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12章 負けられない闘い
13-2
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13-2
「せやぁー!」
ビュゥーン!
コルルのスイングしたロッドは、空を引き裂きながらフランへと迫る。
かなりの威力と速度だと、フランは冷静に分析する。単純な破壊力なら、エラゼムの一撃にも匹敵するだろう。だが。
(近接戦の練度なら、こっちの方が上!)
コルルの一撃を、フランは宙がえりでひょいとかわした。勢い余ったコルルは、ぐらりと体勢を崩す。宙を舞ったフランは、コルルの無防備な胸めがけて蹴りを放った。ドガッ!
「かはぁっ……!」
心臓を蹴り飛ばされたコルルの息が、一瞬止まった。それでも足を踏ん張って踏みとどまるあたり、身体強化の魔法の効き目は抜群だ。
だが一方で、フランも化物じみた怪力を持っている。着地したフランは、動けないでいるコルルの胸倉をつかみ上げると、そのままぶんぶんと振り回し始めた。いくらパワーアップしていても、地面から離れては踏ん張りもきかない。コルルは息苦しさに耐えながら、なすすべもなく振り回されるしかなかった。
「やあ!」
フランが手を放すと、コルルはびゅーんと空を舞った。リングの反対側まで飛んでいき、壁に激突する。
ドカァーン!観客たちが悲鳴と興奮の入り混じったような声を発した。
「ったたた……やってくれるわね……!」
だが、コルルは無事だった。さすがにノーダメージではないが、風の強化魔法は見えない鎧となって、確実にコルルの体を守ってくれている。
(でもやっぱり、慣れない格闘は通用しないわね……)
コルルは唇を噛んだ。クラークと一緒にアドリアの訓練を受けたことはあったが、それでも付け焼刃なことに変わりはない。対して向こうは、近接戦を戦い慣れすぎている。
「それなら、あたしの得意な盤面にするまでよ!」
コルルの本職は魔術師だ。スタッフを構えると、呪文の詠唱に入る。
「っ!させない!」
それを見たフランが走り出した。だがコルルは、俊足のフランが追い付けないほどの速さで、かつ詠唱を途切れさせることなく、後方にステップを踏む。野ウサギのように軽やかな跳躍に、フランの腕は何度も宙を掻いた。その間に、コルルが悠々と呪文を唱え終わる。
「ヤトロファクルカス!」
ゴウッ!すさまじい風が吹き、それが塊となってフランへと襲い掛かる。
「ちぃっ!」
かわすのが無理だと悟ったフランは、腕を交差させてそれを受け止めようとした。だが風とは思えないほどの重圧に、ずりずりと押しのけられる。彼女の周りをめちゃくちゃに風が吹きまわり、真空波が容赦なく全身を切りつけた。フランはなんとか呪文を耐えきったが、体中切り傷まみれで、服はあちこち破けていた。
「まだまだぁ!ガスト・オブ・スカイラーク!」
フランが風にたえている間に、コルルは次の呪文を唱え終わっていた。塵が渦を巻き、小鳥の形となって、コルルの周りに浮かび上がる。コルルがロッドを振ると、鳥たちは編隊飛行でフランへ突撃した。
「くっ!」
フランは小鳥の飛行隊から逃げ回るしかなかった。一羽をフェイントでかわし、一羽を殴りつけて消滅させたところで、フランは残り三羽に追いつかれた。鳥たちは無慈悲に、フランの右足に突撃した。ズガガガン!
(しまった、脚を……!)
三度の突撃によって、フランは右足に力が籠らなくなったのを感じた。ゾンビに痛みはないが、鋼鉄のエラゼムと違って、その体は生身に近い。骨を折られれば動きは鈍るし、柔肌は鉄と違って、脆い。
「貰った!まずは一本よ!」
確かな手ごたえに、コルルは口元の笑みを深くした。しかしそれで慢心することはない。コルルは、目の前の少女の実力をよく分かっているつもりだ。そして、その弱点も。
(いままでさんざん土を付けられたんだから。お返ししないとね!)
