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番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 白百合館へようこそ! part4
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「ちっ、気づかれたようね」
バンッ! と勢いよく私の居室のドアが開けられた。
険しい顔をして、ズカズカと私に向かってくるのはマリン。
彼女の視線が私の座っているデスクの上に積み上げられている資料や機械類に注がれた。
当然、談話室のモニターは切ってある。
画面に流れているのは、数列の群れ。
……文系のマリンには理解できないでしょうね。
「あら、どうしたのマリン。なにかあったのかしら」
若干棒読みになったが私はマリンに笑顔をむけた。
「台詞が棒読みよ、パロマ。それにさっき、『ちっ、気づかれたか』って言わなかった?」
「幻聴じゃないの? 良かったら、いい医者紹介するわ。で、何の用?」
「幻聴って……別に私はあんたみたいに病んでないわよ! 用はこれよ、これ」
マリンは手に持っていた紙袋を乱暴に私に押しつけた。
「まぁ。良い匂いね……」
私は袋を開けて中身を見た。
……中身は、当然レモンパイ。
「しらじらしいわねぇ」
ジト目でわたしをにらみつけるマリン。
「これに見覚えあるでしょ? パロマ!」
「え? 何のことぉ?」
大げさに手を振り回して否定する私。
「あんたねぇ……そのリアクション、あやし過ぎるわよ?」
ますます私に疑いの冷たい眼差しをむけるマリン。
うむぅ……。
意外にしつこい娘ね。マリンって。
脳筋のモニカより、天然娘のクセに鋭いところもあるしなぁ。
「そんなことより、マリン。あんた出かける予定だったんじゃないの?」
「……そうだけど。それが何か?」
「時間大丈夫なの? 今日中にゲンメまで行くんでしょ?」
「あっ……! ヤバっ」
壁にかけられた時計を見て飛び上がるマリン。
でしょーね。
午後からゲンメ公邸へのお使いがあったはずだもん。
「話の続きは帰ってきてからよ!」
入ってきた時と同じように、バタバタとマリンは慌てて私の部屋から出ていった。
よし。
行ったわね。
さて、実証実験の本番はこれからよ~。
ウフフフフ……。
私はマリンに気づかれないように、こっそりマリンのあとをつけて歩き出したのだった。
§§§
私達が勤めているカルゾ邸はエスト城下町西地区寄りに位置する。
マリンがこれから出かけるゲンメ邸は北地区オーリオ通りにある。馬車ならあっという間に着くが、歩けばそこそこかかる場所だ。
ただし、近道をしていけば別。
南地区イスキア公領地を迂回せずに、直線距離で突っ切れば、西地区のカルゾ邸から北地区のゲンメ邸までは、半分の時間で到着することができる。
しかし、近道であるイスキア公領地は他地区出身者からは、高額な立ち入り税を要求することで悪名高い地区である。
カルゾメイドのマリンがここを穏便に通るためには、彼女のなけなしの小遣いを全額はたくしかない。
それが嫌なら、この高い塀を飛び越えて強硬突破して突っ切るか。
軽業を得意とするマリンならば、この塀を乗り越えることなどは造作もないことだろう。
ただ、そんなことしたら十中八九、イスキアの闇組織で「海蛇」と呼ばれる奴らに追っかけられて、捕まる可能性は高い。
「海蛇」の奴らに私たちカルドメイドが捕まれば、良くて身ぐるみ剥がれて公領地外に叩き出されるか、最悪、毒を使われて身体も心もボロボロにされるか……。
さぁて、マリンはどうするのかなぁ~♪
西地区からイスキア公領地へ入る橋の上で、何やら考え込んだ様子で立ち止まるマリンの後ろ姿を街灯の陰から、私、パロマ・アルバーニはニヤニヤしながら見守るのであった。
バンッ! と勢いよく私の居室のドアが開けられた。
険しい顔をして、ズカズカと私に向かってくるのはマリン。
彼女の視線が私の座っているデスクの上に積み上げられている資料や機械類に注がれた。
当然、談話室のモニターは切ってある。
画面に流れているのは、数列の群れ。
……文系のマリンには理解できないでしょうね。
「あら、どうしたのマリン。なにかあったのかしら」
若干棒読みになったが私はマリンに笑顔をむけた。
「台詞が棒読みよ、パロマ。それにさっき、『ちっ、気づかれたか』って言わなかった?」
「幻聴じゃないの? 良かったら、いい医者紹介するわ。で、何の用?」
「幻聴って……別に私はあんたみたいに病んでないわよ! 用はこれよ、これ」
マリンは手に持っていた紙袋を乱暴に私に押しつけた。
「まぁ。良い匂いね……」
私は袋を開けて中身を見た。
……中身は、当然レモンパイ。
「しらじらしいわねぇ」
ジト目でわたしをにらみつけるマリン。
「これに見覚えあるでしょ? パロマ!」
「え? 何のことぉ?」
大げさに手を振り回して否定する私。
「あんたねぇ……そのリアクション、あやし過ぎるわよ?」
ますます私に疑いの冷たい眼差しをむけるマリン。
うむぅ……。
意外にしつこい娘ね。マリンって。
脳筋のモニカより、天然娘のクセに鋭いところもあるしなぁ。
「そんなことより、マリン。あんた出かける予定だったんじゃないの?」
「……そうだけど。それが何か?」
「時間大丈夫なの? 今日中にゲンメまで行くんでしょ?」
「あっ……! ヤバっ」
壁にかけられた時計を見て飛び上がるマリン。
でしょーね。
午後からゲンメ公邸へのお使いがあったはずだもん。
「話の続きは帰ってきてからよ!」
入ってきた時と同じように、バタバタとマリンは慌てて私の部屋から出ていった。
よし。
行ったわね。
さて、実証実験の本番はこれからよ~。
ウフフフフ……。
私はマリンに気づかれないように、こっそりマリンのあとをつけて歩き出したのだった。
§§§
私達が勤めているカルゾ邸はエスト城下町西地区寄りに位置する。
マリンがこれから出かけるゲンメ邸は北地区オーリオ通りにある。馬車ならあっという間に着くが、歩けばそこそこかかる場所だ。
ただし、近道をしていけば別。
南地区イスキア公領地を迂回せずに、直線距離で突っ切れば、西地区のカルゾ邸から北地区のゲンメ邸までは、半分の時間で到着することができる。
しかし、近道であるイスキア公領地は他地区出身者からは、高額な立ち入り税を要求することで悪名高い地区である。
カルゾメイドのマリンがここを穏便に通るためには、彼女のなけなしの小遣いを全額はたくしかない。
それが嫌なら、この高い塀を飛び越えて強硬突破して突っ切るか。
軽業を得意とするマリンならば、この塀を乗り越えることなどは造作もないことだろう。
ただ、そんなことしたら十中八九、イスキアの闇組織で「海蛇」と呼ばれる奴らに追っかけられて、捕まる可能性は高い。
「海蛇」の奴らに私たちカルドメイドが捕まれば、良くて身ぐるみ剥がれて公領地外に叩き出されるか、最悪、毒を使われて身体も心もボロボロにされるか……。
さぁて、マリンはどうするのかなぁ~♪
西地区からイスキア公領地へ入る橋の上で、何やら考え込んだ様子で立ち止まるマリンの後ろ姿を街灯の陰から、私、パロマ・アルバーニはニヤニヤしながら見守るのであった。
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