大人になっても、恋は止まらない。──独占と余裕のあいだで

氷月

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Lesson 24 専務の甘い独占

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バイト10日目ー


「ハルくん、今日で10日目か。なかなか覚えが早いじゃないか」

「いえ、鮫島さんの教え方がわかりやすいんです」

フロアを歩いていると、すれ違う男性社員から声が飛ぶ。

「新人くん、コーヒーでも飲む? 可愛いね!頑張って!」

「っ、あ……ありがとうございます」

その様子に鮫島が肩をすくめて、笑う。

「変わらず人気だな~ハルくん」

「……あはは」

「さて、ランチ食べたら午後からは専務室だ。スケジュール一緒に再度確認な!」

「はい!」

「で、何食べる?」

「僕は……海老カレーにします」

「奇遇だな、俺も!」

お洒落な社内カフェで、ふたり並んで海老カレーを食べる。

鮫島はハルをじっと見ながらニコニコ――まるで幸せそうに。

「……ハルくん、見ててほんと癒しだわ」

「えっ……あ、ありがとうございます」

頬を少し赤らめるハル。



午後――専務室。

ハルはiPadを開き、悠哉の隣に座る。

「今日のスケジュールですが――」

真剣に説明する横顔に、悠哉の視線が止まる。

「……仕事中に専務って呼ばれるん、まだ慣れへんな」

「だってお仕事ですから」

キッパリ返す声が可愛くて、思わずにやり。

鮫島はふたりの雰囲気を察し、笑顔で(お邪魔かな)と無言で退室。

鮫島が静かに退出すると、専務室にはふたりきりの空気が落ちた。

ハルは姿勢を正し、iPadを再度、開いてスケジュールを読み上げる。

「専務、明日のご予定は――」

「……二人きり時は専務って呼ぶな」悠哉がふいに遮る。

「俺の名前、呼べ」

「だって、仕事中です」困ったように眉を下げるハル。

悠哉はふっと笑い、椅子ごとハルを引き寄せた。額に軽くキスを落としながら囁く。

「専務やなく、俺やろ。……呼んでみ」

小さな声で「……悠哉」と呼ぶと、
悠哉の目元が緩み、満足げな笑みを浮かべた。



17時、ふたりでフロアを歩く。

背後から「御影専務と秘書さん、すごくお似合いですよね」なんて小声が漏れる。

「聞こえとるぞ」悠哉は苦笑しつつ、さりげなくハルの腰に手を回す。

「……お前、ほんま人気やな。俺、嫉妬で死ぬで」

「え、そんなこと……」ハルは赤面しながら視線を逸らす。



18時マンションに帰宅したふたり。

シャワーを浴びてさっぱりしたあと、並んでキッチンに立つ。

ハルが冷蔵庫を開け「今日は何作る?」と振り返ると、悠哉はグラスを片手に笑う。

「……正直、ごはんよりお前を食いたい気分やけどな」

「……はいはい。飲みすぎないでね」苦笑しながらも頬を赤く染めるハル。

ふたりは肩を寄せ合いながら、楽しく会話しながらゆっくりと夜の食卓を整えていった。


Lesson 25へ続く
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