続けざまに追撃の呪文を唱えるコルル。フランはそれを阻止しようとしたが、右足の動きが悪いのか、駆け出そうとする中途半端な姿勢で固まってしまった。舌打ちするフラン。そのすきを、魔術師は見逃さない。
「エアロフテラ!」
素早く完成したコルルの魔法は、突風を巻き起こした。フランは木の葉のように吹き飛ばされ、リングの壁に激突した。観客から再び、悲鳴と歓声。だが客たちも慣れてきたのか、歓声の方が大きくなってきていた。
「はっ、はっ……まだまだよ……っ!」
立て続けの詠唱に息切れを起こしながらも、コルルはさらなる呪文を唱え始める。優勢に立っている今こそ、畳みかける時だ!
「フロート、フラフ!」
ぐぐぐ、ガポ!風がリングの床を舐めると、今までの闘いで砕かれ、ひびの入った床の一部が、ひとりでに浮かび上がった。巨大な土と石の塊が、ふわふわと気球のように浮かぶ様に、会場中が息をのむ。
「いっけええええ!」
コルルがロッドを振ると、塊は壁に叩きつけられたフラン目掛けて飛んでいった。すぐそばの席にいた貴族たちが悲鳴を上げて逃げ出す。フランは目の前に迫ってくる岩を見て、歯噛みした。
ガガガーーン!岩と岩がぶつかる、激しい音。凄まじい振動にコロシアム全体が揺れたようだ。コルルははぁはぁと肩で息をしながら、着弾地点を見つめた。衝突によって巻き上げられた粉塵で、詳しい様子はうかがえない。
(さすがにあいつと言えど、あれを喰らったらタダじゃすまないでしょ)
砂煙の中で人が動く気配はない。ということは、やはり仕留めたのか……?
ズサッ!
「っ!やっぱり、そう簡単にはくたばらないわね!」
砂煙の中から飛び出してきたフランを見て、コルルは歯噛みしながらも、にやりと笑った。このしぶとさに、自分たちはさんざん手こずらされてきたのだから。
フランはさらに全身の傷が増えていたが、かろうじて敗着の一撃だけは避けていた。右足はまだガタつくが、気合で無理やり動かせば何とかなる。
(でも、たぶんそんなには持たない)
故障したパーツを無理に動かし続ければ、いずれ火花を吹いて完全に壊れるだろう。それと同じで、いずれ右足は完全に動かなくなる。だからその前に、この勝負にケリを付けなければ。
(ここからは、短期決戦だ……!)
フランは力強く地面を踏みしめ、ドンッと加速してコルルに迫る。コルルはまたも後ろに逃げようとしたが、フランはあることに気付いていた。それは、ここがリングの中だという事。果てしない荒野ならともかく、円形のリングには壁という境界がある。コルルもまた、その限られた範囲でしか逃げることはできないのだ。
「くっ……!」
コルルは、焦っていた。自分とフランとの距離が、なぜか縮まってきている。おかしい、速度はほぼ同じ、いや向こうは怪我をしているのだから、確実にこちらの方が早いはずなのに。さらに度重なる大技の使用によって、魔力も確実に減ってきていた。舌がもつれて、上手く詠唱ができない。そんな焦りが募った結果か……
「あっ!」
コルルのかかとが、ひび割れたリングの溝に引っかかった。その瞬間、フランは猛然と突進し、突き倒すようにコルルに体当たりをかませた。
「きゃあ!」
二人は勢い余ってゴロゴロと転がった。先に体を起こしたのは、フランだ。フランはさっと起き上がると、近くに転がっているコルル目掛けて飛びつき、馬乗りになった。
「なっ!どきなさいよ、この!」
腕を振り回して、コルルが抵抗する。フランはその両手首を掴んで、縫い付けるように地面に押さえつけた。フランの深紅の瞳と、コルルの瞳とがぶつかり合う。二人の間にはバチバチと火花が散りそうだったが、そのさなかにフランは、コルルがほとんど唇を動かさないようにして、小声で呪文を唱えていることに気付いた。
「っ」
慌てて口をふさごうとするフラン。だが腕は二本しかないのだから、当然コルルの手は自由になることになる。拘束が緩んだ瞬間、コルルはロッドを握り締めた。それをフラン目掛けて突き出しながら、叫ぶ。
「サイプレス・シェイパー!」
その切っ先を、フランはとっさに首をひねって、紙一重で避けた。次の瞬間、ビュゴウッ!すさまじい旋風がロッドの先端から放たれた。フランの顔のすぐわきを突風が吹き抜け、銀髪が引きちぎられる。肩のあたりの服はビリビリに破れてしまった。余波だけでこれだったならば、直撃していたら、体に穴が開いていたかもしれない。
コルルは再び、呪文を唱えようと唇を動かしていた。フランはもう、容赦してはいられないと思った。
バシッ!
