一日の隣人恋愛~たかが四日間、気がつけば婚約してるし、公認されてる~

「やっぱり・・・椎名!やっと見つけた!」

「え?え?」

ってか俺、椎名って名前じゃねぇし!

中学3年受験を控える年になり、始業式を終え、帰宅してすぐ出掛けたコンビニで出会った、高そうなスーツを着て、無駄にキラキラ輝いた王子のような男と目が合い、コンビニの似合わない人っているんだなと初めて思った瞬間に手を握られ顔を近づけられる。

同じ男でも、こうも無駄に美形だと嫌悪感ひとつ湧かない。女ならばコロッとこいつに惚れてしまうことだろう。

なんて冷静ぶってはいるが、俺は男でありながら美形男性に弱い。最初こそ自分もこうなりたいと憧れだったが、ついつい流行に乗ろうと雑誌を見て行く内に憧れからただの面食いになり、女の美人よりも男の美人に悶えられるほどに弱くなった。

なぜこうなったのかは自分でもわからない。

目の前のキラキラと俺を見つめる美形はモデルとして見たことはないが、今まで見てきた雑誌の中のアイドルやモデルたちよりも断然上も上の超美形。

混乱して口が思うように動かずしゃべれない。頭は冷静なのにこんな美形に話しかけられれば緊張するに決まっている。

例え人違いだとしても。

「男に生まれているとは思わなかった。名前は?」

「い、一ノ瀬」

「名字じゃない、名前を聞いているんだよ」

「うっ姫星」

イケメンボイスとも言える声で言われ、あまり好きではない女のような名前を隠さずにはいられない。せめて顔を離してくれればまだ冷静になれるのに。

「僕は横臥騎士、会えて嬉しいよ。今回は名前だけ知れたら十分だ。きあら、次こそはキミを幸せにするよ」

「はい・・・おうが、ないと様」

「フルネーム?様もいらない。騎士と呼んで」

「騎士・・・?」

「そう、いいこだ。じゃあ、明日からよろしくね」

そう言って去る美形は去り際までかっこいい姿に見惚れて見えなくなってから気づいた。美形男のおかしな発言。それと明日??

まさかこれが俺の前世による必然的出会いで、翌日から生活に多大な変化をもたらすとは誰が思っただろう。

執着系ストーカーでありながら完璧すぎる男と平凡を歩んできた面食い(男限定)故、美形であればあるほど引くぐらいに弱い平凡男の物語。
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