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17章 再開の約束
9-3
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「はあああ!」「やあああ!」
フランとアルルカが、声を張り上げながら、フレッシュゴーレムへと突っ込んでいく。二人の姿に勇気付けられたのか、兵士たちも恐怖を克服し、戦闘を開始した。
フランは毒の鉤爪で、手近にいたフレッシュゴーレムの首を跳ね飛ばした。あのゴーレムは、死体を素に作られた魔導の兵器だから、遠慮はいらない。しかしそこで、恐ろしいことが起きた。フレッシュゴーレムは自らの腕を、無くなった頭部へと突き刺した。ぶちりと音がして、腕が途中でちぎれる。すると、突き刺さった腕が変化して、新たな頭となったのだ。
「っ」
「でたらめね……」
頭を再生したフレッシュゴーレムは、再び襲い掛かってきた。あ、あいつら、頭を跳ねても止まらないのか?でもそうか、あれは生き物じゃない。首を斬られたところで、あいつらからしたら、パーツが一つ欠けたに過ぎないんだ。
ゴーレムの不気味な再生は、戦場のあちこちで発生していた。片腕を切り落とされた奴は、自分の腹に手を突き立てると、肉を引きちぎった。それを欠損部に当てがうと、新たな腕になってしまうのだ。さらに恐ろしい奴だと、真っ二つになったまま、上半身と下半身が別々に動き出した、なんてのもある。
「チッ!大人しくくたばりなさい、よっ!」
アルルカは足を振り上げ、ムーンサルトキックでフレッシュゴーレムのあごを蹴飛ばした。ゴーレムがぐらついたところに、フルスイングの杖をお見舞いする。ゴキン!鈍い音がして、ゴーレムの首がぐにょんとひん曲がる。アルルカがさらに杖を打ち付けると、首は餅のように伸びて、ぼとりと床に落ちた。うぅ、吐き気を催す光景だ。
だがあろうことか、ゴーレムは伸びた首を掴むと、投げ縄のようにアルルカへと投げつけたじゃないか。さすがに面食らったのか、アルルカは避けられずに、首に巻き付かれてしまう。すると、のっぺらぼうだったゴーレムの頭部に、切れ込みのような口が開いた。歯のない口を大きく開けて、恐怖に凍り付いたアルルカの顔に噛みつこうとする!
「どけええぇぇ!」
紫爪一閃。フランは一瞬で、アルルカに巻き付いていた首を切り落とした。
「大丈夫?ぼさっとしないで!」
「う、わ、わかってるわよ!」
アルルカはへばりついていたゴーレムの肉片を振るい落とすと、フランの隣に並ぶ。
「でもこいつら、三枚に下ろしても動き続けるわよ?埒が明かないわ!」
「だったら、動かなくなるまで切り刻む!」
フランはすぐさま、別のフレッシュゴーレムに向かって行った。バラバラにして、少しでも再生を遅らせようって事らしい。アルルカも舌打ちすると、その後に続く。
それを見ていた兵士たちも、ゴーレムの足を狙って集中攻撃を始めた。一時的でも動きを止めれば、脅威度をかなり抑えられると判断したらしい。しかし、切ったそばから、奴らの体は再生していく。おまけに、まだ天井の穴からは、新手がずるずると這い出してきていた。
(アルルカの言う通りだ。これじゃ、埒が明かないぞ……!)
とその時、一体のフレッシュゴーレムがこちらに突進してきた。ロウランがそいつの前に立ちふさがると、素早く包帯を伸ばし、そいつの四肢に絡みつけた。そして思い切りねじる!ボギボギボギ!
「うわ……」
フレッシュゴーレムは手足をひとまとめに捻り上げられ、小籠包のようになってしまった。
「これなら、もう動けないの!」
「ああ……って、うわ!ロウラン、足下!」
「え?わあ!」
いつの間にかロウランの足下に、赤と白のいもむしみたいなのがにじり寄っていた。俺はそいつを蹴っ飛ばして、追い払った。ぶにっとした感触。
「あ、ありがとなの、ダーリン。でも、今のって」
「ああ……俺の身間違いじゃなきゃ、奴らの腕に見えたな」
冗談じゃないぞ。あいつら、腕だけになっても動けるのか?やがてあちこちから、俺たちと同じような悲鳴が聞こえ始めた。
「これ、どこまで小さくすれば、動かなくなるんですかっ!」
這い寄ってきたパーツ(膝から下だけの足だ。器用に足の指を動かして移動していた……)を、ロッドで叩きつけながら、ウィルが怒鳴る。
「桜下さん!こいつら、ほんとにアンデッドじゃないんですか?そうとしか思えないんですけど!」
「ああ、俺もそう思えてきた!試してみる!」
言うが早いか、俺はかがんで、右手を床に付けた。魔力を込める。
「ディストーションハンド・オーバードライブ!」
ブアァ!魔力の波動が、床一面に広がった。仲間のアンデッドたちはびくんと震えたが、フレッシュゴーレムどもには、変わったところは見られない。それに俺も、魂を“掴んだ”感触がまるでなかった。やっぱりこいつらは、アンデッドではないんだ。
だけど、それ以外に一つ、気が付いたことがあった。そんなまさか。いや、でも?