「ぶはっ」
コルルの横っ面を、フランは思い切り張り飛ばした。続けざまにもう一発。マウントをとられているコルルは、ろくに防御も取ることができない。フランの容赦ない鉄拳は、魔法で強化された体をもってしても、かなりの痛みをコルルに与えた。コルルは鼻のあたりがかぁーっと熱くなり、唇がぬるりとするのを感じた。
「……わああぁぁぁ!」
突如、タコ殴りにされていたコルルががばっと体を起こし、がむしゃらにフランに掴みかかる。フランはとっさに身を引いたが、コルルはそのまま激しく体をよじり、フランを自分の上から払い落とした。それだけでなく、今度はコルルがフランに馬乗りになった。
「わあああああ!」
「っ!」
コルルは絶叫しながら、なんども拳を打ち下ろした。彼女の鼻と唇からは血が滴っていたが、そんなことは全く気にならない様子だ。一転して殴られる側になったフランも、その気迫に少し気圧された。
バシ!バシ!バシ!バシ!
突如始まった、少女たちの血なまぐさい殴り合いに、温まっていた観客たちはひえびえと恐怖し、恐れ戦いた。
「いい加減に、しろ!」
がしっ。振り下ろされた拳を、フランが受け止めた。コルルは振りほどこうと力をこめるが、フランの手は鋼のように堅く、結果としてコルルの腕はぶるぶる震えた。
「はぁ!」
フランが腕をぐいと引くと、コルルは前につんのめって、放り投げられた。腕一本で軽々投げ飛ばされたことに驚きつつ、コルルが体を起こすと、フランも立ち上がって、こちらに駆けてくるところだった。
「この、いい加減に倒れなさいよ……!」
コルルは口の中の血をぺっと吐き出すと、ロッドを握りなおして走り出す。そのまま振り上げると、走ってきた勢いそのままに、フランめがけて振り下ろした。
「やああああ!」
ゴキン!鈍い音が響く。フランは腕をクロスさせて、コルルのロッドを受け止めていた。それでもコルルは力を掛けるのをやめず、フランはたまらず腰を落とした。
次の瞬間、フランは鈍った右足を無理やり蹴り上げ、コルルの腹に膝蹴りを喰らわせた。コルルの体はぐしゃっとくの字に折れ、その手からロッドが転がり落ちる。カラン、カラーン。フランはそれをひったくると、遠くに放り投げてしまった。矢のようにすっ飛んでいったロッドは、リングの壁にビィィンと突き刺さった。
「これで、さっきの魔法は使えない」
「げほっ、ゲホッ……最後は、ステゴロ勝負ってわけね。臨むところじゃない……!」
コルルは口元をぐいと拭うと、拳を構えてファイティングポーズを取った。膝はガクガク震えているし、息も苦しい、全身が痛い。魔力も体力も限界に近いが、それは相手も同じなはず。
実際、フランも相当のダメージを負っていた。さっきの蹴りの反動で、右足が本格的に動かなくなってきた。いつ潰れてもおかしくない状態だ。それでも彼女もまた、拳を握った。
満身創痍の両者に共通していること。それは、気力が全く衰えていないこと。溢れる闘志が、両者の拳を堅くする。
「やあああぁぁぁ!」
「ああぁぁぁぁ!」
