ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません

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第8章<最後の戦い>

4、選抜

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 私とシャーロット達は家に戻ったが、シャーロットのお父様は、私達を家に送り届けると、すぐに登城した。
セイフィード様、ゾフィー兄様、大丈夫だろうか。
城には強い人が大勢いるし、第二王子もいるけれど、ロキ一族は死ぬ気で攻撃してくるはず。
シャーロットは気丈に振る舞っているけど、私は不安でしょうがない。
私はゾフィー兄様が帰宅するまで、絶対に寝ないで待っていようと思っていたのに、結局、ゾフィー兄様も、シャーロットのお父様も帰宅したのは、2日後の夜だった。

「お父様、ゾフィー兄様お帰りなさい。ロキ一族はどうなりましたか? 第二王子様やセイフィード様はご無事ですか?」

 シャーロットはお父様に続けざまに質問する。

「安心しなさい、シャーロット。第二王子様もセイフィードも無事だよ。勿論、王様や王妃も無事だ。ロキ一族は皆、死んだよ」

 シャーロットのお父様は、さすがに疲れて目に隈ができている。
ゾフィー兄様も、疲れているけど、どこかやり遂げた感があって、晴々した表情をしている。
その日は、シャーロットのお父様も、ゾフィー兄様も、すぐに自室に行き休んだ。
次の日、私は居ても立ってもいられず早速、セイフィード様のお屋敷を訪ねる。
セイフィード様はいつものように図書室にいた。

「セイフィード様、良かったです。無事で、本当に良かったです」

 私はセイフィード様を見た瞬間、胸が熱くなり、セイフィード様に抱きついた。
セイフィード様の胸の鼓動が聞こえる。
セイフィード様も、私を優しく包み込むように抱きしめる。

「今回⋯⋯、私にも、少しぐらい教えといて欲しかったです。いつも私は一人蚊帳の外で悲しいです」

「アンナは、知らなくていい」

「でも私だって、セイフィード様の婚約者なんです」

「そうだ。俺の婚約者だ。だから、アンナを危険なことに巻き込みたくない。それに今回は不確定要素が多かったから、俺にも大した情報はなかった」

「でも⋯⋯、私、魔力ないけど少しでも役に立ちたいんです」

「アンナは、そのままで役に立っている」

「何も役に立ってないですよ⋯⋯」

「ストラスは、アンナの事が大好きだ。だから今回、ストラスはアンナを守り、アンナのために戦った」

「ストラスはセイフィード様が操っていたんじゃないんですか?」

「いや、違う。実体化させたのは俺だが、あの時の行動は全てストラスが考え、した事だ」

「そうなんですね。私、ストラスを見る事ができて、とても嬉しかったです。ストラスって、ほんと、可愛いですよね。私も大好きです。でも、どうやって7体ものストラスを実体化したんですか?」
 
「それは、内緒だ」

 セイフィード様は、私の髪の毛をすくい指に絡め、口付けをする。

「私には、いつも内緒ばかりですね」

「内緒ばかりじゃない。ミランダの名誉回復のために、アンナに言っておくことがある」

「何でしょうか?」

「以前、ミランダが子犬になったアンナを外に連れ出した事があっただろう。あの行為は、アンナを助けるためにした事だ」

「⋯⋯⋯⋯私のために?」

「そうだ。マーリン師の下にいたフェニックスがウォーレンと言うことは知っているだろう。アンナが子犬になった時、ウォーレンはアンナを捕らえようとしたんだ。それを察知したミランダはアンナを外に持ち出し、すぐにマーリン師に報告したという事だ」

「ウォーレン、私を捕まえて何しようとしたんでしょうか?」

「さあな。ただ、捕らえておくだけでも価値がある」

「うーん⋯⋯。魔力ないのに⋯⋯」

「例えば、アンナを囮にシャーロットを捕らえる。次にシャーロットを囮にし、第二王子を誘き寄せれば、第二王子の殺害も容易になる。他にも、アンナを使って色々と企てられるさ」

