15 / 15
【番外編】指先にキスを、君に独占を
しおりを挟む付き合って、もう一年。
俺は親父が経営するマンションに引っ越しーひとりで住み始めた。
来年から就職やし、会社からも近い。都心から少し離れた落ち着いた街。
週末だけは、ハルが泊まりに来てくれる。
……もう、それだけで幸せすぎる。
けど今日は、ハルが飲み会や。
「すぐ帰る」って言うてたくせに、もう22時半。
時計の針を見つめながら、胸の奥がモヤモヤする。
——俺以外のやつと笑い合ってんのか? 知らん顔で酔うてんのか?
考えるだけで落ち着かへん。
「……はぁ」
ため息をついた、その10分後。
バターンッ!
玄関の扉が乱暴に開いて、ドサッと音が響く。
「……ハル?!」
慌てて駆け寄ると、そこには酔っ払って玄関に寝転んでいるハルの姿。
頬を赤くして、にやにやと無邪気に笑っている。
「……っ、アホかお前。なんでここで寝とんねん」
抱き起こしても、ハルはぐでんと身体を預けてきた。
「……んふ……ユウヤぁ」
名前を甘ったるく呼ばれた瞬間、胸の奥がギュッと締めつけられる。
「……もう。ほんま、お前……可愛すぎて腹立つわ」
強く抱きしめながら耳元で囁く。
「他のやつに、そんな顔見せんなよ。笑うんも、酔うんも、全部俺だけにしとけ」
ハルは赤い顔で「んー……」と小さく返事をして、俺の胸に顔をうずめる。
その仕草がまた愛しくて、もうどうしようもない。
「わかってんのか? 俺、どんだけ心配して……どんだけお前のこと欲しがってるか」
手を強く握りしめ、額に唇を落とす。
酔って無防備な寝顔に、独占欲と愛情があふれて止まらなかった
俺はぐでんとしたハルを抱え上げ、そのまま寝室のベッドへ運んだ。
「……重っ。ほんま、しっかりしろよ」
ハルはとろけた笑顔で俺の腕にしがみつき、子供みたいに甘えてくる。
ベッドに寝かせてから、水を用意しにキッチンへー
戻ってくると、ハルは潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
「……ユウヤ。ねぇ、着替えさせて」
「っ……お前……酔っ払いのくせに、ほんまズルいわ」
ため息をつきながらも、その頼みを断れるわけがない。
シャツのボタンを外し、柔らかい肌がのぞくたびに心臓が高鳴る。
「……ほんま、可愛い。可愛すぎて……ずるい」
そう呟きながら、頬に、額に、そして唇に、幾度もキスを落とす。
ハルは笑ったように目を細め、俺の首に抱きついた。
「ユウヤ……好き、大好き」
「……俺の方が、もっと大好きや」
ハルの唇が重なり、深くなるキスの最中——
ふいに、俺の下唇を軽く噛んだ。
「……っ、ん……ハル…」
「……可愛すぎんねん。反応全部、俺のもんにしたい」
痛みなんてない。ただ、甘くて熱い衝撃が全身を走る。
ハルの息を荒げる姿を見て、俺は満足そうに笑った。
「……もっと欲しなってる顔、俺しか知らんのやろ?」
「うん… 」
そう囁きながら、再び唇を重ね、ハルは完全にとろけていった。
その夜は、甘く甘く溶けるように過ぎていった。
互いの温度を確かめるように、無数のキスを重ねながら。
翌朝
「……おはよ、ハル」
眠そうに目をこすりながら起き上がったその顔を見た瞬間、胸の奥がじんわり熱くなる。
俺はもう、この一瞬を誰にも渡したくない。
「さっぱりしたいやろ思て、お湯ためといた」
驚いた顔で俺を見るハルが可愛すぎて、つい笑みが零れる。
「ほんと、準備よすぎ」
「当たり前や。お前のため以外に誰のためにするんや」
そう言いながら、額、頬にとキスを重ねた。
柔らかくて、甘くて、もっと欲しくなる。
——お風呂。
湯気の中、俺はハルの髪を指先でゆっくり洗ってやる。
「気持ちええか?」
「ん……ありがとう、気持ちいい」
「そらよかった。俺に任せとけ」
細い肩に触れるたび、守りたい気持ちが込み上げる。
後ろから抱きしめ、背中に頬を寄せた。
湯気の中で、濡れた髪からふわっと香る匂いに胸がざわつく。
「……朝から反則級に可愛いな。
ほんま、俺を狂わせる気なんやろ?」
「……また言う。ユウヤが甘やかしすぎなんだよ」
少し拗ねたように言う声が、また俺をたまらなくさせる。
「甘やかすに決まっとるやろ。俺以外に甘えてええんは、俺の腕の中だけや。お前は俺だけのもんやから」
耳元で低く囁きながら、首筋にそっと口づけを落とす。
びくりと震えるハルの反応が、愛しくて、どうしようもなく独占欲を煽った。
湯気の残るバスルームを出たハルの髪を、タオルで拭きながら抱き寄せた。
濡れた頬に指先で触れると、熱を持ったように赤い。
「……可愛いなぁ。お湯のせいか、俺のせいか……どっちやろな」
そのまま胸に抱きしめ、ソファまで連れていく。
