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異世界での盗賊討伐、そして人殺し
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冒険者ギルドで護衛依頼の報酬を受け取るためにレヴィアはギルドカードを提出する。この世界では全ての人々が何かしらのカードを持っており、金銭を受け取る際はこうしてカードに振り込まれる仕組みだ。支払う際もカードを出すだけで良いので楽だ。
受け取り、中央国までの護衛がないか見てみるが、見当たらないため一旦宿屋の食堂に引き返すことにした。
「すまない。一つ席を借りるよ」
そう言うと構わないらしく無言で男性の店主に頷かれた。少ししたらサービスで水を持ってきてくれた。
「ありがとう。しかし困ったな。護衛の依頼が無いなら徒歩で向かうことになってしまう」
「それは勘弁して欲しいの。ワシは飛べるが、有事の際のために魔力を温存しておきたいしの。何かあった時に魔力が枯渇しましたでは洒落にならんしなるべくなら歩きたくない」
結局は楽がしたいだけであった。カッコイイイメージのヴァーデルが崩れつつある。
数日待つが、護衛依頼が張り出されることはなかった。全てが集まる国である中央国への護衛が出されないのはおかしい。受付嬢に聞いてみると、流れの盗賊団が新たにアジトを構えたらしい。知らずに行ってしまった商人達は全て皆殺しにされ、女は生きて捕われ、好きにされているらしい。
その盗賊団もかなりの大所帯らしく、依頼を出しても誰も受けてくれずに流通が滞っているとの話だった。
「人が死ぬってことは悪いことだよね」
「あぁ、許せない行為だ。この依頼を受けよう。ヴァーデルも良いな?」
そう言うとヴァーデルは渋い顔をして歩くのかと話していたが渋々了承してくれた。
「まぁ、許せぬことには変わりない。丸焦げにしてくれよう」
盗賊団の情報を聞くと、どうやら60人程の団体で活動しているらしい。すでに中央国へと続く道は無法地帯となっているとのことだ。
目標地点までは遠いため、恐らく二日はかかるとのことだった。そのための食料や武器の手入れ、宿泊用具などの準備に時間を取られた。幸いヴァーデルが空間魔法を使えたため、空間と空間の隙間に収納することが出来たため、ほぼ手ぶらで向かうことが出来る。
準備が終わる頃にはすでに夕暮れだったため出発は明日の朝一番になった。
その後は自由時間になり、いつも通りレヴィアとの鍛錬。ヴァーデルとの魔法練習が待っていた。
最近になり、体力が付いてきたのか走り込みは少なくなり、その短縮された時間に剣術の訓練が待っていた。レヴィアに自己強化の魔法をかけ、魔眼の力を使いひたすら捌ききるという訓練だ。強化をかけたレヴィアの神速剣はまさに神速で、受けるだけで精一杯だった。時折被弾することもあるが、木刀を使っているため青アザが絶えなかった。
ヴァーデルとの訓練は、ブラッディスパイダーを倒した時に出したドラゴンを出現させ、それをひたすら維持するというものだった。このドラゴン、出しているだけで大幅に魔力を喰うかなり燃費の悪い魔法だった。だが、ドラゴンを戻すと魔力はどれほどかわからないが戻ってくるため、限界まで使っては戻しての繰り返しだった。ヴァーデルが言うには、魔法は使えば使うほど魔力容量が上がり続けるらしく、使えば常に消費するこのドラゴンは訓練に最適とのことだった。使った分は幾分か回復するため訓練中はキツいがそれが終わると体は楽なためこちらの訓練の方が楽なのかもしれない。
クタクタで宿屋に戻ると店主に心配された。水を用意してくれていて、とてと助かる。
「ありがとう。店主さん」
「……ダートだ。無理はするなよ」
寡黙だがとてもいい人なのだろう、そのイカつい容姿から怖がられることの方が多そうだ。実際初見で出会った時は恐れ、レヴィアの後ろに隠れていたものだ。
そして、部屋では狭いベッドで三人川の字で寝ることが常習化していた。勘弁願いたい。