バシーン!二人の拳が、お互いの顔面に直撃した。両者は互いに吹っ飛んだが、すぐに再び間を詰める。コルルのフックを、フランはかがんでかわす。フランはその姿勢からアッパーカットを放ったが、コルルはぐいーっとのけ反り、すんでのところで避けた。その勢いで後ろに数歩下がると、助走をつけてからのストレートパンチ。フランはガードをしたが、ガードごと吹っ飛ばされそうになった。
目にもとまらぬ拳の応酬。響くのはパンチの際に吐く短い息と、肉と肉がぶつかり合う音だけ。バシッ、バシッ!二人の乙女は、およそ乙女とは思えない、鬼のような形相で殴り合っている。コルルの顔は血まみれだし、その血飛沫が飛んだフランの顔は、生き胆を喰らったばかりのようだ。知略も戦略もない、原始的な闘争の熱は、じわじわと観客たちにも伝染していった。
「いいぞ!そこだ、いけー!」
「ガードだ!あぁ、違う!かわすんだ、よけろ!」
「今よ!アッパー、アッパー!きゃああ、今のは効いたはずよ!」
観客たちは顔を真っ赤にし、こぶしを振り上げながら歓声を上げる。いつしかコロシアムは、今日一番の盛り上がりを見せていた。だがそのやかましい喧噪も、リングで殴り合う二人の耳には届かない。二人が今考えていることは、目の前の相手を完膚なきまでに叩き潰すこと、ただそれだけだった。
コルルの拳が三度フランの顔面を殴りつける間に、フランの拳が三度コルルの体を殴りつけた。コルルは疲労で、フランは怪我のせいで、ほとんど足が動かせなくなりつつあった。ステップが踏めなくなると、被弾の回数も増えてくる。激しさを増す応酬は、勝負の終焉が近い事を示唆しているかのようだった。
「わあああぁぁぁぁ!」
「やああぁぁぁぁぁ!」
コルルとフランは、渾身の雄たけびを上げると、全く同時に拳を突き出した。二人の拳は宙で交差し、全く同時にお互いの顔面を直撃した。
バシィッ!
観客たちが息をのんだ。二人はよろよろと後ろによろめいた。そしてそのまま、コルルは仰向けにばったり倒れた。フランの一撃はきれいにあごを撃ち抜き、彼女をノックアウトさせていた。アナウンスは大声で勝者の名を叫ぼうと、思い切り息を吸い込んだ。
だが次の瞬間、フランもまた、力が抜けたかのように膝から崩れ落ちた。フランは驚いて自分の脚を見つめるが、脚はぴくりとも動かない。限界が来たのだと、フランは悟った。いや、それどころかおそらく、全身のあちこちが限界だったに違いない。その証拠に、フランの体は吸い寄せられるように、リングへと倒れ伏した。
床は硬かったが、まあ今はこれでもいいかと、フランは目を閉じてほほ笑んだ。
「こっ、これは……!?」
アナウンスは吸い込んだ息の吐き出し先を見失って、ごほごほむせた。二人が倒れたのは、ほぼ同時。さらに二人とも、もう起き上がれそうには見えない。観客たちはどちらが勝者になるのかと、息をつめてその時を待った。数十秒ほどの沈黙の後、下された審判を聞いたアナウンスが、再び息を吸い込んだ。
「両者、ノックダウン!第三試合の結果は、引き分け!つまり今回の勇演武闘は、一勝一分け同士の、引き分けとなります!」
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「せやぁー!」
ビュゥーン!