「あぶないの!」
ハッ。一体の片腕のないフレッシュゴーレムが、ロウランの守りをすり抜けて、こちらに向かってきている。けどそいつが狙っているのは、俺じゃない。ライラだ!俺は自分でも分からないまま、無意識で右手を構えていた。
「ソウルカノン!」
ドンッ!薄桃色の魔力のかたまりが、俺の手の平から飛び出した。それがゴーレムにぶつかった瞬間、ゴーレムは紙切れのように吹っ飛ばされてしまった。
「ライラ!大丈夫か!?」
「う、うん。へーき。でも、今のって……」
騒ぎを聞きつけたのか、ロウランとウィル、それにフランとアルルカもこっちに戻ってくる。
「ごめん、ダーリン!怪我はなかった?よかったの……でも、どうしてあいつは吹っ飛んだの?ダーリンのあの技って、アンデッドにしか効かないはずじゃ……」
「ああ、その通りだ。俺も確証はなかったんだが……」
ウィルが眉を顰める。
「どういうことですか?あのまだら人形は、アンデッドじゃないんですよね?それなのに、ソウルカノンは効くなんて……」
「ああ。あれは、アンデッドじゃない。だけど、ソウルカノンの効果があるのは、アンデッドだけじゃないんだよ」
「え?」
「一つだけ、例外がある。冥属性の魔力を帯びた物には、効果を発揮するんだよ」
これこそが、全ての謎を解くカギだ。ウィルが目を丸くする。
「つまり、あのゴーレムたちは、アンデッドではないけれど、冥の魔力を帯びている?」
「そうだ。まるで、魂の代わりを吹き込まれたみたいにな。てことは、それをした奴がいる。そいつがいるのは……」
俺が見た方向を、みんなもつられて追った。
「上だ!」
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
====================
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よければ見てみてください。
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フランとアルルカが、声を張り上げながら、フレッシュゴーレムへと突っ込んでいく。二人の姿に勇気付けられたのか、兵士たちも恐怖を克服し、戦闘を開始した。
フランは毒の鉤爪で、手近にいたフレッシュゴーレムの首を跳ね飛ばした。あのゴーレムは、死体を素に作られた魔導の兵器だから、遠慮はいらない。しかしそこで、恐ろしいことが起きた。フレッシュゴーレムは自らの腕を、無くなった頭部へと突き刺した。ぶちりと音がして、腕が途中でちぎれる。すると、突き刺さった腕が変化して、新たな頭となったのだ。
「っ」
「でたらめね……」
頭を再生したフレッシュゴーレムは、再び襲い掛かってきた。あ、あいつら、頭を跳ねても止まらないのか?でもそうか、あれは生き物じゃない。首を斬られたところで、あいつらからしたら、パーツが一つ欠けたに過ぎないんだ。
ゴーレムの不気味な再生は、戦場のあちこちで発生していた。片腕を切り落とされた奴は、自分の腹に手を突き立てると、肉を引きちぎった。それを欠損部に当てがうと、新たな腕になってしまうのだ。さらに恐ろしい奴だと、真っ二つになったまま、上半身と下半身が別々に動き出した、なんてのもある。
「チッ!大人しくくたばりなさい、よっ!」
アルルカは足を振り上げ、ムーンサルトキックでフレッシュゴーレムのあごを蹴飛ばした。ゴーレムがぐらついたところに、フルスイングの杖をお見舞いする。ゴキン!鈍い音がして、ゴーレムの首がぐにょんとひん曲がる。アルルカがさらに杖を打ち付けると、首は餅のように伸びて、ぼとりと床に落ちた。うぅ、吐き気を催す光景だ。
だがあろうことか、ゴーレムは伸びた首を掴むと、投げ縄のようにアルルカへと投げつけたじゃないか。さすがに面食らったのか、アルルカは避けられずに、首に巻き付かれてしまう。すると、のっぺらぼうだったゴーレムの頭部に、切れ込みのような口が開いた。歯のない口を大きく開けて、恐怖に凍り付いたアルルカの顔に噛みつこうとする!