翌朝、珍しく僕が起きるのが最後だった。相変わらず僕の寝顔を観察しているレヴィアとそれを見て呆れているヴァーデルは無視して、部屋から出るよう言って着替える。
準備と朝食が終わり、中央国へと向かう道、人国の東口へと向かう。見た目大人一人に子供二人なため視線をたまに感じる。それに対してヴァーデルが少し苛立っていた。
東口の番兵にギルドカードを見せ、盗賊討伐に行くことを伝えると喜ばれた。人国側でも討伐の準備はしているようだが、なにぶん時間が掛かるもので未だにそれは叶っていないため、冒険者ギルドへ回ってきたようだ。
そして出発し、二日後。特に問題はなく進むことが出来た。夜間の襲撃も予想していたがそんなことはなく、子供だからと夜の見張りもなく、久々に広々とゆっくりと眠ることが出来た。
目標地点へとたどり着き、レヴィアとヴァーデルは双眼鏡で、僕は新たにできるようになって魔眼の遠視で見てみると様々な場所で待ち伏せている盗賊たちを発見する。
「さて、雄よ。ワシの魔法を見せてやろう。お主なら魔眼も組み合わせて慣れればもっと上手くできるじゃろう」
そう言うと、立ち上がり、手の人差し指と親指で長方形を作り出した。そして盗賊がいる場所をその中に写していく。そして両手をひらにし、前に突き出す。
「よーし、マルチロック完了じゃ!ゆくぞ!舞い踊る焔よ!写した影を燃やし尽くせ!マルチプルフレア!」
そういうと、両手から拳大の炎塊が次々と天へと射出された。聞いてみると、その魔法は空間魔法で座標を固定し、その場に好きな魔法の雨を降らせることが出来る、いわゆる複合魔法だとのことだった。その座標は目に見えてれば微調整が可能ならしく、かなり魔力は喰うが便利な魔法らしい。
この魔法で潜伏していた盗賊の半数は仕留められた。この様なものを見せられると自分も特訓の成果を見せたくなってきた。
魔眼で確認してみるとまだ何人かいたため、仕留めるために試してみたいことを試してみる。
複数を対象にする。そんなイメージで魔眼を発動させると、残って周りをざわついている盗賊が光点となって表示される。おそらくこれでロックが完了したのだろう。
「氷柱よ、写した光を射殺せ!」
人を殺すのは初めてだったが、大事な人を奪われる悲しみ、憎悪は知っていたため、躊躇いはなかった。
目の前に突き出した手のひらから射出された鋭い氷の柱は真っ直ぐに残党を貫いた。
残党の持っているお金だけ回収して辺りを探すと幸いアジトはすぐに見つかった。
入口には見張りが立っており、それはレヴィアがいつの間にやら移動し、音もなく首を両断し殺していた。
「よし、これであとは中の残党だけだな」
「どれ、ワシに任せておけ」
そうすると使い魔のような生物を召喚した
「こやつはワシと視覚をリンクしていてな。中の様子はこいつに任せよう」
使い魔は進んで行き、ヴァーデルが地面に木の枝で簡単な中の構造を書いていく。
中は基本一本道で、所々分岐している所は女性達の監禁場所らしい。中に女性がいなければ水龍に任せられるのだが、それは出来ない。
「よし、中の構造は大体把握出来た。乗り込むとしよう」
そう言うとレヴィアの姿が消えた。急なことでまさか一人で行ってしまうと思わなかったため魔眼も発動させていなかったからどこへ行ったのか分からない。だが、中から次々と悲鳴が聞こえてくるため、中にいるのは確かだろう。
「……僕達は救助に回ろうか」
「そうじゃな。レヴィアなら心配あるまいて」
そう言いヴァーデルに案内してもらいながら捕まっている女性達を全て非難を完了させた。
外で待っていると、時期にレヴィアが戻ってきた。一緒にいる女性達を見て、満足そうに頷いていた。
「いやはや、捕まっている女性も助けようとしたのだが、すでにやってくれていたようだな。流石だ雄君」
それはそうだ。一人で行ってしまい、その速さに着いていけるわけもないからこれくらいしか出来ることはなかったのだ。
「中に財宝がかなりの数があったから、ヴァーデル。お願いできるか?」
