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第四章:八年間の友情
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……自分の名を呼ぶ,優しい声がした。
おそらくそれは,永い間――聞くことができなかった,懐かしすぎるものである。
そう。それは,彼のもの。スウェンはたしかに聞いた。
「……ジャックか……?」
声の方を,振り返る。
太陽の光が,金色に輝いてとても眩しい。
ロングヘアを一つに結ぶ,綺麗な頭。薄く化粧をした,笑った顔。見たこともないような,ド派手な金の王子服。
そして片手に持つ,いつもと変わらない大きな弓。
八年間大切にしてきた友が,そこには立っていたのである。
「ジャック! ジャック!!」
今にも泣きそうな声で,スウェンは彼に抱きついた。
「ジャック! お前……バカ野郎! お前は,くそったれだバカ野郎! でもごめん……本当にごめん」
ジャックに会えたら,言いたいことがたくさんあったはずなのに,スウェンはそれを全部忘れてしまった。自分でも,何を言っているのか全く分からなかった。
しかしジャックは,抱きしめる力を強くしながら,明るい声で言う。
「スウェン……お前も,立派なバカ野郎だぜ! でも……戻ってきてくれてありがとう。オレ,バカ野郎なお前のことまじでまじで大好きだよ!」
「……何だよ,気持ち悪ぃな! でも,俺だってお前のこと……大好きだ!」
スウェンは嬉しくてどうしようもなかった。さっきまでの絶望などどこかへ消えていた。
いつしかスウェンは,自分の肩の辺りが濡れていることに気付く。ジャックが,泣いているのであった。
照れながらも,スウェンはそんな彼の腕の中でこう言った。
「なぁ,ジャック。……俺たちずっと,友だちだよな」
「……は?」
突然ジャックはスウェンの肩を離れ,涙を拭いてから真剣な眼差しでこう答えるのだ。
「オレたちは,友だちなんかじゃない」
それを聞いた瞬間,スウェンは唖然とした。
「困るんだよ,スウェンにそんなこと言われると」
「……なに,言ってるんだ」
「よく考えてもみろよ。オレ,お前と友だちだって思ってないぜ!? ――だってオレたち“親友”だろ!」
「……!」
ハッとした。スウェンは心の中で,わっと泣き崩れる。
――参った。幸せだ
二人は笑い合った。いつものように。ばかみたいに大きな声で。
――笑顔の中で,ジャックは実に,どうでもいい話をした。
「オレは人を殺す。戦争が終わらない限り,この先も,ずっと」
真剣な表情を浮かべて。
「それでもスウェンは一緒にいてくれるのかよ?」
スウェンは鼻で笑った。
「当たり前だ! お前が戦うのには,どうしようもない理由があるんだ。仕方ないことだろ。こんな時代に生まれてこなければよかったと,何度思っただろう。でも,こんな時代に生まれたからこそ,お前に出会えたんだよな。だから,一緒に……戦っていこう」
スウェンはこの上ない微笑みを彼に見せ続けた。
少年のようにニッと白い歯を見せて笑い,ジャックは言った。
「ありがとう,スウェン。一緒に行こう。
実はこの先にロバウト号を停めてきたんだ。町でお前が手を振ってくれてたの,ホントは気付いてたんだぜ。町で着陸するのは無理があったんでな」
「そうだったのかよ。全く焦ったよ! さぁ、グダグダしてるひまはないぜジャック!」
二人はもう一度、抱き締めあった。
世界一仲が悪くて世界一最高の親友たちは,新たな友情を始めた。
――「エイダ!」
明るい声で彼女の名を呼び,スウェンは振り向いた。
しかしその瞬間。
一気に天国から地獄に突き落とされた気分になった。一瞬にして,笑顔を奪われた。
「エイダ……?」
「ど,どうしたんだエイダ。おい! しっかりしろ! エイダ!!」
