転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

サイフォの企み④

「サシャ？この世界を……君が望むハッピーエンドの世界に導いてみないかい？」

私を見つめたまま、そう問いかけてくるサイフォ。

きっと、私が今頭の中に描いているハッピーエンドの世界を実現するにはーー恐ろしく時間がかかるし、その道のりだってとても大変なことだろう。

でもーー。

「いいわ。やってみてあげる」

私はサイフォの言葉にそう告げると、大きく頷いてみせた。

と、サイフォも私に頷き返すや、手を差し伸べてくる。

私も、彼の手を握り返すと、頷いてみせた。

すると、「これで決まりだね」と微笑むサイフォ。

彼は、

「では、君に何か危険が及ばない様……私も、これからは君に同行するとしよう」

そう告げるや、両手を胸の前で合わせ、何やら呪文を唱え始める。

瞬間、ぽんっと何かが弾ける様な音がすると同時、サイフォの全身を真っ白な煙が包み込む。

そうして、煙が晴れるとーーそこにいたのは、小さくて真っ白な子だぬきだった。

「？？！！」

（え？あれ？サイフォは？）

私は突如としてサイフォが消えたことに動揺し、慌てて辺りを見回す。

とーー、

「大丈夫だよ、サシャ。私はここにいる」

不意に目の前の子だぬきが喋ったではないか。

「っ？？！たぬ？？！喋った？？！」

すると、私の言葉にひょいと小さくふわふわな白い前足をあげてみせる白狸。

狸はそのまま、私にこう語りかけた。

「私がサイフォだよ。他の人間に怪しまれない様、動物の姿に変身したんだ」