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第9章<アンナの幸せ>
3、偉大
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その精霊らしき人は、身長20センチくらいで、古老の男性だ。
身長20センチくらいしかないのに、髪は倍の40センチくらいあり、美しい青色で輝いている。
着ている衣服も青色で、全体的に、青色に光り輝いている。
「もしかして、杖の精霊さんですか?」
「そうじゃ。ようやく、儂の姿が見えたようじゃな。良かった。⋯⋯いや、良くないわい。お前さんが、うるさ過ぎて目が覚めてしまった。せっかく儂が気持ちよく寝てたのに、邪魔しよって」
「ごっ、ごめんなさい」
「で、セイフィードとやらに、こっ酷く振られたようじゃな。いい加減諦めて他の男でも探すがいいぞ」
「振られてませんっ。置いていかれただけです」
「同じことじゃ!」
「違いますっ。きっとセイフィード様は私のことが好きだから置いて行ったんです。セイフィード様は魔界の守人になったんです。魔界は危険だから、だから私の安全を思って置いて行ったんです。精霊さんは知っていますか? 魔界の守人って?」
「無論、知っておるわい。魔界か⋯⋯、懐かしいのぉ」
「精霊さんは、魔界に行ったことあるんですか?」
「あるぞ。魔界はいいところじゃ」
「精霊さんは、もしかして魔界に行けますか? 私を連れて魔界に行く事が出来ますか?」
「そうじゃな⋯⋯。行く事は出来るだろうな。儂は偉大だからな」
「お願いです、偉大な精霊様。私を魔界に連れて行って下さい。セイフィード様に会いたいんです」
「お前の想いは痛いほど聞こえてきたからのぉ。儂を目覚めさせるほどにな⋯⋯。それに、このまま、また眠ったりしたら、お前さんに杖を叩き割られそうじゃ」
「それじゃあ⋯⋯」
「協力してやっても良い」
「今から行けますか?」
「それは無理じゃな。儂だけならともかく、お前さんも一緒となるとメデオ日でなければ行けない」
「わかりました。今度のメデオ日が楽しみになってきました。でも、どうやって魔界に行くんですか?」
「メデオ日に、魔界への安全な道を作る。その道は勿論、守人が住む城に近いとこに作る。魔界に着いたら、急いでその城に入る。城の領土には魔物が入り込めぬよう強力な魔法壁が施されているからな。城の領土に入れば安心じゃ。まあ、その城に入るまでの距離ぐらい、儂がお前さんを守ってやるわい」
「ありがとうございます。とても心強いです」
私は嬉しくって、その精霊さんの杖にキスをした。
精霊さんは実体化してないので、触れられないから。
「うむ。乙女のキスは最高じゃ! そうそう、儂のことは、偉大なる精霊王ウィステリア様と呼ぶのじゃ⋯⋯。いや、ちと長いかの。仕方がない、テリア様と呼ぶが良いぞ」
「はい、わかりました。テリア様。よろしくお願いします。私はアンナです」
「アンナか、いい名前じゃ。もう夜も更けた。寝るといい」
「はい。これからは、あまり泣かないようにします。おやすみなさい、テリア様」
その晩、私はテリア様の杖を抱きかかえながら眠った。
そして私は翌日、精霊が見られる眼鏡を掛け、テリア様の杖を持ってセイフィード様の図書室を訪れる。
セイフィード様のお父様も、タイミング良く図書室に来てくれたので、私はテリア様を紹介した。
「お父様。杖の精霊、テリア様です。偉大なる精霊王ウィステリア様です」
この頃になると、私は自然とセイフィード様のお父様を、ネヴィリス伯爵ではなく、お父様と呼ぶようになっていてた。
「精霊王ウィステリア様⋯⋯」
「はい。以前、魔法陣コンテストの景品で頂いた杖です。その杖に眠っていた精霊様が目覚めたんです」
「まさか、あの杖が⋯⋯」
セイフィード様のお父様は、拝むように、神でも見るかのようにテリア様を見つめている。
テリア様はその様子を偉そうに、満足気に見つめている。
セイフィード様のお父様がテリア様を一心に見つめる中、私はテリア様との昨日のやりとりを話した。
これで、魔界に行ける、セイフィード様に会えると。
私が説明し終わると、セイフィード様のお父様は突然、片膝をつき、こうべを垂れた。
「精霊王ウィステリア様にお会いできるとは、この上ない喜びです」
「うむ、苦しゅうない、面を上げよ」
「精霊王ウィステリア様が、アンナを魔界に連れて行って頂けると言うのは、誠でしょうか?」