コルルのスイングしたロッドは、空を引き裂きながらフランへと迫る。
かなりの威力と速度だと、フランは冷静に分析する。単純な破壊力なら、エラゼムの一撃にも匹敵するだろう。だが。
(近接戦の練度なら、こっちの方が上!)
コルルの一撃を、フランは宙がえりでひょいとかわした。勢い余ったコルルは、ぐらりと体勢を崩す。宙を舞ったフランは、コルルの無防備な胸めがけて蹴りを放った。ドガッ!
「かはぁっ……!」
心臓を蹴り飛ばされたコルルの息が、一瞬止まった。それでも足を踏ん張って踏みとどまるあたり、身体強化の魔法の効き目は抜群だ。
だが一方で、フランも化物じみた怪力を持っている。着地したフランは、動けないでいるコルルの胸倉をつかみ上げると、そのままぶんぶんと振り回し始めた。いくらパワーアップしていても、地面から離れては踏ん張りもきかない。コルルは息苦しさに耐えながら、なすすべもなく振り回されるしかなかった。
「やあ!」
フランが手を放すと、コルルはびゅーんと空を舞った。リングの反対側まで飛んでいき、壁に激突する。
ドカァーン!観客たちが悲鳴と興奮の入り混じったような声を発した。
「ったたた……やってくれるわね……!」
だが、コルルは無事だった。さすがにノーダメージではないが、風の強化魔法は見えない鎧となって、確実にコルルの体を守ってくれている。
(でもやっぱり、慣れない格闘は通用しないわね……)
コルルは唇を噛んだ。クラークと一緒にアドリアの訓練を受けたことはあったが、それでも付け焼刃なことに変わりはない。対して向こうは、近接戦を戦い慣れすぎている。
「それなら、あたしの得意な盤面にするまでよ!」
コルルの本職は魔術師だ。スタッフを構えると、呪文の詠唱に入る。
「っ!させない!」
それを見たフランが走り出した。だがコルルは、俊足のフランが追い付けないほどの速さで、かつ詠唱を途切れさせることなく、後方にステップを踏む。野ウサギのように軽やかな跳躍に、フランの腕は何度も宙を掻いた。その間に、コルルが悠々と呪文を唱え終わる。
「ヤトロファクルカス!」
ゴウッ!すさまじい風が吹き、それが塊となってフランへと襲い掛かる。
「ちぃっ!」
かわすのが無理だと悟ったフランは、腕を交差させてそれを受け止めようとした。だが風とは思えないほどの重圧に、ずりずりと押しのけられる。彼女の周りをめちゃくちゃに風が吹きまわり、真空波が容赦なく全身を切りつけた。フランはなんとか呪文を耐えきったが、体中切り傷まみれで、服はあちこち破けていた。
「まだまだぁ!ガスト・オブ・スカイラーク!」
フランが風にたえている間に、コルルは次の呪文を唱え終わっていた。塵が渦を巻き、小鳥の形となって、コルルの周りに浮かび上がる。コルルがロッドを振ると、鳥たちは編隊飛行でフランへ突撃した。
「くっ!」
フランは小鳥の飛行隊から逃げ回るしかなかった。一羽をフェイントでかわし、一羽を殴りつけて消滅させたところで、フランは残り三羽に追いつかれた。鳥たちは無慈悲に、フランの右足に突撃した。ズガガガン!
(しまった、脚を……!)
三度の突撃によって、フランは右足に力が籠らなくなったのを感じた。ゾンビに痛みはないが、鋼鉄のエラゼムと違って、その体は生身に近い。骨を折られれば動きは鈍るし、柔肌は鉄と違って、脆い。
「貰った!まずは一本よ!」
確かな手ごたえに、コルルは口元の笑みを深くした。しかしそれで慢心することはない。コルルは、目の前の少女の実力をよく分かっているつもりだ。そして、その弱点も。
(いままでさんざん土を付けられたんだから。お返ししないとね!)
