アラフォーの悪役令嬢~婚約破棄って何ですか?~

七々瀬 咲蘭

文字の大きさ
57 / 150
第一部

第42話 告白!

しおりを挟む
 フードをつかんで深く被ったまま、私は縦に大きく頭をふった。
 前が見えない……。このフード、マルサネにはいいけど、私にはデカ過ぎる。

「ありがとう、ルーチェ」
「いいえ、お嬢様。私もまたお会いできて嬉しいですわ」 
「サラック茶が好きなって……」
「もちろん、サラック様もお好きなほうのお嬢様という意味ですわ。そうでございましょう?」
 ルーチェがウィンクして、私に笑いかける。


「……ルーチェ」
「最近のお嬢様は、知恵熱とやらを出される前のお嬢様に戻られたご様子……。元々マルサネ様は、フルーツ系は大の苦手、サラック茶は本当にお嫌いみたいです。見るだけで不機嫌になっておられました」
「はぁ」
 マルサネ、甘いの苦手みたいだもんね。私は大好きだけど。

「で、どういう仕組みで変わられますの?知恵熱とかいう病のせいですか?何かよくわかりませんが、ややこしいことですねぇ。しかも、今回、声まで変わってません?」
 ルーチェが不思議そうに首を傾げる。

「声だけじゃないのよ……」
「はい?」
「ごめんね、ルーチェ。なんて説明したらいいかわからなくて……。お願いだから、ビックリしないで聞いてね。あのね……、実は私、マルサネではないの」
 私は思いきって切り出す。

 
「え……?」
「名前はサワイリツコ。リツコ、が私の本当の名前なの」
「リツコ、様……」
「お嬢様じゃないから、様はいらないわ」
「私にとってはお嬢様は、お嬢様です」
 ルーチェはムキになって答えた。
 こんな時、年相応な様子で可愛いなぁと思う。


「私もよくわからないけど、こないだは頭を打って……気がついたらマルサネになってたの」
「お嬢様に、なってた……?」
「それでね……これを見てくれる?」
 私は思いきって、フードをとった。

「なぜか、マルサネじゃなくて……。今度は、私。本当の姿でこちらに来てしまったみたいなの……」

「まぁ……!」
 ルーチェは私の姿を見て、目を見開いた。

 相当驚いている?…… まぁ、そうだろうねぇ。マルサネの倍以上の年齢の別人だもの。

「お嬢様!早く!早くフードを被ってください。誰に見られるかわかりません」 
 ルーチェは直ぐに我にかえると私にフードを大慌てで被せた。


「う、うん……」
 ルーチェの剣幕に私はしっかりとフードを掴んで被り直す。

「わかりました。ではリツコ様。これからあなた様はどうされるおつもりですか?」
「う~ん、どうするって……あんまり考えてなかったなぁ」

「元のマルサネお嬢様は、どこへ?」
「わからない……。この邸のどこかに居るのかしら?」
「そうですね。昨夜お嬢様がこちらでお休みになられてから、私もお見かけしておりませんが……。とにかく、いつまでもフードを被って過ごすこともできません。なんとか、まずはリツコ様の居場所を確保して参りましょう」

「え?」
「ルーチェにお任せ下さい」
 意味ありげな笑みを浮かべるルーチェ。
 何か企んでるのかな?


「とりあえず暫く、気分が悪いとベッドに伏せてて下さい。後で雑誌をお持ちしますので」
「ありがとう」
「声は極力お出しになりませんよう」
「風邪だと言えばいいんじゃない?」
「ダメです。風邪だというと心配して旦那様がやって参りますよ?」
「心配するかなぁ」
「しますよ。なんだかんだと、いつもおいでになってたでしょう?」
「そう言えばそうかも」

「月のモノが来て気鬱だということにしてください。旦那様は婦人病には滅法弱いので、きっと、近寄りませんから」
「ルーチェは何処へ行くの?」
「まぁ、お任せ下さいませ」

 ルーチェは素早く部屋を出ると、お茶菓子やら雑誌やらを積んで再び戻ってきた。

「良いですね。私が戻るまでここから出ないで下さいよ」
 ルーチェが置いていったユッカナウを数冊、ベッドの上に運び込むとゴロンと私は横になった。
 手元のサイドワゴンには山盛りの焼き菓子。
 
 懐かしい感じだわ。これ。
 極楽だけど、人間的にダメな気がする。 


 それにしても、ルーチェ。
 何処へ行ったんだろうか……。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

侯爵令嬢ソフィアの結婚

今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる 美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた 結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて… 表紙はかなさんです✨ ありがとうございます😊 2024.07.05

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

幸せな政略結婚のススメ【本編完結】

ましろ
恋愛
「爵位と外見に群がってくる女になぞ興味は無い」 「え?だって初対面です。爵位と外見以外に貴方様を判断できるものなどございませんよ?」 家柄と顔が良過ぎて群がる女性に辟易していたユリシーズはとうとう父には勝てず、政略結婚させられることになった。 お相手は6歳年下のご令嬢。初対面でいっそのこと嫌われようと牽制したが? スペック高めの拗らせ男とマイペースな令嬢の政略結婚までの道程はいかに? ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ・11/21ヒーローのタグを変更しました。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...