彼女は一人,砂の上に倒れこんでいた。そのかわいらしい顏を,真っ青にして……。
おそらくそれは,永い間――聞くことができなかった,懐かしすぎるものである。
そう。それは,彼のもの。スウェンはたしかに聞いた。
「……ジャックか……?」
声の方を,振り返る。
太陽の光が,金色に輝いてとても眩しい。
ロングヘアを一つに結ぶ,綺麗な頭。薄く化粧をした,笑った顔。見たこともないような,ド派手な金の王子服。
そして片手に持つ,いつもと変わらない大きな弓。
八年間大切にしてきた友が,そこには立っていたのである。
「ジャック! ジャック!!」
今にも泣きそうな声で,スウェンは彼に抱きついた。
「ジャック! お前……バカ野郎! お前は,くそったれだバカ野郎! でもごめん……本当にごめん」
ジャックに会えたら,言いたいことがたくさんあったはずなのに,スウェンはそれを全部忘れてしまった。自分でも,何を言っているのか全く分からなかった。
しかしジャックは,抱きしめる力を強くしながら,明るい声で言う。
「スウェン……お前も,立派なバカ野郎だぜ! でも……戻ってきてくれてありがとう。オレ,バカ野郎なお前のことまじでまじで大好きだよ!」
「……何だよ,気持ち悪ぃな! でも,俺だってお前のこと……大好きだ!」
スウェンは嬉しくてどうしようもなかった。さっきまでの絶望などどこかへ消えていた。
いつしかスウェンは,自分の肩の辺りが濡れていることに気付く。ジャックが,泣いているのであった。
照れながらも,スウェンはそんな彼の腕の中でこう言った。
「なぁ,ジャック。……俺たちずっと,友だちだよな」
「……は?」
突然ジャックはスウェンの肩を離れ,涙を拭いてから真剣な眼差しでこう答えるのだ。
「オレたちは,友だちなんかじゃない」
それを聞いた瞬間,スウェンは唖然とした。
「困るんだよ,スウェンにそんなこと言われると」
「……なに,言ってるんだ」
「よく考えてもみろよ。オレ,お前と友だちだって思ってないぜ!? ――だってオレたち“親友”だろ!」
「……!」
ハッとした。スウェンは心の中で,わっと泣き崩れる。
――参った。幸せだ
二人は笑い合った。いつものように。ばかみたいに大きな声で。
――笑顔の中で,ジャックは実に,どうでもいい話をした。
「オレは人を殺す。戦争が終わらない限り,この先も,ずっと」
真剣な表情を浮かべて。
「それでもスウェンは一緒にいてくれるのかよ?」
スウェンは鼻で笑った。
「当たり前だ! お前が戦うのには,どうしようもない理由があるんだ。仕方ないことだろ。こんな時代に生まれてこなければよかったと,何度思っただろう。でも,こんな時代に生まれたからこそ,お前に出会えたんだよな。だから,一緒に……戦っていこう」
スウェンはこの上ない微笑みを彼に見せ続けた。
少年のようにニッと白い歯を見せて笑い,ジャックは言った。
「ありがとう,スウェン。一緒に行こう。
実はこの先にロバウト号を停めてきたんだ。町でお前が手を振ってくれてたの,ホントは気付いてたんだぜ。町で着陸するのは無理があったんでな」
「そうだったのかよ。全く焦ったよ! さぁ、グダグダしてるひまはないぜジャック!」
二人はもう一度、抱き締めあった。
世界一仲が悪くて世界一最高の親友たちは,新たな友情を始めた。
――「エイダ!」
明るい声で彼女の名を呼び,スウェンは振り向いた。
しかしその瞬間。
一気に天国から地獄に突き落とされた気分になった。一瞬にして,笑顔を奪われた。
「エイダ……?」
「ど,どうしたんだエイダ。おい! しっかりしろ! エイダ!!」
彼女は一人,砂の上に倒れこんでいた。そのかわいらしい顏を,真っ青にして……。
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