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外伝 - 終章
終章三節 - 胸中の炎
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「それでも古狐に話しかけて仲良くし続けた俺たち偉い!」
「偉い!」
「あの……、ありがとう」
辰海は再び感謝の言葉を口にした。
「誰しも文官筆頭の若様とは仲良くしたいやんなぁ」
冗談っぽい口調で笑いながら言う赤銅あすかは、城下町でも指折りの大商家の娘だ。様々な打算から辰海と仲良くしたいのは事実だろう。与羽の城主一族と言う出身と比べると劣って見えるが、辰海が家柄に救われている部分も大きい。
「それに、与羽ちゃんって結構辰海くんの話するしね」
「それわかるー」
「たしかに」
うなずき合う学友たち。
「何度か与羽のお見舞いに行ったけど、与羽はほとんどいつも君の話をしてたよ」
アメも彼らの会話に賛同した。
「そっか……」
――与羽が僕の知らないところで僕の話をしてくれていた……。
「古狐君めっちゃうれしそうニヤニヤ笑うじゃん」
「えっ!?」
辰海は慌てて口元に左手を当てて隠した。触れた自分の顔は熱い。
「目も笑ってる」
自分の目元を指さすラメにそう指摘されると、その熱は一層増していく。ほほも、目の周りも、耳も――。体中から火が出そうだ。
「だって――」
辰海は喜びを隠すのを諦めて、友人たちに笑顔をさらした。
「そう言えば、中州そっくりの女の子が出てくる春本あるんだけど、いるか?」
「フィラ、キミはいっつも――」
「中州に似すぎてて抜けなかったんだよなぁ」
魚目風来は来夢に止められつつも、言いたいことを言いきった。
「え……?」
予想外すぎる提案に、辰海は困惑を隠しきれない。しかし、フィラは辰海の返事がないことを自分に都合良く受け取ったようだった。
「断らないってことは欲しいんだな。大丈夫だぞー。『欲しい』って言うのは恥ずかしいもんな。俺も男だ、お前の気持ちはぃよおぉぉぉーくわかる。中州には絶っっっ対見つからないように渡すから安心してくれ!」
いろんな意味で不安しかなくて、辰海は布団に倒れ込みそうになった。すぐにアメがその背を支えてくれたが。
「辰海! 大丈夫?」
「……うーん」
辰海はうなることしかできない。
「与羽ちゃんに贈り物をしたいときはうちをご利用くださいねぇ」
揉み手しながら迫る大商家の娘赤銅あすか。
「与羽のどこが好きなんだ?」
ニヤニヤ笑いを隠すことなく聞いてくる黒曜仁。
ほかにも――。
「もう、勝手にしてよ……」
辰海は力尽きてアメの腕に身を預けた。ひどく疲れてしまったが、悪い気はしない。与羽がいなくても辰海の周りには友達がいて、楽しそうに話しかけてくれる。
「でも、僕が与羽のこと好きって話だけは、絶対与羽に教えないでね」
「もしバラしたら?」
「僕の古狐の力を使って大変な目に合わせる」
辰海は閉じていた目を開けた。吊り上がった目を鋭くして集まった面々を見わたす辰海は本気だ。
「こわー……」
「冗談になってねーよ」
「ふふふっ」
辰海を恐れて身を引く彼らがおもしろくて、辰海は声を出して笑った。それに学友たちが一層恐怖の表情を浮かべるのが本当に愉快だ。
「感謝するよ。君たちのおかげで、僕はもう大丈夫そうだ」
胸の中に、ほのかな火が燃えている。眩しく強烈な与羽の光とは違う、穏やかな、揺らぐことなく燃える炎。辰海自身が灯したものなのか、周りの仲間たちのおかげなのか。それはわからないが、この光を支えに立ち上がれるだろう。
「明日の朝議には来る?」
これから文官仲間になるであろうアメが期待に身を乗り出した。
「もちろん」
「楽しみ」
辰海の返答に、アメは幼さの残る顔をほころばせた。
「また本読みに来たい」
これは物語本を読んでいる双子のどちらか。片方は桃色に木の葉と小鳥模様、片方は水色に水流と魚模様の着物を着ているものの、顔がそっくりなので見分けがつかない。他の学友たちはどちらがどちらかわかるのだろうか?
