触れると今現在就くことが出来る職業が頭の中に浮かびますので、好きにお選びください。選ぶと自動的にカードにも転写されますのでご安心ください」
 言われた通り水晶に触れると頭の中に情報が流れ込んできた。地味に気持ち悪く、酔いそうだ。その浮かんだ文字を確認していくと、20種類以上の職業が浮かび上がる。その中の一つ、魔眼士が気になったため、レヴィアに相談の上それに決めようと思う。決めた瞬間水晶が光り輝き、右手のカードが勝手に出現し、お互いが共鳴し合うように星のように輝く。しばらくするとそれも収まり、カードを確認してみるとしっかりと職業欄に魔眼士が追記されていた。
「ありがとう。おじさん」
「おじさんじゃなくて司祭様だぞ」
「ありがとう司祭様」
 それを聞いた司祭は一礼をして退室を促されるためそれに従い、教会から出る。
「さて、あとはヴァーデルの所に行くだけだな。随分と待たせてしまったから急ごうか」
「そうだね。いこ?」
 頭を撫でられた。一体何回頭を撫でられればいいのか。まぁ、嫌な気はしないから構わないが。
 道を進み南口まで辿り着くと腕を組み仁王立ちをしているヴァーデルがそこにいた。
「遅いではないか!なにをやっておった!」
「いやすまない。雄君のギルド登録と転職をしててな。遅れてしまったよ」
「ごめんヴァーデル」
 転職と聞いて興味が湧いたのか怒りが収まった。次には質問攻めだった。
「転職とな、何に就いたんだ?」
魔眼士であることを伝えると聞いたことがない職業だと言われた。
「ふむ、最初は子供を連れたレヴィアをからかうために着いてきたが、雄はなかなか面白いではないか。ますます興味が湧いてきたわい」
 その他にも色々と聞かれたが、レヴィアが間に入ってくれた。
「まぁ、質問はそこそこにしてこれからの事を考えようか。なぁ、ヴァーデル」
 剣に手をかけながら喋るため威圧感がすごい。流石のヴァーデルも怯んでいた。
「お、おう。そうじゃな。して、どうするつもりなんじゃ?長い間ここを拠点にしていたのにどういうつもりじゃ?」
「雄君のためにな。私は将来魔大陸に行きたいと考えている。閃光の勇者としてな。そのためには雄君には強くなってもらいたいから中央国イルガンドに行きたいと思っている。あそこは1番人が集まるからな。その分依頼も幅広く扱っているから今の雄君にもできる仕事があるだろう」
「なるほどのう。雄のためならばなんでもするのぅ。して、移動手段はどうするつもりだ?空中バスも魔力車のレンタルも街の外へは行けないぞ?」
「まぁ、そこは仕方がないから商人の護衛をしながら徒歩で向かうしかないだろう」
 どうやら方針は決まったらしい。レヴィアの名前を使えば護衛の依頼は困らないとのことだったため、南口集合にしてしまったが、再び冒険者ギルドへ移動することになってヴァーデルはブツクサと言っていたがスルーしておくべきだと思い、そのままにしておいた。
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