惨状の中を進んでいかなければいけないのかと渋い顔をしながらふよふよと浮かびながら中へ入っていった。
しばらくして、戻ってくると顔が輝いていた。
「すごい量じゃったの。これでワシの懐も潤うわい」
すると何を言っているのかという顔でレヴィアはヴァーデルをみる。
「それは全てギルド経由で換金して、この女性達に分配してするぞ。それをしないと彼女達は路頭に迷ってしまうぞ」
ぐぬぬと歯噛みして最後には了承した。まぁ、当然の処置だと僕も思う。
盗賊のアジトにはおそらく奪ったであろう食料がたっぷりとあったため、鈍行で人国へ戻っても問題なかった。
女性達は衣服がボロボロで見えるようで見えないようなギリギリの服装なため、ギルドへ向かう前に服屋に寄ることにした。およそ20人の女性達の服を買うのは時間と金銭がかかり、夕暮れに人国へ着いたがそれが終わったのは夜の闇がとっぷりと浸かった時間帯だった。
冒険者ギルドは24時間営業なため、夜遅くでも間に合った。夜勤の受付嬢が笑顔で迎えてくれ、後ろの女性達を見て何事かと心配そうな顔になってしまった。
「盗賊討伐の依頼を受けたレヴィアだ。彼女達は囚われていた女性達だ。確認を頼む」
女性達は一人ずつ並ばされ、カードの確認作業が行われた。すると、やはり全員が捜索願を出された女性達で、プラスアジトから持ち帰って財宝の全てを提出することによって依頼は完遂となった。
「すまないが、この財宝は全て換金してこの女性達に分配してやってくれないか。それと寝床だな。確かギルドには臨時の宿泊施設があっただろう?そこにお願いしたい」
「わ、わかりました。ベッドメイキングは済んでおりますので、先にご案内します。なのでレヴィアさん達は少しだけお待ちください」
わかったと話すとゾロゾロと皆が着いていった。アジトから人国への帰路の最中、解放されたことに対する喜びもあったが、慣れない旅や、夜間の魔物襲撃の恐怖でろくに眠れていなく口数は少ない。そして皆表情が乏しかった。今はようやく安心して寝られる場所が出来たことによって皆表情が緩み安心しているのだろうことがわかる。
しばらくすると受付嬢が戻ってきて、報酬の振込が行われた。
全てが終わった頃にはすでに夜中の二時を回っており、途中眠気に耐えられずにギルドで寝てしまった僕はレヴィアに背負われ宿屋へと戻るのであった。
受け取り、中央国までの護衛がないか見てみるが、見当たらないため一旦宿屋の食堂に引き返すことにした。
「すまない。一つ席を借りるよ」
そう言うと構わないらしく無言で男性の店主に頷かれた。少ししたらサービスで水を持ってきてくれた。
「ありがとう。しかし困ったな。護衛の依頼が無いなら徒歩で向かうことになってしまう」
「それは勘弁して欲しいの。ワシは飛べるが、有事の際のために魔力を温存しておきたいしの。何かあった時に魔力が枯渇しましたでは洒落にならんしなるべくなら歩きたくない」
結局は楽がしたいだけであった。カッコイイイメージのヴァーデルが崩れつつある。
数日待つが、護衛依頼が張り出されることはなかった。全てが集まる国である中央国への護衛が出されないのはおかしい。受付嬢に聞いてみると、流れの盗賊団が新たにアジトを構えたらしい。知らずに行ってしまった商人達は全て皆殺しにされ、女は生きて捕われ、好きにされているらしい。
その盗賊団もかなりの大所帯らしく、依頼を出しても誰も受けてくれずに流通が滞っているとの話だった。
「人が死ぬってことは悪いことだよね」
「あぁ、許せない行為だ。この依頼を受けよう。ヴァーデルも良いな?」
そう言うとヴァーデルは渋い顔をして歩くのかと話していたが渋々了承してくれた。
「まぁ、許せぬことには変わりない。丸焦げにしてくれよう」
盗賊団の情報を聞くと、どうやら60人程の団体で活動しているらしい。すでに中央国へと続く道は無法地帯となっているとのことだ。
目標地点までは遠いため、恐らく二日はかかるとのことだった。そのための食料や武器の手入れ、宿泊用具などの準備に時間を取られた。幸いヴァーデルが空間魔法を使えたため、空間と空間の隙間に収納することが出来たため、ほぼ手ぶらで向かうことが出来る。