「貸してあげるし、連絡をくれたらまた来てくれていいよ。あ、でも、君たちだけで来るのはやめて欲しいかな。あの……、ほら、与羽に誤解されたくないから、さ」
双子は万事心得ていると言うように深くうなずいた。
――少しだけ、生きやすくなりそうだ。
辰海は再び騒ぎはじめた友人たちを眺めながら思った。
「まずは最短で中級文官」
小さく今後の目標を呟く。それを耳ざとく聞いたアメとラメが小さくうなずいた。
「中級文官になれば、与羽の後見人を任せてもらえるかもしれない。その後のことはその時に考えよう。与羽と長い間一緒にいられるように、中級文官を維持しても良いし、与羽と夫婦になることを考えてより高い立場を目指しても良い。いや、夫婦なんて思考を飛躍させすぎだ。まずは与羽にふさわしくなれるよう、いろいろ成長しないと……」
自分の将来に思考を巡らせていた辰海は、周りの視線にふと顔を上げた。与羽にも注意された悪い癖だ。物事を深く考えすぎる。考え込むあまり、友人たちのことを忘れていた。
「あ、ごめ――」
とっさに謝ろうとした辰海だったが、彼らの表情は辰海が想定していたものと違う。
「?」
「心の声、漏れ漏れ」
小さく首を傾げた辰海に指を突き付けて言ったのは実砂菜だ。胡坐をかいた千斗の足の間に機嫌よく座り、ニヤニヤ笑っている。千斗ですら片手で強く口元を押さえて笑みを隠そうとしていた。
「え……?」
とっさに隣に座るアメを見たが、彼はそっぽを向いて眉間にしわを寄せ、神妙な顔をつくろうとしている。その後ろではとうとうラメが噴き出した。その瞬間、部屋中に笑い声が広がった。辰海は将来の目標をすべて口に出しながら考えこんでいたのだ。与羽の後見人をやりたいがために中級文官を目指すのも、与羽と夫婦になりたいという辰海の願望も全部聞かれてしまった。
「そう言う辰海いいぞー」
「意外な一面」
からかいながら笑う友人たちに、辰海の顔が熱くなった。
「やめてよ! 本当に! 絶対内緒にしてよ!!」
慌てて叫んだが、顔を真っ赤にして恥ずかしがる辰海からは覇気も威圧感も消え失せている。
「本当に、絶対の絶対だからね!」
語彙力も、普段の思慮深さも捨てて、辰海は声の限りにそう説き伏せた。
【龍神の詩外伝『風水炎舞』完】
→ 第四部:龍姫の恋愛成就大作戦
【あとがき】
外伝「風水炎舞」最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
このタイトルの由来は、中州国で広く親しまれている舞と剣術の型「風水円舞」なのはお察しの通りです。
与羽に属性を付けるのなら、自由気ままで飄々としている水や風ですし、
辰海は外面は穏やかに見えて、内面でかなり激しい炎を燃やしているタイプです。
嫉妬の炎から、恋慕の炎へその割合は徐々に変化していますが、胸中に強い感情を隠しているのは今(本編時)も昔(外伝時)も変わりません。
彼の(もしくは、二人の?)恋路をこれからもお楽しみくださいませ。
【龍の名残りの話】
少しだけ、作中の補足話をします。
本作で(あと、第二部の『龍神の郷』でも)辰海が気にしていた、龍の名残りの話です。
髪の色や目の色、鱗状のあざ(いわゆる「龍鱗の跡」)など。城主一族や一部の家に見られる身体的な特徴だと言うのは、作中でも繰り返し書いてありますよね。
中州城主一族の場合は、青や黄緑色にきらめく黒髪と青紫色の瞳。
柊家の場合は、藍色の髪と黄緑色の瞳。
古狐は、灰桜色の瞳。
九鬼は、暗紫色の瞳。
ほかにも、緑や青、紫系の目を持つ家がいくつかあります。
ただ、龍の名残りは見た目だけのものではなく、気質や体質的なものもあるのです。
