転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

推しに救われて

　まるで、キャラクターが生きているかの様な……本物の人生を歩んでいるかの様な、その濃厚さに、私は直ぐにこのゲームに夢中になった。

　その中でも、私が一番惹かれたのが、この双子の執事なのである。

　彼らの名前は、「リューノ」と「ライノ」。

　破天荒でヤンチャな性格の「兄」が「リューノ」で、非常に大人しく丁寧かつ慇懃なのが「弟」の「ライノ」だった。

　どちらも同じ18歳で、見た目はそっくりな2人。

　膝まである黒髪は2人とも腰の部分で紫のリボンで束ねており、リューノは左側の前髪に金のメッシュを、ライノは右側の前髪に銀のメッシュを入れていた。

　そんな2人はーー前述した様に、このゲームの悪役であり、ラスボスである悪役令嬢の忠実な執事でもあったのだ。

　幼い頃、両親に捨てられ、魔物に襲われてアンデッドとなり街で強盗をして生きていたところを悪役令嬢の「サシャ」に拾われた2人。

　2人は、拾ってくれただけではなく「人間として」扱ってくれたサシャに恩義を感じ、一生仕えると決めたのだ。

（もう……彼らの過去の話はこのアプリで一番……ううん、今までやったどのゲームと比べても一番泣けるわ）

　私は目元の涙をぬぐいながら、何度目になるかわからない双子の過去の話を熟読する。

　そうして、読み終わるとーー私は画面に映し出されている双子の頭をそっと撫でた。

「本当に……君達は頑張って……よく、生きててくれたね……。私と出会ってくれて、ありがとう」