ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません

botansaku

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第3章<魔法陣コンテスト>

8、紅茶

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 ウー様が消えて、すぐにセイフィード様が私のいる部屋に戻ってきた。
手には紅茶のセットを持って。

「誰か来たか?」

 セイフィード様は、何かを感じ取ったらしく、私に尋ねた。

「ウー様がきました」

「アンナって、意外と凄いんだな」

 セイフィード様はビックリしてる。
そりゃそうだ。
わざわざ神さまが私に直接会いに来てくれたんだから。

「私に魔力がないことを、心配してくれたんだと思います。御守りも頂きました」

 セイフィード様にウー様から頂いたビー玉のような石を見せた。
セイフィード様は無言で、その石を見る。

「どんな、お守りかわかりますか? ウー様、その石について詳しく教えてくれませんでした」

「俺も、わからない」

 セイフィード様は、お守りの石を私に返してくれた。

「私、ウー様に魔力を授けてくれるように、お願いしたんです。でも、ウー様でも無理でした⋯⋯」

「そうか」

 セイフィード様は、熱い紅茶をカップに注ぎ、私に手渡してくれた。

「ありがとうございます。わぁ、セイロンティーだ。私、これ好きです」

 熱い紅茶が、身体の中に行き渡り、私はほっとし、気が緩む。

「あ~ぁ、もし、ウー様に魔力を授けて貰ったら、色々と変わっていたんだろうなぁ~」

「アンナは、変わらなくていい」

セイフィード様は、そうつぶやきながら、ソファーに座っている私の隣に腰掛け、真剣な眼差しを私に向けた。

「⋯⋯でも、セイフィード様は変わってしまう」

気が緩んだ私は、感情のふたも緩み、思っていることが口かられ出る。

「どう変わるんだ?」

セイフィード様は少しムッとしてしまった。

「それは⋯⋯」

 セイフィード様が、私じゃない誰かと結婚したら、私なんて見捨てるでしょ、なんて言えるわけがない。

「なんだ?」

 セイフィード様は、じっと私を見つめてる。

「それは……、私はいつもセイフィード様に迷惑かけてばっかりだから、そのうち私のことをうとましく思もって、放り出しますよ」

 こんな、ひねくれたこと私は言いたくないのに。
セイフィード様のこと大好きだから、ずっと私の側にいて欲しい、セイフィード様には変わらないで欲しいって素直に言えれば、どんなにいいだろう。

「残念だが、もう放り出せないな、アンナは重すぎて無理だ」

セイフィード様は悪戯ぽく笑う。

「そんなに、さっき重かったですか?」

私は、セイフィード様の笑顔を見た瞬間、さっきまでのジメジメした感情が消え、気分が明るくなった。

「あぁ、重い」

セイフィード様は即答した。

「ダイエットします⋯⋯」

 確かに、この頃お菓子を食べすぎたかも⋯⋯。
運動も嫌いだから、食生活から見直さないと。

「だから、アンナは変わらなくていいんだ」

 セイフィード様は私の頭をでてくれる。
セイフィード様って、本当に優しいな⋯⋯。
でも、変わらなくていいってことは、太っても駄目なんだよね。
太ったら、セイフィード様に何言われるかわからない。
物凄く、からかわれそう。

「そろそろ、帰り支度するぞ、アンナ。後ろ向け」

 セイフィード様は、私の肩に掛けてあったジャケットを取りながら指図さしずした。
貴族の女性の服は一人で着られないものばかりだ。
今、私が着ているドレスも、もちろん一人では着られない。
私のドレスを着直すためには、セイフィード様に手伝ってもらうしかない。
私は、素直に後ろを向いた。

 セイフィード様がコルセットの穴に緩んだ紐を通し、組み上げていく。
その際、セイフィード様の指先が、私の背中に触れ、くすぐったくて、肌がビクビクしてしまう。
恥ずかしい。
とても、恥ずかしい。
身体が火照っている。
最後にセイフィード様がコルセットの紐を結び終え、フゥーっと一息ついたとき、その息が私の首筋に当たった。
その拍子に、私は思っ切りビクついてしまった。
きっとセイフィード様にも、わかってしまったはず

 すると、セイフィード様は後ろから、私の肩に頭を乗せ、私を優しく抱きしめた。
その時、セイフィード様の髪の毛が、私の首や頬をかすめる。
くすぐったい、セイフィード様の髪が、猫じゃらしのように、私の首や頬に触れて、くすぐったいよ。
でも、くすぐったいけど気持ちがいい。
セイフィード様の腕の温もりも、暖かくて、なんて心地がいいんだろう。
ずっと包まれていたい。
私が、幸せにひたっていると、セイフィード様のこれまた心地よい声が、私の耳にひびく。

「俺が、アンナの代わりに魔法を使ってやるから、お前は魔力がなくても、いいんだ。」

 セイフィード様は、私を強く抱きしめた。

 その後、私はまるで着せ替え人形のようにセイフィード様にドレスを着なおしてもらう。
その間、私の頭はすっかり茹で上がり、ボーッとしていて、私は一言も話せなかった。
そして、天界の神殿から人間界まで戻る際、私はセイフィード様に手を引かれながら無言で歩いた。
帰りの馬車に乗った時、ようやく私の頭が動き始めた。

「あの、今日はありがとうございました。なんだかんだでウー様にも、会えて嬉しかったです」

「あぁ」

 セイフィード様は私を見ずに馬車から景色を眺めている。
しかし、隣に座ったセイフィード様と私は、手を握ったままだ。
嬉しい、ドキドキする。

「さっき、私の代わりに魔法を使ってくれるって言ってくれましたよね?」

「あぁ、言った」

「私、魔方陣学を習い始めて、自分なりに色々な魔方陣を書いてみたんです。その書いたノートを今度、見てもらえますか? その中で実現できそうな魔法があったらセイフィード様に実現して欲しいです」

「あぁ、わかった。でも実現できたら今度は俺が褒美を貰うぞ」

そう言うと、セイフィード様は熱のこもった視線を私に向けた。
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