「誠じゃわい。連れて行かねば、杖を折られそうなのでな」
その瞬間、セイフィード様のお父様は、私に対して驚愕の表情を浮かべた。
それから私に対し、どれだけ精霊王ウィステリア様が偉いのか、尊いのかを懇々と説明し始める。
精霊王ウィステリア様は樹木の精霊の長であり、初代守人である賢者に仕えていたそう。
また、精霊王ウィステリア様は光、水、風、土の精霊を数多く配下に従えており、強大な力を使えるとのこと。
「そうそう、儂も魔界に行く時、実体化しようと思う。そのためには水が必要じゃ。アンナ用意しとくのじゃ」
「はい。わかりました」
「いえ、アンナではなく、私が用意します。城には清い水があります。その水を用意します」
「うむ。それでメデオ当日は何時頃に魔界に出発する予定じゃ?」
「メデオ日が終わるギリギリの時間がいいです。ですので夜の23時頃とか、どうでしょう? メデオが明ければ、セイフィード様でも、私を追い返すことが出来ませんから」
「それはいいね。私もその時間帯なら確実に屋敷に戻っているから、アンナに防御魔法を施せる」
「うむ。ではそうしよう。魔界への道はここの屋敷の庭に作るからの」
「わかりました、精霊王ウィステリア様。よろしくお願い致します」
「あの、お父様。私、もしかしたらメデオ当日にまた眠らされるかもしれません。だから私を眠らせないような魔法を掛けておいて下さい」
「わかった、そうしよう」
私は、もう嬉しくって、嬉しくって仕方がなかった。
ようやくセイフィード様に会える。
セイフィード様に会った時、何て言われちゃうかな。
「会いたかったよ、アンナ。これからはずっと一緒にいよう、大好きだ」
なーんて言われちゃったりして。
あぁ、妄想が止まらない。
それで、それで、セイフィード様といっぱい、いっぱーーい、イチャイチャするんだ。
なんと言ったって、魔界には私とセイフィード様二人っきり⋯⋯。
イチャイチャし放題。
⋯⋯、でも、もしかしたらセイフィード様、激怒するかも。
「なんで魔界に来たんだ、バカアンナ」って言われるかな。
充分、ありえる。
人間界に追い返されそうになったら、メデオが明けるまで逃げよう。
メデオ日が明ければ私は人間界には戻れなくなるんだし。
そうすれば6ヶ月後の次のメデオ日まで、セイフィード様を説得出来る。
お菓子とか作って、やっぱりアンナがいた方が楽しいって思えるように頑張ろう。
うん、そうしよう!
身長20センチくらいしかないのに、髪は倍の40センチくらいあり、美しい青色で輝いている。
着ている衣服も青色で、全体的に、青色に光り輝いている。
「もしかして、杖の精霊さんですか?」
「そうじゃ。ようやく、儂の姿が見えたようじゃな。良かった。⋯⋯いや、良くないわい。お前さんが、うるさ過ぎて目が覚めてしまった。せっかく儂が気持ちよく寝てたのに、邪魔しよって」
「ごっ、ごめんなさい」
「で、セイフィードとやらに、こっ酷く振られたようじゃな。いい加減諦めて他の男でも探すがいいぞ」
「振られてませんっ。置いていかれただけです」
「同じことじゃ!」
「違いますっ。きっとセイフィード様は私のことが好きだから置いて行ったんです。セイフィード様は魔界の守人になったんです。魔界は危険だから、だから私の安全を思って置いて行ったんです。精霊さんは知っていますか? 魔界の守人って?」
「無論、知っておるわい。魔界か⋯⋯、懐かしいのぉ」
「精霊さんは、魔界に行ったことあるんですか?」
「あるぞ。魔界はいいところじゃ」
「精霊さんは、もしかして魔界に行けますか? 私を連れて魔界に行く事が出来ますか?」
「そうじゃな⋯⋯。行く事は出来るだろうな。儂は偉大だからな」
「お願いです、偉大な精霊様。私を魔界に連れて行って下さい。セイフィード様に会いたいんです」
「お前の想いは痛いほど聞こえてきたからのぉ。儂を目覚めさせるほどにな⋯⋯。それに、このまま、また眠ったりしたら、お前さんに杖を叩き割られそうじゃ」
「それじゃあ⋯⋯」
「協力してやっても良い」
「今から行けますか?」
「それは無理じゃな。儂だけならともかく、お前さんも一緒となるとメデオ日でなければ行けない」
「わかりました。今度のメデオ日が楽しみになってきました。でも、どうやって魔界に行くんですか?」
「メデオ日に、魔界への安全な道を作る。その道は勿論、守人が住む城に近いとこに作る。魔界に着いたら、急いでその城に入る。城の領土には魔物が入り込めぬよう強力な魔法壁が施されているからな。城の領土に入れば安心じゃ。まあ、その城に入るまでの距離ぐらい、儂がお前さんを守ってやるわい」