気質は、感情的で、わがままで、情深くて。自分勝手に突っ走って、周りに迷惑を振りまく人が多いです。その割に、いざというときは周りを気遣えて、やさしい。なんか悪ぶってるけど、大斗もめちゃくちゃ面倒見良いでしょ!? そういうことです。
体質的には、龍の血を継ぐ人々は、身体能力に優れることが多いようです。大斗をはじめとする九鬼の人たちが強いのもそうですし、与羽の反射神経やすばやさも、卯龍さんが文官一位でありながら武官四位を担っているのも龍の血のおかげです。そして、辰海も常人以上の持久力(だからめちゃくちゃ努力してもバテずにがんばれるし、「第二部:龍神の郷」の時もなんとかなった)と戦闘能力(普段隠してるけど、大斗とか一部の人は見抜いてるっぽい)を持っています。
辰海は外見的な見た目こそ受け継がなかったものの、その性格や体質はまぎれもなく龍の末裔なのです。
作中でそれを確信しているのは大斗くらいですが(彼は人の強さに敏感なので。与羽や卯龍さんたちは「そんなことどっちでもいいじゃん。辰海は辰海だし」ってスタンスで気にしていない)、心の片隅に置いておくと、今までや今後の作品をもう少し楽しめるかもしれません。
なお、この説明中に「大斗が」「大斗が」と繰り返し彼の名を出しましたが、
大斗が辰海に冷たく当たったり、挑発を繰り返したりするのは、辰海の才能を完全に見抜いているからです。「やればできるのにやらないし、そんなんで与羽にふさわしい男になれると思ってんの? このままなら、絡柳に任せた方が百倍マシなんだけど」とか思ってるとかいないとか。
大斗は自分が九鬼の跡取りとしてされてきた期待と同じ分かそれ以上の期待を辰海にしていますし、辰海ならそれに答えられると確信しています。「だってあいつは『古狐』だからね」
以上、裏話でした。
「偉い!」
「あの……、ありがとう」
辰海は再び感謝の言葉を口にした。
「誰しも文官筆頭の若様とは仲良くしたいやんなぁ」
冗談っぽい口調で笑いながら言う赤銅あすかは、城下町でも指折りの大商家の娘だ。様々な打算から辰海と仲良くしたいのは事実だろう。与羽の城主一族と言う出身と比べると劣って見えるが、辰海が家柄に救われている部分も大きい。
「それに、与羽ちゃんって結構辰海くんの話するしね」
「それわかるー」
「たしかに」
うなずき合う学友たち。
「何度か与羽のお見舞いに行ったけど、与羽はほとんどいつも君の話をしてたよ」
アメも彼らの会話に賛同した。
「そっか……」
――与羽が僕の知らないところで僕の話をしてくれていた……。
「古狐君めっちゃうれしそうニヤニヤ笑うじゃん」
「えっ!?」
辰海は慌てて口元に左手を当てて隠した。触れた自分の顔は熱い。
「目も笑ってる」
自分の目元を指さすラメにそう指摘されると、その熱は一層増していく。ほほも、目の周りも、耳も――。体中から火が出そうだ。
「だって――」
辰海は喜びを隠すのを諦めて、友人たちに笑顔をさらした。
「そう言えば、中州そっくりの女の子が出てくる春本あるんだけど、いるか?」
「フィラ、キミはいっつも――」
「中州に似すぎてて抜けなかったんだよなぁ」
魚目風来は来夢に止められつつも、言いたいことを言いきった。
「え……?」
予想外すぎる提案に、辰海は困惑を隠しきれない。しかし、フィラは辰海の返事がないことを自分に都合良く受け取ったようだった。
「断らないってことは欲しいんだな。大丈夫だぞー。『欲しい』って言うのは恥ずかしいもんな。俺も男だ、お前の気持ちはぃよおぉぉぉーくわかる。中州には絶っっっ対見つからないように渡すから安心してくれ!」
いろんな意味で不安しかなくて、辰海は布団に倒れ込みそうになった。すぐにアメがその背を支えてくれたが。