「なるほどです。でも、それでしたらミランダさんの給与を減額にしてしまって申し訳ないです」

「その件は、大丈夫だ。ウォーレンが亡くなった今は誤魔化す必要もなくなったから、元通りになっている」

「そういえば、奴隷商人のこと恨んでいたのに、ウォーレンさんとオリヴィア様は繋がっていたんですね」

「恨んでいるからこそ、オリヴィアにウォーレンは近づいたのだろう。ロキ一族と繋がりを持てたのは、副産物だったかもな」

「そうだったですね。でも、これで全て終わりましたよね」

「そうだな」

「あ! 第二王子とシャーロットの婚約パーティーは、また日を改めて行うらしいです。それで結婚の日取りは一年以上先らしいです。王族だと色々、準備が大変みたいですね」

「そうか」

 セイフィード様はそう言うと、私を真っ直ぐ見つめる。
長い間、熱のこもった眼差しで私を見つめる⋯⋯。
なんだろう、あまりに見つめられると、私の胸がうるさいほど高鳴ってくる。

「アンナ、俺達の結婚についてだが⋯⋯」

 セイフィード様が話している途中に、突然、執事が図書室のドアを叩く。

「セイフィード様、火急の件でお父様が城よりお戻りになりました。応接間にすぐにいらして下さい。アンナ様も同席するようにとの事です」

「わかりました」

 何があったんだろう⋯⋯。
わざわざ、セイフィード様のお父様が家にまで戻って話す要件って。
それも、私も同席だなんて。
全く想像がつかない。
でも、セイフィード様は緊張しているのか、体が強張っている。
表情もさっきとは打って変わり、険しい。

 私とセイフィード様が応接間に入ると、セイフィード様のお父様は、頭を抱え、辛そうな表情をしていた。

「セイフィード、アンナ、早速だが本題に入る。つい先程、魔界の守人が自殺した。このままでは、24時間以内に魔界と人間界に繋がる道が解放してしまう。そのため、今から新たな守人を城で選抜する。セイフィードもその選抜に参加するから、支度して来なさい。出来次第、登城するよ」

「わかりました」

 魔界の守人が自殺したなんて⋯⋯。
弟のウォーレンが亡くなったのが原因で自殺したのだろうか。
悲しすぎるよ。

「アンナ、魔界の守人については知っているよね。魔力が強い人は、皆、選抜に参加する義務がある。無論、私も参加する。他の国では、もう選抜が始まっているから、我が国も急がなければならない。結果については、後で知らせてあげるからもう、家に戻りなさい」

「はい。わかりました」

 以前、その選抜方法について、私は本で学んだ。
確か、その選抜方法は、ある特殊な魔法陣に血を一滴たらして、その魔法陣がその血を受け入れれば新しい守人になる。
またその魔法陣はどの国でも発動できるので一箇所に集まる必要はない。
そして魔界の守人はその国に莫大な利益をもたらすから、各国競い合って守人の選抜を行う。

 やっぱり、魔界の守人の選抜にセイフィード様も参加するんだ。
セイフィード様⋯⋯、魔力強いもんね。
もしかしたら、セイフィード様が守人になるかもしれない。
私はちょっと嬉しいかも。
だって、守人の家族は一緒に魔界で暮らせるって、本に書いてあったし。
セイフィード様と魔界暮らし⋯⋯、いいかも。
あれ、でも、まだ、私とセイフィード様、結婚してない。

「セイフィード様、守人に選ばれたら、すぐに私と結婚して下さい。私もセイフィード様と一緒に魔界に行きたいです。絶対に」

「アンナ、今は、家に帰るんだ」

 セイフィード様は、辛く悲しみに満ちた眼差しを、私に向け、私の頭をポンポンした。
今回は、私を落ち着かせるためではなく、セイフィード様が落ち着くために、私の頭をポンポンした気がする。
どうしてそんなに、セイフィード様、辛そうなの⋯⋯。
守人に選ばれることは名誉だって、素晴らしいことだって本には書いてあったのに。

「嫌です。守人に選ばれたら、私とすぐに結婚してくれるって約束してくれなければ、帰りません。私は魔界に行くことに、恐怖なんて感じていないんですから」

「アンナ、今は家に帰りなさい」

 セイフィード様のお父様も、私を叱るような口調で言う。
もう、何も言葉を発せられる雰囲気ではない。
そして私は執事に、半端強引にセイフィード様の屋敷から追い出された。
私は、セイフィード様が出てくるまで、ずっと外で待っていたけれど、全く出て来なかった。
恐らく転移魔法で城に行ったに違いない。

 私、セイフィード様が魔界に行くことになったら、絶対に何が何でも一緒に行くんだから。
離れるなんて絶対に嫌だ。
そうだ、私も家に帰って、魔界にすぐに行けるように準備しとこう。
うん、善は急げだ!
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