転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

いざ現地へ！

それから数時間後。

フットワークの軽すぎる両親と共に、私はリューノとライノが住んでいるであろう町「マディスタウン」を訪れる。

その町は、私がゲーム画面で見たのと全く同じ町だった。

（ああ……！まさか、自分が大好きなゲームの登場人物になれた上、その世界にいられるなんて……！）

双子の住む町を見て、今更ながらにアプリゲーム内に転生したことに深く感激する私。

でも、いつまでも感激してばかりではいられない。

私は、大好きな推しを今から助けなくてはいけないのだ。

（絶対に見つけ出して……必ず助けてみせるわ！）

そう、心の中で誓う私。

そうして私は、母の腕に抱かれながら、そっと音の魔法を操ってみる。

ゲーム内で何度も聞いたあのリューノとライノの子供の頃の声を聞き取り、それで家を探すのだ。

音魔法により耳に届けられる複数の声ーーその中から、彼らの声だけを必死に探す私。

と、

「ふざけるな！やめろよ！クソ親父！」

という悲痛な叫び声が私の耳に届いた。

（この声はっ……！）

間違いない、リューノの声だ。

それに、リューノの声の近くでは激しく泣き叫ぶライノの声もしている。

きっと、今、両親から虐待を受けている真っ最中に違いない。

私は必死に両親にそれを伝えようとして、はっとした。

（そうだ……。私……赤ちゃんだから、話せないんだったわ……）