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Lesson2 お前の楽しそうな顔が、ムカつく
しおりを挟む今日もキャンパス内ー
夏の陽射しに照らされて眩しいー
昨日はタクミと二人でカラオケに行き、結局俺はノリノリで歌っていた。
――意外とカラオケ好きなんだな、とレンは思い返して口元を緩める。
「おーい、レン!」
振り返ると、友人の浅田が片手を上げながら近づいてきた。
「ん? どうした、浅田」
「今日さ、合コン覚えてるか?」
浅田が言ったのは、セントベルリッツ女子大学との合コン。名前だけ聞けば、お嬢様や帰国子女が集まると噂の大学だ。
「あー…今日だっけ? うわー、マジか。ワックス忘れたわー」
レンは髪を指先で軽くつまみながら、気の抜けた声を出す。
「でさ、レン。山田が来れなくなってさ、誰かひとりいない?」
「いない」
レンが即答すると、一瞬だけ二人の間に沈黙が落ちた。
浅田が小さくため息をついたその時、レンの視線が前方の芝生でスマホをいじっているタクミに向かう。
「……あ、ひとり暇そうなのがいるわ」
レンがニヤリと笑い、ポケットからスマホを取り出した。
「誘ってみるよ」
「合コンひとり足りないんだけどさ、タクミ来いよ!」
レンが声を掛けると、タクミは眉をひそめた。
「は? 俺そういうの興味ないっす。
行かん」
「いーじゃんか、社会勉強だ。行こうぜ?
明日学校帰りにパンケーキ奢るから」
「え! なら行く!」
「よし、決まりな!」
夜。お洒落な間接照明が落ちる居酒屋の個室。
4対4の合コンが始まった。
「うわぁ、眩しいわ…お嬢様って感じ!」と浅田が小声でつぶやく。
「そうか? 俺タイプいないよ」
レンの素っ気ない返事に、浅田が「おまっ、せっかくなんだから…さ」と肩を
小突く。
タクミは恥ずかしそうにグラスを手に取り、ドリンクを口に運ぶばかり。自己紹介は軽く名前だけ済ませた。
レンは元モデルで、今は人気インフルエンサー。名前を告げただけで、周囲の女子達はニヤニヤと目を輝かせ、テンションが高まる。
そんな中、タクミの隣に一人の女子――
高槻さんが座った。
タクミはニコニコと笑い、照れながらも会話も弾んでいる。
高槻さんは自然に彼の肩や腕に触れ、距離を詰めていく。
一方でレンの周りには女子が二人ついていたが、視線はタクミの方にばかり向かう。
(なんだよ、何会話してんだ、あれ)
グラスを手に、レンは酒をグビグビと流し込む。胸の奥が妙にざわつく。
タクミが席を立ち、トイレに向かった。
すぐさまレンも立ち上がり、後を追う。
「おい、何仲良くしてんだよ!」
トイレ前でレンが低い声を投げる。
「は? レンさん、何怒ってんですか?」
「お前、あの子タイプなのかよ?」
「ん? 高槻さんか? いやー、可愛いけど俺には合わないっス」
「……本当か?」
(ちょっと安心…けど、なんだこの気持ち)
ズキズキモヤモヤする…
認めたくない感情を押し込め、二人は席に戻った。
だが、戻るや否や酔った高槻さんがタクミの膝にコテンと頭を預ける。
「おい!」レンが思わず声を荒げた。
「何してんだよ、離れろ!」
怒りと焦りが入り混じった声が、狭い個室に響く――。
場の空気が一瞬凍りついたが、タクミが
「すみません、レンさんちょっと酔ってるだけなんで」と軽く笑って場を和ませた。
その間に高槻さんがスマホを取り出し、タクミとLINEを交換する。
横目でそれを見たレンの胸の奥に、またチクリと嫌な感覚が走った。
「レンさんって、モデル歴何年していたんですか?」
向かいの女子が話しかけてくる。
「え? 四年生だよ!」と即答するレン。
「??え、はい、四年生なんですか?」
「……あ?」しまったー
笑いが起きる。――本当は6年なのに、酒で思考が回らず、つい口が滑った。
グラスをまた一口、二口。アルコールが体中を巡り、顔が熱くなる。
その様子を、タクミは斜め後ろからじっと見ていた。
やがてお開きになり、
外の夜風がほんの少し熱を冷ます。
駅へ向かう途中、タクミがふらつくレンの腕を軽く引いた。
「ちょっとコンビニ寄りますね?」
タクミは無言で水を買い、レンに差し出す。
「飲んでください」
ペットボトルを受け取った瞬間、レンは視線を外しながら口を開いた。
「……お前、何楽しそうにしてたんだよ」
タクミが目を瞬かせる。
「あー、え? 怒ること? なんで怒る必要あるんですか?合コンに誘ったのはレンさん
ですよ?だから楽しんだだけですよ、
俺、楽しくしてダメでしたか?」
正論をさらりとぶつけられ、レンは返す言葉を失う。
酔いが一気に覚め、胸がチクチクと痛む。
「……帰るぞ」
夜の街を、二人は言葉少なに並んで歩いた。
その沈黙が、妙に長く感じられた――。
続くー♡
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