種馬稼業

あかべこ

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宰相の良浜がゆっくりを口を開く。
「月梅さま、この世には男と女がおりますが稀にそのどちらでもない人間というものが生まれます。それを陰陽道では半陰陽と呼ぶのです」
「男と女のどちらでもないなんてすごいですね」
田舎で伸び伸びと育った月梅はその持ち前の純真さで悪意なく桃柊を褒めた。
義姉に褒められるのは桃柊からしても悪い気はしない、そんな気持ちを無視して良浜は言葉をつづける。
「確かに半陰陽は完全なる体です、しかし完全なものほど魔に魅入られやすい。建物を作るときに逆さ柱を付けて魔除けにするように、不完全であれば魔は近寄らないのです」
「つまり桃柊さまは魔物に魅入られやすいのですか?」
「陰陽師はもう申しておりました。そのため宮廷に魔を引き寄せないよう桃柊様はこの離宮でお過ごしいただいているのです」
「桃柊さまはお兄様思いなのですね」
月梅はどうやら家族を魔から引き離すために離宮で引きこもっていると解釈したようで「私にできることは協力しますわ」と告げた。
「……ありがとうございます」
人のいい月梅は勘違いしているが実際は両親である前皇帝夫妻の命令で軟禁されている。
両親はこの末妹を災いを引き寄せる存在と考え離宮に閉じ込めており行事に出たことは一度もなく、金狼もまた同じように考えて閉じ込めているのだ。
その代わり離宮で不便しないようにという名目で皇帝への忠誠心の厚い使用人を複数人置いているが、桃柊からすれば監視されているような気がして気分が悪かった。
「金狼殿下。後宮を作りそこを私に預けるというのは理解しましたが、断る権利は」
「帝国のためだ、やるしかないだろう」
断れば国を追われることになることを即座に理解すると「わかりました」と返す。
「まずは来月半ばに2人連れてくる。朱家の凛風りんふうと金家の桜陽おうようだ」
朱家は国内の超がつくほどの有力貴族で、凛風は金狼の婚約者候補でもあったがまだ結婚していなかったとは。
金家は貴族でありながら手広く商売をすることで知られており、桜陽という女性についてはよく知らないが風の噂によれば都中の貴族がこぞって求婚しているとかいないとか。
皇帝の第二・第三夫人になるつもりが半陰陽者に抱かれて産む機会とならねばならぬ二人の女性が哀れに思えてくる。
「でしたら二人が気にいる部屋を作りたく存じます、予算を請求しても?」
「予算の範囲内なら別に構わん、後のことは良浜に相談しろ」
そう告げると次の仕事があるらからといって出て行った後姿は皇帝らしい威厳に満ち溢れ、この威厳をぐちゃぐちゃにすり潰せないかと恨み言の一つでも吐きたくなった。
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