2 / 12
2
しおりを挟む
宰相の良浜がゆっくりを口を開く。
「月梅さま、この世には男と女がおりますが稀にそのどちらでもない人間というものが生まれます。それを陰陽道では半陰陽と呼ぶのです」
「男と女のどちらでもないなんてすごいですね」
田舎で伸び伸びと育った月梅はその持ち前の純真さで悪意なく桃柊を褒めた。
義姉に褒められるのは桃柊からしても悪い気はしない、そんな気持ちを無視して良浜は言葉をつづける。
「確かに半陰陽は完全なる体です、しかし完全なものほど魔に魅入られやすい。建物を作るときに逆さ柱を付けて魔除けにするように、不完全であれば魔は近寄らないのです」
「つまり桃柊さまは魔物に魅入られやすいのですか?」
「陰陽師はもう申しておりました。そのため宮廷に魔を引き寄せないよう桃柊様はこの離宮でお過ごしいただいているのです」
「桃柊さまはお兄様思いなのですね」
月梅はどうやら家族を魔から引き離すために離宮で引きこもっていると解釈したようで「私にできることは協力しますわ」と告げた。
「……ありがとうございます」
人のいい月梅は勘違いしているが実際は両親である前皇帝夫妻の命令で軟禁されている。
両親はこの末妹を災いを引き寄せる存在と考え離宮に閉じ込めており行事に出たことは一度もなく、金狼もまた同じように考えて閉じ込めているのだ。
その代わり離宮で不便しないようにという名目で皇帝への忠誠心の厚い使用人を複数人置いているが、桃柊からすれば監視されているような気がして気分が悪かった。
「金狼殿下。後宮を作りそこを私に預けるというのは理解しましたが、断る権利は」
「帝国のためだ、やるしかないだろう」
断れば国を追われることになることを即座に理解すると「わかりました」と返す。
「まずは来月半ばに2人連れてくる。朱家の凛風と金家の桜陽だ」
朱家は国内の超がつくほどの有力貴族で、凛風は金狼の婚約者候補でもあったがまだ結婚していなかったとは。
金家は貴族でありながら手広く商売をすることで知られており、桜陽という女性についてはよく知らないが風の噂によれば都中の貴族がこぞって求婚しているとかいないとか。
皇帝の第二・第三夫人になるつもりが半陰陽者に抱かれて産む機会とならねばならぬ二人の女性が哀れに思えてくる。
「でしたら二人が気にいる部屋を作りたく存じます、予算を請求しても?」
「予算の範囲内なら別に構わん、後のことは良浜に相談しろ」
そう告げると次の仕事があるらからといって出て行った後姿は皇帝らしい威厳に満ち溢れ、この威厳をぐちゃぐちゃにすり潰せないかと恨み言の一つでも吐きたくなった。
「月梅さま、この世には男と女がおりますが稀にそのどちらでもない人間というものが生まれます。それを陰陽道では半陰陽と呼ぶのです」
「男と女のどちらでもないなんてすごいですね」
田舎で伸び伸びと育った月梅はその持ち前の純真さで悪意なく桃柊を褒めた。
義姉に褒められるのは桃柊からしても悪い気はしない、そんな気持ちを無視して良浜は言葉をつづける。
「確かに半陰陽は完全なる体です、しかし完全なものほど魔に魅入られやすい。建物を作るときに逆さ柱を付けて魔除けにするように、不完全であれば魔は近寄らないのです」
「つまり桃柊さまは魔物に魅入られやすいのですか?」
「陰陽師はもう申しておりました。そのため宮廷に魔を引き寄せないよう桃柊様はこの離宮でお過ごしいただいているのです」
「桃柊さまはお兄様思いなのですね」
月梅はどうやら家族を魔から引き離すために離宮で引きこもっていると解釈したようで「私にできることは協力しますわ」と告げた。
「……ありがとうございます」
人のいい月梅は勘違いしているが実際は両親である前皇帝夫妻の命令で軟禁されている。
両親はこの末妹を災いを引き寄せる存在と考え離宮に閉じ込めており行事に出たことは一度もなく、金狼もまた同じように考えて閉じ込めているのだ。
その代わり離宮で不便しないようにという名目で皇帝への忠誠心の厚い使用人を複数人置いているが、桃柊からすれば監視されているような気がして気分が悪かった。
「金狼殿下。後宮を作りそこを私に預けるというのは理解しましたが、断る権利は」
「帝国のためだ、やるしかないだろう」
断れば国を追われることになることを即座に理解すると「わかりました」と返す。
「まずは来月半ばに2人連れてくる。朱家の凛風と金家の桜陽だ」
朱家は国内の超がつくほどの有力貴族で、凛風は金狼の婚約者候補でもあったがまだ結婚していなかったとは。
金家は貴族でありながら手広く商売をすることで知られており、桜陽という女性についてはよく知らないが風の噂によれば都中の貴族がこぞって求婚しているとかいないとか。
皇帝の第二・第三夫人になるつもりが半陰陽者に抱かれて産む機会とならねばならぬ二人の女性が哀れに思えてくる。
「でしたら二人が気にいる部屋を作りたく存じます、予算を請求しても?」
「予算の範囲内なら別に構わん、後のことは良浜に相談しろ」
そう告げると次の仕事があるらからといって出て行った後姿は皇帝らしい威厳に満ち溢れ、この威厳をぐちゃぐちゃにすり潰せないかと恨み言の一つでも吐きたくなった。
15
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる