私を返せ!〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

天咲 琴葉

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第一部 Side 永宮 真紀

苦渋の決断②

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「新しい人生を……何もかも忘れて、お母さんや剛志達とゼロからスタート出来たら……きっと、一番良かったんだと思う」

実は、私もそうしようと色々努力はしてみた事があった。

働きながらも、今の家族とは積極的にコミュニケーションはとったし、この土地に慣れて来た頃には土日には氷川神社や参道のお店まで出かけたりした。

家族でランチもしたし、行事も見に行った。

かけがえのない体験を、沢山積み重ねはしたと思う。

「でも、どうしてもダメだったんです……」

綺麗なものを見たり、楽しい体験をする度、私の心の中には常に実の家族の面影がよぎっていた。

(ああ……これは、お母さんが喜びそう。あっちはお父さんが好きそうだな……)

自分でも無意識にそう考えてしまっていたのである。

「……私、やっぱり家族の事が忘れられないんです」

私は、真っ直ぐに剛志のお母さんに瞳を向けた。

「働くことは……家族を取り戻すために始めました。でも、皆と暮らす日々は本当に楽しくて……時々、もう復讐なんてしなくていいんじゃないか、このまま由希奈として生きていってもいいんじゃないか……そう思う日も、確かにあったんです」

お母さんに、飾らずーー本心からの言葉を告げていく私。

「けど……。実の両親を忘れることは、どうしても出来なかったんです」
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