「辰海! 大丈夫?」
「……うーん」
辰海はうなることしかできない。
「与羽ちゃんに贈り物をしたいときはうちをご利用くださいねぇ」
揉み手しながら迫る大商家の娘赤銅あすか。
「与羽のどこが好きなんだ?」
ニヤニヤ笑いを隠すことなく聞いてくる黒曜仁。
ほかにも――。
「もう、勝手にしてよ……」
辰海は力尽きてアメの腕に身を預けた。ひどく疲れてしまったが、悪い気はしない。与羽がいなくても辰海の周りには友達がいて、楽しそうに話しかけてくれる。
「でも、僕が与羽のこと好きって話だけは、絶対与羽に教えないでね」
「もしバラしたら?」
「僕の古狐の力を使って大変な目に合わせる」
辰海は閉じていた目を開けた。吊り上がった目を鋭くして集まった面々を見わたす辰海は本気だ。
「こわー……」
「冗談になってねーよ」
「ふふふっ」
辰海を恐れて身を引く彼らがおもしろくて、辰海は声を出して笑った。それに学友たちが一層恐怖の表情を浮かべるのが本当に愉快だ。
「感謝するよ。君たちのおかげで、僕はもう大丈夫そうだ」
胸の中に、ほのかな火が燃えている。眩しく強烈な与羽の光とは違う、穏やかな、揺らぐことなく燃える炎。辰海自身が灯したものなのか、周りの仲間たちのおかげなのか。それはわからないが、この光を支えに立ち上がれるだろう。
「明日の朝議には来る?」
これから文官仲間になるであろうアメが期待に身を乗り出した。
「もちろん」
「楽しみ」
辰海の返答に、アメは幼さの残る顔をほころばせた。
「また本読みに来たい」
これは物語本を読んでいる双子のどちらか。片方は桃色に木の葉と小鳥模様、片方は水色に水流と魚模様の着物を着ているものの、顔がそっくりなので見分けがつかない。他の学友たちはどちらがどちらかわかるのだろうか?
「貸してあげるし、連絡をくれたらまた来てくれていいよ。あ、でも、君たちだけで来るのはやめて欲しいかな。あの……、ほら、与羽に誤解されたくないから、さ」
双子は万事心得ていると言うように深くうなずいた。
――少しだけ、生きやすくなりそうだ。
辰海は再び騒ぎはじめた友人たちを眺めながら思った。
「まずは最短で中級文官」
小さく今後の目標を呟く。それを耳ざとく聞いたアメとラメが小さくうなずいた。
「中級文官になれば、与羽の後見人を任せてもらえるかもしれない。その後のことはその時に考えよう。与羽と長い間一緒にいられるように、中級文官を維持しても良いし、与羽と夫婦になることを考えてより高い立場を目指しても良い。いや、夫婦なんて思考を飛躍させすぎだ。まずは与羽にふさわしくなれるよう、いろいろ成長しないと……」
自分の将来に思考を巡らせていた辰海は、周りの視線にふと顔を上げた。与羽にも注意された悪い癖だ。物事を深く考えすぎる。考え込むあまり、友人たちのことを忘れていた。
「あ、ごめ――」
とっさに謝ろうとした辰海だったが、彼らの表情は辰海が想定していたものと違う。
「?」
「心の声、漏れ漏れ」
小さく首を傾げた辰海に指を突き付けて言ったのは実砂菜だ。胡坐をかいた千斗の足の間に機嫌よく座り、ニヤニヤ笑っている。千斗ですら片手で強く口元を押さえて笑みを隠そうとしていた。
「え……?」
とっさに隣に座るアメを見たが、彼はそっぽを向いて眉間にしわを寄せ、神妙な顔をつくろうとしている。その後ろではとうとうラメが噴き出した。その瞬間、部屋中に笑い声が広がった。辰海は将来の目標をすべて口に出しながら考えこんでいたのだ。与羽の後見人をやりたいがために中級文官を目指すのも、与羽と夫婦になりたいという辰海の願望も全部聞かれてしまった。
「そう言う辰海いいぞー」
「意外な一面」