「どけええぇぇ!」
紫爪一閃。フランは一瞬で、アルルカに巻き付いていた首を切り落とした。
「大丈夫?ぼさっとしないで!」
「う、わ、わかってるわよ!」
アルルカはへばりついていたゴーレムの肉片を振るい落とすと、フランの隣に並ぶ。
「でもこいつら、三枚に下ろしても動き続けるわよ?埒が明かないわ!」
「だったら、動かなくなるまで切り刻む!」
フランはすぐさま、別のフレッシュゴーレムに向かって行った。バラバラにして、少しでも再生を遅らせようって事らしい。アルルカも舌打ちすると、その後に続く。
それを見ていた兵士たちも、ゴーレムの足を狙って集中攻撃を始めた。一時的でも動きを止めれば、脅威度をかなり抑えられると判断したらしい。しかし、切ったそばから、奴らの体は再生していく。おまけに、まだ天井の穴からは、新手がずるずると這い出してきていた。
(アルルカの言う通りだ。これじゃ、埒が明かないぞ……!)
とその時、一体のフレッシュゴーレムがこちらに突進してきた。ロウランがそいつの前に立ちふさがると、素早く包帯を伸ばし、そいつの四肢に絡みつけた。そして思い切りねじる!ボギボギボギ!
「うわ……」
フレッシュゴーレムは手足をひとまとめに捻り上げられ、小籠包のようになってしまった。
「これなら、もう動けないの!」
「ああ……って、うわ!ロウラン、足下!」
「え?わあ!」
いつの間にかロウランの足下に、赤と白のいもむしみたいなのがにじり寄っていた。俺はそいつを蹴っ飛ばして、追い払った。ぶにっとした感触。
「あ、ありがとなの、ダーリン。でも、今のって」
「ああ……俺の身間違いじゃなきゃ、奴らの腕に見えたな」
冗談じゃないぞ。あいつら、腕だけになっても動けるのか?やがてあちこちから、俺たちと同じような悲鳴が聞こえ始めた。
「これ、どこまで小さくすれば、動かなくなるんですかっ!」
這い寄ってきたパーツ(膝から下だけの足だ。器用に足の指を動かして移動していた……)を、ロッドで叩きつけながら、ウィルが怒鳴る。
「桜下さん!こいつら、ほんとにアンデッドじゃないんですか?そうとしか思えないんですけど!」
「ああ、俺もそう思えてきた!試してみる!」
言うが早いか、俺はかがんで、右手を床に付けた。魔力を込める。
「ディストーションハンド・オーバードライブ!」
ブアァ!魔力の波動が、床一面に広がった。仲間のアンデッドたちはびくんと震えたが、フレッシュゴーレムどもには、変わったところは見られない。それに俺も、魂を“掴んだ”感触がまるでなかった。やっぱりこいつらは、アンデッドではないんだ。
だけど、それ以外に一つ、気が付いたことがあった。そんなまさか。いや、でも?
「あぶないの!」
ハッ。一体の片腕のないフレッシュゴーレムが、ロウランの守りをすり抜けて、こちらに向かってきている。けどそいつが狙っているのは、俺じゃない。ライラだ!俺は自分でも分からないまま、無意識で右手を構えていた。
「ソウルカノン!」
ドンッ!薄桃色の魔力のかたまりが、俺の手の平から飛び出した。それがゴーレムにぶつかった瞬間、ゴーレムは紙切れのように吹っ飛ばされてしまった。
「ライラ!大丈夫か!?」
「う、うん。へーき。でも、今のって……」
騒ぎを聞きつけたのか、ロウランとウィル、それにフランとアルルカもこっちに戻ってくる。
「ごめん、ダーリン!怪我はなかった?よかったの……でも、どうしてあいつは吹っ飛んだの?ダーリンのあの技って、アンデッドにしか効かないはずじゃ……」
「ああ、その通りだ。俺も確証はなかったんだが……」
ウィルが眉を顰める。
「どういうことですか?あのまだら人形は、アンデッドじゃないんですよね?それなのに、ソウルカノンは効くなんて……」
「ああ。あれは、アンデッドじゃない。だけど、ソウルカノンの効果があるのは、アンデッドだけじゃないんだよ」
「え?」
「一つだけ、例外がある。冥属性の魔力を帯びた物には、効果を発揮するんだよ」
これこそが、全ての謎を解くカギだ。ウィルが目を丸くする。
「つまり、あのゴーレムたちは、アンデッドではないけれど、冥の魔力を帯びている?」
「そうだ。まるで、魂の代わりを吹き込まれたみたいにな。てことは、それをした奴がいる。そいつがいるのは……」
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「上だ!」
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