続けざまに追撃の呪文を唱えるコルル。フランはそれを阻止しようとしたが、右足の動きが悪いのか、駆け出そうとする中途半端な姿勢で固まってしまった。舌打ちするフラン。そのすきを、魔術師は見逃さない。
「エアロフテラ!」
素早く完成したコルルの魔法は、突風を巻き起こした。フランは木の葉のように吹き飛ばされ、リングの壁に激突した。観客から再び、悲鳴と歓声。だが客たちも慣れてきたのか、歓声の方が大きくなってきていた。
「はっ、はっ……まだまだよ……っ!」
立て続けの詠唱に息切れを起こしながらも、コルルはさらなる呪文を唱え始める。優勢に立っている今こそ、畳みかける時だ!
「フロート、フラフ!」
ぐぐぐ、ガポ!風がリングの床を舐めると、今までの闘いで砕かれ、ひびの入った床の一部が、ひとりでに浮かび上がった。巨大な土と石の塊が、ふわふわと気球のように浮かぶ様に、会場中が息をのむ。
「いっけええええ!」
コルルがロッドを振ると、塊は壁に叩きつけられたフラン目掛けて飛んでいった。すぐそばの席にいた貴族たちが悲鳴を上げて逃げ出す。フランは目の前に迫ってくる岩を見て、歯噛みした。
ガガガーーン!岩と岩がぶつかる、激しい音。凄まじい振動にコロシアム全体が揺れたようだ。コルルははぁはぁと肩で息をしながら、着弾地点を見つめた。衝突によって巻き上げられた粉塵で、詳しい様子はうかがえない。
(さすがにあいつと言えど、あれを喰らったらタダじゃすまないでしょ)
砂煙の中で人が動く気配はない。ということは、やはり仕留めたのか……?
ズサッ!
「っ!やっぱり、そう簡単にはくたばらないわね!」
砂煙の中から飛び出してきたフランを見て、コルルは歯噛みしながらも、にやりと笑った。このしぶとさに、自分たちはさんざん手こずらされてきたのだから。
フランはさらに全身の傷が増えていたが、かろうじて敗着の一撃だけは避けていた。右足はまだガタつくが、気合で無理やり動かせば何とかなる。
(でも、たぶんそんなには持たない)
故障したパーツを無理に動かし続ければ、いずれ火花を吹いて完全に壊れるだろう。それと同じで、いずれ右足は完全に動かなくなる。だからその前に、この勝負にケリを付けなければ。
(ここからは、短期決戦だ……!)
フランは力強く地面を踏みしめ、ドンッと加速してコルルに迫る。コルルはまたも後ろに逃げようとしたが、フランはあることに気付いていた。それは、ここがリングの中だという事。果てしない荒野ならともかく、円形のリングには壁という境界がある。コルルもまた、その限られた範囲でしか逃げることはできないのだ。
「くっ……!」
コルルは、焦っていた。自分とフランとの距離が、なぜか縮まってきている。おかしい、速度はほぼ同じ、いや向こうは怪我をしているのだから、確実にこちらの方が早いはずなのに。さらに度重なる大技の使用によって、魔力も確実に減ってきていた。舌がもつれて、上手く詠唱ができない。そんな焦りが募った結果か……
「あっ!」
コルルのかかとが、ひび割れたリングの溝に引っかかった。その瞬間、フランは猛然と突進し、突き倒すようにコルルに体当たりをかませた。
「きゃあ!」
二人は勢い余ってゴロゴロと転がった。先に体を起こしたのは、フランだ。フランはさっと起き上がると、近くに転がっているコルル目掛けて飛びつき、馬乗りになった。
「なっ!どきなさいよ、この!」
腕を振り回して、コルルが抵抗する。フランはその両手首を掴んで、縫い付けるように地面に押さえつけた。フランの深紅の瞳と、コルルの瞳とがぶつかり合う。二人の間にはバチバチと火花が散りそうだったが、そのさなかにフランは、コルルがほとんど唇を動かさないようにして、小声で呪文を唱えていることに気付いた。
「っ」
慌てて口をふさごうとするフラン。だが腕は二本しかないのだから、当然コルルの手は自由になることになる。拘束が緩んだ瞬間、コルルはロッドを握り締めた。それをフラン目掛けて突き出しながら、叫ぶ。
「サイプレス・シェイパー!」
その切っ先を、フランはとっさに首をひねって、紙一重で避けた。次の瞬間、ビュゴウッ!すさまじい旋風がロッドの先端から放たれた。フランの顔のすぐわきを突風が吹き抜け、銀髪が引きちぎられる。肩のあたりの服はビリビリに破れてしまった。余波だけでこれだったならば、直撃していたら、体に穴が開いていたかもしれない。
コルルは再び、呪文を唱えようと唇を動かしていた。フランはもう、容赦してはいられないと思った。
バシッ!
