約束通り悪魔がいた

まほまほ

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とある交差点の悪魔

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 かくれんぼ、おにごっこ、ケイドロ、缶蹴り。

 子供の頃の集団系の遊びは、平凡な日常を彩り鮮やかな思い出へと変化をくれる。

 まるで、お祭りだ。

 あれ、どうして今、その思い出が浮かび上がったんだろう。

「ねぇ 私の話聞いてる?」
「あ・・・」

 そうだ。
 思い出した。

 私は、なぜか気付いたら人気が全くない交差点にいて、交差点の真ん中に立っていた、〝この男〟に呼び止められたんだ。

 その時の男のセリフが、妙に印象的で・・・

『やあ、見つけてくれたね』

 私とは初対面のはずなのに、なぜか私のことを知っているような言い方。

 それから・・・うまく思い出せないけど、昔の記憶を思い返してた。

「はは 混乱だね」

 口や表情では笑っているのに、冷たい空気を感じる。
 他人の笑い方ってこんなものだっけ。

「えと、あ、あなたは誰ですか?」

 私は、率直に尋ねた。

「だよね その反応が普通だね ありきたりだ だけど正しい 不思議だね」
「ちゃ、ちゃんと答えてください!」

 未だ、誰も人が通る気配がない交差点。
 私は、とても恐ろしかった。

 その場の雰囲気のせいもあるけど、何よりも恐ろしいのは・・・

「あなたは、私をどうするつもりなんですか? これってまさか神隠しってやつですか?」

 〝男〟は、ふと思いついたかのように考える素振りを始めた。

「神隠し・・・ 神、ねぇ? 物は言いよう 例え話であっても、その名は私には不適格だ」

 〝男〟の表情は陰りを見せる。
 どんよりと、見ただけで悍ましさを感じさせる表情。

 人ができる顔じゃない。

「・・・まさか、悪魔・・・?」
「はは 正解 正しい理解だ そして、私の名は「約束のロム」という・・・」

 男〝ロム〟は、ニコリと笑顔で答えた。

「悪魔・・・そんなの実在するわけがない」
「では、これは夢で構わない 夢の中でちょっとしたお話でも、いかがか?」
「・・・つかみどころがない話し方はやめてください。警察に通報します」

 私は、スマホをカバンから取り出す。

 が・・・

「さて、この事態、警察が動いてくるかな? というよりも、まずは・・・」

 私は、この状況を全く理解できていなかった。

「え? 圏外!? なんで、こんな街の交差点でアンテナ立たないなんておかしいでしょ!?」
「だからいったよね 私とお話でもいかがか?」
「まさか、話すまで逃がさないとでも言うんじゃないでしょうね?」
「ははは それはかなり人間味溢れる発想だ だが、違う 私はそんな人間性は持ち合わせていない」

 悪魔ロムの纏う冷たい雰囲気が、ガラリと変わった。

「私は悪魔だ 誰か他人の約束を肩代わり悪魔 つまり、君の前に私が現れたということは、忘れられた不履行の約束を果たす時が来たということ」
「〝不履行の約束〟?」

 悪魔ロムは続ける。

「あいにく、私が自身の起源に逆らうことができない つまり、私が君をここから逃がさないようにしているのではなく、君が自らここに迷い込んだという方が正しい」
「私がここに来た? じゃあどうやって出ればいいの!?」
「やだな まるで私が出口を知っているかのような誤った理解だ 誤解だ」

 じゃあ誰がここからの出方を知ってるってのよ。

「いいかい? 私はあくまでこの空間を作り出している存在に過ぎない だから、私はこの空間の出方は知らない だが、君はその私が作った空間を〝使って入った〟 つまり、この空間の扱い方〝脱出方法〟は君が知っているんだよ」

 まるで意味が分からない。
 この悪魔は人を小ばかにするするのだけは悪魔並みだわ。

「どうすればいいの・・・ 私、こういう謎解きはすっごく苦手」
「あ、ちなみに一つ言っておくと」
「なによ まさかまだ条件があるとか言わないでしょうね」
「私もここからの脱出方法が知りたい」

 え?

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