準備が終わる頃にはすでに夕暮れだったため出発は明日の朝一番になった。
その後は自由時間になり、いつも通りレヴィアとの鍛錬。ヴァーデルとの魔法練習が待っていた。
最近になり、体力が付いてきたのか走り込みは少なくなり、その短縮された時間に剣術の訓練が待っていた。レヴィアに自己強化の魔法をかけ、魔眼の力を使いひたすら捌ききるという訓練だ。強化をかけたレヴィアの神速剣はまさに神速で、受けるだけで精一杯だった。時折被弾することもあるが、木刀を使っているため青アザが絶えなかった。
ヴァーデルとの訓練は、ブラッディスパイダーを倒した時に出したドラゴンを出現させ、それをひたすら維持するというものだった。このドラゴン、出しているだけで大幅に魔力を喰うかなり燃費の悪い魔法だった。だが、ドラゴンを戻すと魔力はどれほどかわからないが戻ってくるため、限界まで使っては戻しての繰り返しだった。ヴァーデルが言うには、魔法は使えば使うほど魔力容量が上がり続けるらしく、使えば常に消費するこのドラゴンは訓練に最適とのことだった。使った分は幾分か回復するため訓練中はキツいがそれが終わると体は楽なためこちらの訓練の方が楽なのかもしれない。
クタクタで宿屋に戻ると店主に心配された。水を用意してくれていて、とてと助かる。
「ありがとう。店主さん」
「……ダートだ。無理はするなよ」
寡黙だがとてもいい人なのだろう、そのイカつい容姿から怖がられることの方が多そうだ。実際初見で出会った時は恐れ、レヴィアの後ろに隠れていたものだ。
そして、部屋では狭いベッドで三人川の字で寝ることが常習化していた。勘弁願いたい。
翌朝、珍しく僕が起きるのが最後だった。相変わらず僕の寝顔を観察しているレヴィアとそれを見て呆れているヴァーデルは無視して、部屋から出るよう言って着替える。
準備と朝食が終わり、中央国へと向かう道、人国の東口へと向かう。見た目大人一人に子供二人なため視線をたまに感じる。それに対してヴァーデルが少し苛立っていた。
東口の番兵にギルドカードを見せ、盗賊討伐に行くことを伝えると喜ばれた。人国側でも討伐の準備はしているようだが、なにぶん時間が掛かるもので未だにそれは叶っていないため、冒険者ギルドへ回ってきたようだ。
そして出発し、二日後。特に問題はなく進むことが出来た。夜間の襲撃も予想していたがそんなことはなく、子供だからと夜の見張りもなく、久々に広々とゆっくりと眠ることが出来た。
目標地点へとたどり着き、レヴィアとヴァーデルは双眼鏡で、僕は新たにできるようになって魔眼の遠視で見てみると様々な場所で待ち伏せている盗賊たちを発見する。
「さて、雄よ。ワシの魔法を見せてやろう。お主なら魔眼も組み合わせて慣れればもっと上手くできるじゃろう」
そう言うと、立ち上がり、手の人差し指と親指で長方形を作り出した。そして盗賊がいる場所をその中に写していく。そして両手をひらにし、前に突き出す。
「よーし、マルチロック完了じゃ!ゆくぞ!舞い踊る焔よ!写した影を燃やし尽くせ!マルチプルフレア!」
そういうと、両手から拳大の炎塊が次々と天へと射出された。聞いてみると、その魔法は空間魔法で座標を固定し、その場に好きな魔法の雨を降らせることが出来る、いわゆる複合魔法だとのことだった。その座標は目に見えてれば微調整が可能ならしく、かなり魔力は喰うが便利な魔法らしい。
この魔法で潜伏していた盗賊の半数は仕留められた。この様なものを見せられると自分も特訓の成果を見せたくなってきた。
魔眼で確認してみるとまだ何人かいたため、仕留めるために試してみたいことを試してみる。
複数を対象にする。そんなイメージで魔眼を発動させると、残って周りをざわついている盗賊が光点となって表示される。おそらくこれでロックが完了したのだろう。
「氷柱よ、写した光を射殺せ!」
人を殺すのは初めてだったが、大事な人を奪われる悲しみ、憎悪は知っていたため、躊躇いはなかった。
