俺、異世界王子と政略結婚します。

あかべこ

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第10話

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翌朝はメイドさんのノックで目が覚めた。
まだ寝ぼけ眼のアドルフはワイシャツ(この世界だと肌着になる)とボクサーパンツのまま若くて可愛いメイドさんの起こされると、そのままメイドさんたちの手で肌着を脱がされ寝汗を拭かれていく。
同時に別のメイドさん達がトランクから俺の着替えの入った袋を持ってきてくれたが、彼女達には着せ方が分かりにくいようなので自分で着替えさせて貰った。朝イチ羞恥プレイ回避成功できて良かった、良かったけど。
「……恥ずかしくないんかな、あれ」
ようやく目が覚めてきたらしいアドルフは下着を新しいものに変えられ、そのまま今日の衣装へと着替えさせられている。
「メイドたちに仕事を与えるのは貴族の責務だからな」
「貴族の責務」
「メイド達は仕事が多ければ給料が増えて家族を楽させられる、我々は余計なことを考えず国家や領地のために時間と頭を回せる。双方徳だろ?」
……これが生粋の王族か。
現代日本ではまず聞くことのない王族の価値観に頭がクラクラしそうだ。世間的に見ればいいとこの次男坊に分類される俺ですら聞いたことのない考え方だ、今時そんな感覚で生活してる人ほぼ居な……え、さすがに居ないよね?皇室とかアラブ王族とかだと違うんかな?
変なことを考えつつメイドさん達による俺たちの朝の支度を済ませると、そのあとは夜までずっとお披露目会だった。
俺はライトグレーの色紋付き・高梁さんは真っ赤な留袖をまとって王宮で一番大きな大広間の主役席に座らされると、昨日の結婚式にも参加した関係者達との朝食会。
さらに正午前からは国内の有力商人や下級貴族を集めた昼食会、夕方からは抽選で選ばれた町民農民を集めてバイキング形式の夕食会と来た。
この披露宴は俺と高梁さんをアドルフ王子とアリシア王女の配偶者として国土の末端まで広める事と、町人まで参加する盛大な披露宴を通してサルドビア王家の威光を見せつける事が目的だ。
しかし日本側関係者はこの披露宴を通してサルドビアじゅうに自分たちの存在を売り込もうという意図があるようで、豪華な食事もそこそこに積極的に上級貴族から庶民まで声をかけての人脈作りに勤しんでいる。
(げ、元気過ぎる……)
俺の結婚を祝うために来たはずの父親がいかにも田舎の水呑百姓という雰囲気のおじさんとお喋りしているのを遠目に見ると、ずっと座って挨拶を受けてるだけなのにもう既に帰りたい俺は何なんだ?という気持ちになる。
「疲れてるか?」
「いや」
肉体的には疲れてないので反射的に否定してしまうが、正直精神的には割と疲れてる。
しかし俺はこれが終われば日本に帰れるのだから、あとちょっと我慢すればいい。
「あと少しだから、一緒に頑張ろう」
「だな」

*****

披露宴の翌日、王宮に出来た日本への道を抜けて一歩外に出ると覚えのある春風の匂いがする。
「やっと日本に帰って来れた……!」
一歩出た時に感じる五感すべてがここは日本だと教えてくれて、結婚とそれに伴うさまざまなイベントがようやく終わったと実感させてくれる。
「ユキ、」
隣にいたアドルフが俺の名前を呼ぶ。
(あ、そういや今日から俺ら一緒に住むんだったわ)
大使館の敷地の一角に造られたアドルフと俺のための邸宅は既に荷物が運び込まれ、今日から一緒に暮らせるようになっている。
「今日はこのあとどうする?」
「疲れたから汗流してさっさと寝たいかな」
ほんとは新居の確認とか荷物の片付けとかやりたいけど、もう今は全て差し置いて寝たい。
「わかった、そうしようか」
話を軽くまとめると「幸也」と聞き慣れた父の声がする。
「今日はここで解散だな」
「わかった。明日は?」
「明日は東京に戻って仕事だからな、お前達の新居見学はそのうちゆっくりさせてもらうよ」
「了解。来る時は連絡してね」
父さん達は大使館近くまでタクシーを予約していたようで、近くの公道まで出ていく背中をぼんやりと見送っていく。
そうして残ったのは俺とアドルフ、そしてアドルフ王子付きの従者近習ご一行様だ。
「ユキ、今日からよろしく」
「……ああ」
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