元孤児の魔王様は女王殿下を嫁にする

あかべこ

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10.こんにちわ、私たちの赤ちゃん

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王城でアイリスが産気づいた、という話が飛び込んできたのはある暑い日の事だった。
「アイリスのところへ行ってくる!よほどの問題がない限りは私のことを呼ぶんじゃないぞ!」
魔王城を飛び出して王城にあるアイリスの部屋へ飛び込むと、既に汗をダラダラと流したアイリスがベットに横たわっていた。
「アイリスが、具合はどう?」
「まずまずってとこね」
横にいた医者などによれば生まれてくるまではまだ半日以上かかるという。
「まだ少し余裕があるので魔王城にいてもいいのよ?」
「私がアイリスの妻として一番辛い時に横にいないなんて、妻失格だと思わない?」
「……ありがとう」
数分に一度強い痛みでうめき声をあげるアイリスの手を握り締めて頑張れと声をかけ、時折水差しをアイリスの口に添えたり汗を拭ってやる事しかできない。
「これ本当に問題ないんだよな?!」「ええ!王女殿下いきんで!」
アイリスを幼い頃から見てると言う王城の医者がそういうのならそうなんだろうが、とにかく出来ることをしてあげることしかできないのが悔しくてならない。
ぜぇぜぇと荒い息を吐くアイリスの背中をさすりうちわで仰いでいると「頭出てきましたよ!」と医者が叫ぶ。
「アイリス、あと少しだよ」
身体をさすりながら励ますとアイリスはこくんと小さくうなづく。もう声を出すのも辛いほどに疲れてるんだろう。
少しづつ子供が出てきているという医者の声を聞きながら必死にアイリスを励ましていると、大きな鐘の音と共に産声が部屋中に響いた。

「アイリス殿下、かわいい女の子ですよ!」

医者の腕からアイリスの胸へと赤ん坊が移される。
へろへろながらもその赤ん坊の瞳が私と同じブラウンであることに気づくと「同じ色ね」と笑った。
けど私は気づいている、赤ん坊の柔らそうな髪の毛がアイリスと同じ色をしていることを。
確かにこの子は私とアイリスの子なのだと思うと泣きそうなりながら、ぎゅっと2人を抱きしめる。
「ありがとう。アイリス、エマ」
ごく自然に赤ん坊の名前が口をついた。
そしてアイリスはふふっと微笑んで「私こそありがとう」と答える。
「なにが?」
「私の妻になってこんなに可愛い子をふたりも腕に抱かせてくれて、本当にありがとう」
私とアイリスとエマの3人での生活が、ここから始まる。
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