ハルを膝にのせて、両腕でしっかりと囲い込んだ。
「ねぇ、ユウヤ……子ども扱いしすぎだよ」
「子どもちゃう。俺の大事なもん扱いや」
そう囁いて、額に軽くキス。
可愛すぎてぎゅっと抱きしめ直す。
「逃げんなよ。……俺、離す気ないから」
両手で顔を包み込み、深く唇を重ねる。
何度も、何度も。
「……俺のハル。全部、俺に預けとけ」
唇を離した後も、腕の中でとろけるように甘えるハルが愛おしすぎて、俺はまた額にキスを落とした。
「……ユウヤ、そろそろ朝ごはん一緒に作ろ」
俺の腕の中で頬を赤らめながら、ハルが小声で囁く。
そしてキッチンでは
ふわふわのオムレツを焼きながら、俺は横でサラダを盛りつけていく。
鍋からはミネストローネの香りが広がり、オーブンではフランスパンが焼きあがろうとしていた。
「なぁ、ハル」
「ん?」
「こうして一緒に作る朝ごはん……俺にとっては最高に幸せや」
「……もう、ユウヤってほんとに大げさー」
「大げさちゃう。お前が隣におるからやろ?どんな朝も特別なんや」
皿を並べながら、俺はついハルの頬に口づけた。
「……ユウヤ、またキス……」
「料理の合間やし、問題ないやろ」
「……っ、ほんとに独占王子だね」
「当たり前や。俺は一生、独占し続ける」
見つめ合って笑い合った
そしてテーブルに並んだ料理。
湯気と香りに包まれながら、二人で「いただきます」と声を合わせる。
「ハルが作るオムレツ、ほんまに美味いわ」
「ユウヤが作ったミネストローネもめちゃくちゃ美味しいよ、天才」
笑いながらスプーンを動かす。
食卓に並んだ料理よりも、俺の視線は隣で笑うハルに奪われっぱなしだった。
「ねぇ、ユウヤ」
「ん?」
「ベッド……セミダブルじゃなくて、ダブルにしない?」
思わず手が止まった。
「……なんでや?」
「週末だけじゃく一緒に住みたい。そろそろ、って思って……」
赤い顔で小さく呟くハル。
心臓を直撃されたみたいに、息が詰まる。
「……お前、そういうこと……さらっと言うなや」
「え、だめ……?」
「だめなわけあるか」
手を伸ばして、頬を包み込む。
「……ハル。俺も同じこと考えとった。
ほんま……お前とずっーと、毎日一緒におりたい」
テーブルの上で、自然と指が絡む。
低く囁いた。
「……よし、次の休みの日はベッド見に行こ。お前が隣で眠るのが、俺の当たり前になるように」
ハルの目が潤んで、幸せそうに笑った。
「……ユウヤ、ほんとズルいくらい甘い」
「甘いんちゃう。俺は一生、お前を独占するだけや」
——朝陽の差し込む食卓で交わした未来の約束。
その一瞬が、何より甘く、深い沼だった。
番外編ー終わり♡
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
染まらない花
煙々茸
BL
――六年前、突然兄弟が増えた。
その中で、四歳年上のあなたに恋をした。
戸籍上では兄だったとしても、
俺の中では赤の他人で、
好きになった人。
かわいくて、綺麗で、優しくて、
その辺にいる女より魅力的に映る。
どんなにライバルがいても、
あなたが他の色に染まることはない。
有能課長のあり得ない秘密
みなみ ゆうき
BL
地方の支社から本社の有能課長のプロジェクトチームに配属された男は、ある日ミーティングルームで課長のとんでもない姿を目撃してしまう。
しかもそれを見てしまったことが課長にバレて、何故か男のほうが弱味を握られたかのようにいいなりになるはめに……。
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
【完結】エデンの住処
社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。
それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。
ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。
『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。
「兄さん、僕のオメガになって」
由利とYURI、義兄と義弟。
重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は――
執着系義弟α×不憫系義兄α
義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか?
◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
