転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

目が覚めたら

ーーあれから、どれ位の時間が経ったのだろう。
優しい花の香りに、私は目を覚ます。

と、最初に私の視界に飛び込んできたのは、純白に金で装飾がされた、とても豪奢で美しい天井だった。

（あの天井の質感は……大理石かしら……？と、いうか……私は……フィギュアを取り戻そうとして、通り魔に刺された筈……）

と、いうことはーー此処は救急病院なのだろうか？

（私、どうなったの……？ううん、それより、フィギュアは無事……？）

私は慌てて首を動かすーーが、やけにベッドの周囲の柵が高く、周りを上手く見ることが出来ない。

しかも、こころなしか天井もとても高い様なーー。

でも、今はそんなこと気にしている場合じゃない。

私にはあのフィギュアをメーカーさんに届け、2人の姿をこの世に残すという大事な使命があるのだ。

私は、異様に重く感じる肉体をどうにか起こそうとする。

が、何故だか上手く起き上がることができない。

（嘘でしょ……。まさか、私……脊髄を損傷して……？）

いや、通り魔に刺されて生きてるだけでも奇跡と考えよう。

私はそう気を取りなおすと、ナースコールのボタンは無いかと周囲を見回した。

と、その際ーー私は、自分が寝ているベッドの真横に大きな鏡があることに気づく。

ゆっくりと首を動かし、視線を巡らせ、鏡に映った自分の姿を確認しようとする私。

そうして、鏡に映っているものを見た瞬間、私は戦慄した。

（え、な、何これ……？一体どうなってるの……？）

なんと鏡には、ゆりかごに横になった赤ちゃんが映っていたのだ。