「ありがとうございます。とても心強いです」
私は嬉しくって、その精霊さんの杖にキスをした。
精霊さんは実体化してないので、触れられないから。
「うむ。乙女のキスは最高じゃ! そうそう、儂のことは、偉大なる精霊王ウィステリア様と呼ぶのじゃ⋯⋯。いや、ちと長いかの。仕方がない、テリア様と呼ぶが良いぞ」
「はい、わかりました。テリア様。よろしくお願いします。私はアンナです」
「アンナか、いい名前じゃ。もう夜も更けた。寝るといい」
「はい。これからは、あまり泣かないようにします。おやすみなさい、テリア様」
その晩、私はテリア様の杖を抱きかかえながら眠った。
そして私は翌日、精霊が見られる眼鏡を掛け、テリア様の杖を持ってセイフィード様の図書室を訪れる。
セイフィード様のお父様も、タイミング良く図書室に来てくれたので、私はテリア様を紹介した。
「お父様。杖の精霊、テリア様です。偉大なる精霊王ウィステリア様です」
この頃になると、私は自然とセイフィード様のお父様を、ネヴィリス伯爵ではなく、お父様と呼ぶようになっていてた。
「精霊王ウィステリア様⋯⋯」
「はい。以前、魔法陣コンテストの景品で頂いた杖です。その杖に眠っていた精霊様が目覚めたんです」
「まさか、あの杖が⋯⋯」
セイフィード様のお父様は、拝むように、神でも見るかのようにテリア様を見つめている。
テリア様はその様子を偉そうに、満足気に見つめている。
セイフィード様のお父様がテリア様を一心に見つめる中、私はテリア様との昨日のやりとりを話した。
これで、魔界に行ける、セイフィード様に会えると。
私が説明し終わると、セイフィード様のお父様は突然、片膝をつき、こうべを垂れた。
「精霊王ウィステリア様にお会いできるとは、この上ない喜びです」
「うむ、苦しゅうない、面を上げよ」
「精霊王ウィステリア様が、アンナを魔界に連れて行って頂けると言うのは、誠でしょうか?」
「誠じゃわい。連れて行かねば、杖を折られそうなのでな」
その瞬間、セイフィード様のお父様は、私に対して驚愕の表情を浮かべた。
それから私に対し、どれだけ精霊王ウィステリア様が偉いのか、尊いのかを懇々と説明し始める。
精霊王ウィステリア様は樹木の精霊の長であり、初代守人である賢者に仕えていたそう。
また、精霊王ウィステリア様は光、水、風、土の精霊を数多く配下に従えており、強大な力を使えるとのこと。
「そうそう、儂も魔界に行く時、実体化しようと思う。そのためには水が必要じゃ。アンナ用意しとくのじゃ」
「はい。わかりました」
「いえ、アンナではなく、私が用意します。城には清い水があります。その水を用意します」
「うむ。それでメデオ当日は何時頃に魔界に出発する予定じゃ?」
「メデオ日が終わるギリギリの時間がいいです。ですので夜の23時頃とか、どうでしょう? メデオが明ければ、セイフィード様でも、私を追い返すことが出来ませんから」
「それはいいね。私もその時間帯なら確実に屋敷に戻っているから、アンナに防御魔法を施せる」
「うむ。ではそうしよう。魔界への道はここの屋敷の庭に作るからの」
「わかりました、精霊王ウィステリア様。よろしくお願い致します」
「あの、お父様。私、もしかしたらメデオ当日にまた眠らされるかもしれません。だから私を眠らせないような魔法を掛けておいて下さい」
「わかった、そうしよう」
私は、もう嬉しくって、嬉しくって仕方がなかった。
ようやくセイフィード様に会える。
セイフィード様に会った時、何て言われちゃうかな。
「会いたかったよ、アンナ。これからはずっと一緒にいよう、大好きだ」
なーんて言われちゃったりして。
あぁ、妄想が止まらない。
それで、それで、セイフィード様といっぱい、いっぱーーい、イチャイチャするんだ。
なんと言ったって、魔界には私とセイフィード様二人っきり⋯⋯。
イチャイチャし放題。
⋯⋯、でも、もしかしたらセイフィード様、激怒するかも。
「なんで魔界に来たんだ、バカアンナ」って言われるかな。
充分、ありえる。
人間界に追い返されそうになったら、メデオが明けるまで逃げよう。
メデオ日が明ければ私は人間界には戻れなくなるんだし。
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