「ぶはっ」
コルルの横っ面を、フランは思い切り張り飛ばした。続けざまにもう一発。マウントをとられているコルルは、ろくに防御も取ることができない。フランの容赦ない鉄拳は、魔法で強化された体をもってしても、かなりの痛みをコルルに与えた。コルルは鼻のあたりがかぁーっと熱くなり、唇がぬるりとするのを感じた。
「……わああぁぁぁ!」
突如、タコ殴りにされていたコルルががばっと体を起こし、がむしゃらにフランに掴みかかる。フランはとっさに身を引いたが、コルルはそのまま激しく体をよじり、フランを自分の上から払い落とした。それだけでなく、今度はコルルがフランに馬乗りになった。
「わあああああ!」
「っ!」
コルルは絶叫しながら、なんども拳を打ち下ろした。彼女の鼻と唇からは血が滴っていたが、そんなことは全く気にならない様子だ。一転して殴られる側になったフランも、その気迫に少し気圧された。
バシ!バシ!バシ!バシ!
突如始まった、少女たちの血なまぐさい殴り合いに、温まっていた観客たちはひえびえと恐怖し、恐れ戦いた。
「いい加減に、しろ!」
がしっ。振り下ろされた拳を、フランが受け止めた。コルルは振りほどこうと力をこめるが、フランの手は鋼のように堅く、結果としてコルルの腕はぶるぶる震えた。
「はぁ!」
フランが腕をぐいと引くと、コルルは前につんのめって、放り投げられた。腕一本で軽々投げ飛ばされたことに驚きつつ、コルルが体を起こすと、フランも立ち上がって、こちらに駆けてくるところだった。
「この、いい加減に倒れなさいよ……!」
コルルは口の中の血をぺっと吐き出すと、ロッドを握りなおして走り出す。そのまま振り上げると、走ってきた勢いそのままに、フランめがけて振り下ろした。
「やああああ!」
ゴキン!鈍い音が響く。フランは腕をクロスさせて、コルルのロッドを受け止めていた。それでもコルルは力を掛けるのをやめず、フランはたまらず腰を落とした。
次の瞬間、フランは鈍った右足を無理やり蹴り上げ、コルルの腹に膝蹴りを喰らわせた。コルルの体はぐしゃっとくの字に折れ、その手からロッドが転がり落ちる。カラン、カラーン。フランはそれをひったくると、遠くに放り投げてしまった。矢のようにすっ飛んでいったロッドは、リングの壁にビィィンと突き刺さった。
「これで、さっきの魔法は使えない」
「げほっ、ゲホッ……最後は、ステゴロ勝負ってわけね。臨むところじゃない……!」
コルルは口元をぐいと拭うと、拳を構えてファイティングポーズを取った。膝はガクガク震えているし、息も苦しい、全身が痛い。魔力も体力も限界に近いが、それは相手も同じなはず。
実際、フランも相当のダメージを負っていた。さっきの蹴りの反動で、右足が本格的に動かなくなってきた。いつ潰れてもおかしくない状態だ。それでも彼女もまた、拳を握った。
満身創痍の両者に共通していること。それは、気力が全く衰えていないこと。溢れる闘志が、両者の拳を堅くする。
「やあああぁぁぁ!」
「ああぁぁぁぁ!」
バシーン!二人の拳が、お互いの顔面に直撃した。両者は互いに吹っ飛んだが、すぐに再び間を詰める。コルルのフックを、フランはかがんでかわす。フランはその姿勢からアッパーカットを放ったが、コルルはぐいーっとのけ反り、すんでのところで避けた。その勢いで後ろに数歩下がると、助走をつけてからのストレートパンチ。フランはガードをしたが、ガードごと吹っ飛ばされそうになった。