目の前に突き出した手のひらから射出された鋭い氷の柱は真っ直ぐに残党を貫いた。
残党の持っているお金だけ回収して辺りを探すと幸いアジトはすぐに見つかった。
入口には見張りが立っており、それはレヴィアがいつの間にやら移動し、音もなく首を両断し殺していた。
「よし、これであとは中の残党だけだな」
「どれ、ワシに任せておけ」
そうすると使い魔のような生物を召喚した
「こやつはワシと視覚をリンクしていてな。中の様子はこいつに任せよう」
使い魔は進んで行き、ヴァーデルが地面に木の枝で簡単な中の構造を書いていく。
中は基本一本道で、所々分岐している所は女性達の監禁場所らしい。中に女性がいなければ水龍に任せられるのだが、それは出来ない。
「よし、中の構造は大体把握出来た。乗り込むとしよう」
そう言うとレヴィアの姿が消えた。急なことでまさか一人で行ってしまうと思わなかったため魔眼も発動させていなかったからどこへ行ったのか分からない。だが、中から次々と悲鳴が聞こえてくるため、中にいるのは確かだろう。
「……僕達は救助に回ろうか」
「そうじゃな。レヴィアなら心配あるまいて」
そう言いヴァーデルに案内してもらいながら捕まっている女性達を全て非難を完了させた。
外で待っていると、時期にレヴィアが戻ってきた。一緒にいる女性達を見て、満足そうに頷いていた。
「いやはや、捕まっている女性も助けようとしたのだが、すでにやってくれていたようだな。流石だ雄君」
それはそうだ。一人で行ってしまい、その速さに着いていけるわけもないからこれくらいしか出来ることはなかったのだ。
「中に財宝がかなりの数があったから、ヴァーデル。お願いできるか?」
惨状の中を進んでいかなければいけないのかと渋い顔をしながらふよふよと浮かびながら中へ入っていった。
しばらくして、戻ってくると顔が輝いていた。
「すごい量じゃったの。これでワシの懐も潤うわい」
すると何を言っているのかという顔でレヴィアはヴァーデルをみる。
「それは全てギルド経由で換金して、この女性達に分配してするぞ。それをしないと彼女達は路頭に迷ってしまうぞ」
ぐぬぬと歯噛みして最後には了承した。まぁ、当然の処置だと僕も思う。
盗賊のアジトにはおそらく奪ったであろう食料がたっぷりとあったため、鈍行で人国へ戻っても問題なかった。
女性達は衣服がボロボロで見えるようで見えないようなギリギリの服装なため、ギルドへ向かう前に服屋に寄ることにした。およそ20人の女性達の服を買うのは時間と金銭がかかり、夕暮れに人国へ着いたがそれが終わったのは夜の闇がとっぷりと浸かった時間帯だった。
冒険者ギルドは24時間営業なため、夜遅くでも間に合った。夜勤の受付嬢が笑顔で迎えてくれ、後ろの女性達を見て何事かと心配そうな顔になってしまった。
「盗賊討伐の依頼を受けたレヴィアだ。彼女達は囚われていた女性達だ。確認を頼む」
女性達は一人ずつ並ばされ、カードの確認作業が行われた。すると、やはり全員が捜索願を出された女性達で、プラスアジトから持ち帰って財宝の全てを提出することによって依頼は完遂となった。
「すまないが、この財宝は全て換金してこの女性達に分配してやってくれないか。それと寝床だな。確かギルドには臨時の宿泊施設があっただろう?そこにお願いしたい」
「わ、わかりました。ベッドメイキングは済んでおりますので、先にご案内します。なのでレヴィアさん達は少しだけお待ちください」
わかったと話すとゾロゾロと皆が着いていった。アジトから人国への帰路の最中、解放されたことに対する喜びもあったが、慣れない旅や、夜間の魔物襲撃の恐怖でろくに眠れていなく口数は少ない。そして皆表情が乏しかった。今はようやく安心して寝られる場所が出来たことによって皆表情が緩み安心しているのだろうことがわかる。
しばらくすると受付嬢が戻ってきて、報酬の振込が行われた。
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