からかいながら笑う友人たちに、辰海の顔が熱くなった。
「やめてよ! 本当に! 絶対内緒にしてよ!!」
慌てて叫んだが、顔を真っ赤にして恥ずかしがる辰海からは覇気も威圧感も消え失せている。
「本当に、絶対の絶対だからね!」
語彙力も、普段の思慮深さも捨てて、辰海は声の限りにそう説き伏せた。
【龍神の詩外伝『風水炎舞』完】
→ 第四部:龍姫の恋愛成就大作戦
【あとがき】
外伝「風水炎舞」最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
このタイトルの由来は、中州国で広く親しまれている舞と剣術の型「風水円舞」なのはお察しの通りです。
与羽に属性を付けるのなら、自由気ままで飄々としている水や風ですし、
辰海は外面は穏やかに見えて、内面でかなり激しい炎を燃やしているタイプです。
嫉妬の炎から、恋慕の炎へその割合は徐々に変化していますが、胸中に強い感情を隠しているのは今(本編時)も昔(外伝時)も変わりません。
彼の(もしくは、二人の?)恋路をこれからもお楽しみくださいませ。
【龍の名残りの話】
少しだけ、作中の補足話をします。
本作で(あと、第二部の『龍神の郷』でも)辰海が気にしていた、龍の名残りの話です。
髪の色や目の色、鱗状のあざ(いわゆる「龍鱗の跡」)など。城主一族や一部の家に見られる身体的な特徴だと言うのは、作中でも繰り返し書いてありますよね。
中州城主一族の場合は、青や黄緑色にきらめく黒髪と青紫色の瞳。
柊家の場合は、藍色の髪と黄緑色の瞳。
古狐は、灰桜色の瞳。
九鬼は、暗紫色の瞳。
ほかにも、緑や青、紫系の目を持つ家がいくつかあります。
ただ、龍の名残りは見た目だけのものではなく、気質や体質的なものもあるのです。
気質は、感情的で、わがままで、情深くて。自分勝手に突っ走って、周りに迷惑を振りまく人が多いです。その割に、いざというときは周りを気遣えて、やさしい。なんか悪ぶってるけど、大斗もめちゃくちゃ面倒見良いでしょ!? そういうことです。
体質的には、龍の血を継ぐ人々は、身体能力に優れることが多いようです。大斗をはじめとする九鬼の人たちが強いのもそうですし、与羽の反射神経やすばやさも、卯龍さんが文官一位でありながら武官四位を担っているのも龍の血のおかげです。そして、辰海も常人以上の持久力(だからめちゃくちゃ努力してもバテずにがんばれるし、「第二部:龍神の郷」の時もなんとかなった)と戦闘能力(普段隠してるけど、大斗とか一部の人は見抜いてるっぽい)を持っています。
辰海は外見的な見た目こそ受け継がなかったものの、その性格や体質はまぎれもなく龍の末裔なのです。
作中でそれを確信しているのは大斗くらいですが(彼は人の強さに敏感なので。与羽や卯龍さんたちは「そんなことどっちでもいいじゃん。辰海は辰海だし」ってスタンスで気にしていない)、心の片隅に置いておくと、今までや今後の作品をもう少し楽しめるかもしれません。
なお、この説明中に「大斗が」「大斗が」と繰り返し彼の名を出しましたが、
大斗が辰海に冷たく当たったり、挑発を繰り返したりするのは、辰海の才能を完全に見抜いているからです。「やればできるのにやらないし、そんなんで与羽にふさわしい男になれると思ってんの? このままなら、絡柳に任せた方が百倍マシなんだけど」とか思ってるとかいないとか。
大斗は自分が九鬼の跡取りとしてされてきた期待と同じ分かそれ以上の期待を辰海にしていますし、辰海ならそれに答えられると確信しています。「だってあいつは『古狐』だからね」
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