転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

この世界の危機

その聖女が、この世界を私物化しようとしているなんて有り得ないーー。

私は気づくと、思った通りにその言葉を口に出していた。

「私が知ってる聖女は、とても優しくて慈愛に満ちたキャラクターだったと思うのだけれど」

と、私の言葉に同意を示す様に頷くサイフォ。

彼は静かに私の瞳を見つめると、こう言った。

「ああ。確かに聖女本人は、優しく愛情深い娘だったよ。本人は、ね」

なんだか引っ掛かりのあるそのセリフに首を傾げる私。

と、その時ーー私は、先ほどサイフォが言っていたセリフを思い出す。

『聖女が……君と同じ様に異世界からやって来た聖女が、この世界の全てを私物化しようとしているのだよ』

そうだ。

先ほど、サイフォはそう言っていなかったか。

ただの聖女ではなく「異世界からやって来た聖女」ーー。

私は、その言葉にきっと何か理由があるのだろうと彼に言葉の続きを促す私。

すると、サイフォは静かに頷き、こう告げた。

「……残念ながら、今の聖女は聖女ではないんだ。正確には……聖女は、君の様に異世界から転生してきた人間に肉体と魂の両方を奪われてしまったのだよ」

「ええっ？？！」

サイフォの言葉に、驚きのあまり思わず大声を上げる私。

しかし、周囲は時間が止まったままらしく両親や双子達が私の声に気づくことはなかった。