目にもとまらぬ拳の応酬。響くのはパンチの際に吐く短い息と、肉と肉がぶつかり合う音だけ。バシッ、バシッ!二人の乙女は、およそ乙女とは思えない、鬼のような形相で殴り合っている。コルルの顔は血まみれだし、その血飛沫が飛んだフランの顔は、生き胆を喰らったばかりのようだ。知略も戦略もない、原始的な闘争の熱は、じわじわと観客たちにも伝染していった。
「いいぞ!そこだ、いけー!」
「ガードだ!あぁ、違う!かわすんだ、よけろ!」
「今よ!アッパー、アッパー!きゃああ、今のは効いたはずよ!」
観客たちは顔を真っ赤にし、こぶしを振り上げながら歓声を上げる。いつしかコロシアムは、今日一番の盛り上がりを見せていた。だがそのやかましい喧噪も、リングで殴り合う二人の耳には届かない。二人が今考えていることは、目の前の相手を完膚なきまでに叩き潰すこと、ただそれだけだった。
コルルの拳が三度フランの顔面を殴りつける間に、フランの拳が三度コルルの体を殴りつけた。コルルは疲労で、フランは怪我のせいで、ほとんど足が動かせなくなりつつあった。ステップが踏めなくなると、被弾の回数も増えてくる。激しさを増す応酬は、勝負の終焉が近い事を示唆しているかのようだった。
「わあああぁぁぁぁ!」
「やああぁぁぁぁぁ!」
コルルとフランは、渾身の雄たけびを上げると、全く同時に拳を突き出した。二人の拳は宙で交差し、全く同時にお互いの顔面を直撃した。
バシィッ!
観客たちが息をのんだ。二人はよろよろと後ろによろめいた。そしてそのまま、コルルは仰向けにばったり倒れた。フランの一撃はきれいにあごを撃ち抜き、彼女をノックアウトさせていた。アナウンスは大声で勝者の名を叫ぼうと、思い切り息を吸い込んだ。
だが次の瞬間、フランもまた、力が抜けたかのように膝から崩れ落ちた。フランは驚いて自分の脚を見つめるが、脚はぴくりとも動かない。限界が来たのだと、フランは悟った。いや、それどころかおそらく、全身のあちこちが限界だったに違いない。その証拠に、フランの体は吸い寄せられるように、リングへと倒れ伏した。
床は硬かったが、まあ今はこれでもいいかと、フランは目を閉じてほほ笑んだ。
「こっ、これは……!?」
アナウンスは吸い込んだ息の吐き出し先を見失って、ごほごほむせた。二人が倒れたのは、ほぼ同時。さらに二人とも、もう起き上がれそうには見えない。観客たちはどちらが勝者になるのかと、息をつめてその時を待った。数十秒ほどの沈黙の後、下された審判を聞いたアナウンスが、再び息を吸い込んだ。
「両者、ノックダウン!第三試合の結果は、引き分け!つまり今回の勇演武闘は、一勝一分け同士の、引き分けとなります!」
つづく
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読了ありがとうございました。
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そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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