私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

狂気の生贄

数ヶ月後。

幸いにも落下した先に、丁度引っ越しの荷物――それも、大量の布団を積み込んだトラックがあり、奇跡的に一命を取り留めた私と風香。

その後、私は、「瀧川たきがわ 風香ふうか」として警察病院に収監されていた。

世間では、私は、自分が幸せになりたいが為だけに同級生を殺そうとした狂気の少女として一躍有名になっている様だ。

（違う、違う……私は、本当は被害者……永宮ながみや 真紀まきなのに……！）

私は、取り調べ中も警察に何度もそう主張したし、医者にだってそう伝えた。

けれど、私の意見が聞き入れられることは一切なかったのだ。

と、いうのも――あの夜、私が風香に拉致された際、私は気づいていなかったが、私の服は風香の物に着替えさせられていたらしい。

しかも、ご丁寧に、下着まで風香のものを履かされていた様だ。

加えて、風香が「真紀しか知らない様な情報」を知っていたことと、何より――風香の両親が「『私』を風香だと認めてしまったこと」で、名前はおろか、存在が完全に入れ替えられてしまった私。

勿論、私は風香の両親に、「私は本当は真紀なんだ」と訴えた。

が、そんな私を見つめ、嫌な笑みを浮かべる風香の父。

彼は私の肉体に視線を滑らせると、笑みを浮かべたままこう言ったのだ。

「そんなことは勿論知っているよ、真紀ちゃん。君は、ちょうど良かったんだ。最近、風香は何をしても抵抗しなくなっていたからね。動かないお人形なんて面白くないだろう？だから、君にはとっても期待しているんだよ。可哀想で可愛らしい真紀ちゃん」

私の耳元で囁く様にそう告げるや、私の耳たぶにねっとりと舌を這わせて来る風香の父。

私は、全身に鳥肌が立つのを抑えられなかった。

（……早く、逃げ出さなければ！この人と一緒にいたら、私、何をされるかわからない……！）