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第9章<アンナの幸せ>
8、嫉妬
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ゾフィー兄様の手紙を、私は早速読んだ。
そう言えば、ゾフィー兄様の字って初めて見るかもしれない。
几帳面で意外に繊細な字なんだな⋯⋯。
ーーーーーーーーーーー
セイフィードへ
これを読んでいるという事は、無事、アンナに出会えたようだね。
早速だが本題に入る。
アンナを人間界に送り返さないで欲しい。
なぜなら、アンナが人間界に戻ったら、アンナはヴェルジーナ公爵の次男、ルシウスと婚約し結婚する。
ルシウスの兄、ラルフ隊長の話ではルシウスは改心し、心からアンナを愛しているとのことだ。
そしてヴェルジーナ公爵家が責任を持って必ずアンナを幸せにすると、ラルフ隊長が断言した。
また、この縁談話は王様の耳にも入ってしまい既に承諾を得てしまっている。
王様にとって、ルシウスは可愛い甥っ子だからね。
私は、もちろんこの縁談には反対だ。
ルシウスがアンナを幸せに出来るとは到底思えない。
だから、せめて少しでも待ってもらおうと説得を試みようとしたが、私の知らない内に実家の両親と話が進んでしまっていた。
もう、断れない段階に来ている。
だから、セイフィード、アンナの幸せを願うなら人間界に送り返してはいけない。
私では日々泣き続けるアンナを笑顔にする事は出来なかった。
ルシウスと結婚したら、さらにアンナにとっては地獄の日々を送ることになるかもしれない。
そう、アンナを幸せにできるには、私でもルシウスでもなく、君にしか出来ない。
君が責任を持って、君の元で、君が、アンナを幸せにするんだ。
そして、アンナには怖い思いもさせないで欲しい、泣かさないで欲しい、寂しい思いもさせないで欲しい。
アンナが魔界で快適に過ごせるよう最大限努力して欲しい、アンナの願いはなんでも叶えて欲しい、アンナを必ず幸せにして欲しい。
身勝手なことばかり言っているのは重々承知している。
それでも、願わずにはいられない。
それでは、君が賢い判断をする事を期待している。
また、メデオ日に会おう。
ゾフィー
追伸
君の幸せも祈っている、アンナのために。
ーーーーーーーーーーー
何故、どうして、いつの間に、ルシウスと私の縁談が進んでしまったのだろう。
絶対に、ルシウスと婚約だなんて、結婚だなんて嫌だ。
耐えられない。
けれど、もしセイフィード様が私を人間界に送り返していたら、自暴自棄になってルシウスとの結婚を受け入れたかもしれない。
ゾフィー兄様は、私を送り返されないように、私のためを思って手紙を書いてくれていたんだ。
「私、セイフィード様に、人間界に追い返されなくて、本当に良かったです。私がルシウスと結婚するだなんて⋯⋯」
「そうだな。そうなっていたら俺は、きっと耐えられなかった」
「セイフィード様でも、嫉妬することあるんですか?」
「嫉妬? 俺のはそんな軽いものじゃない」
「でも、セイフィード様、私を置いて1人魔界に行く時に、違う幸せを見つけろって言ってたじゃないですか」
「あの時は、耐えられると思ったんだ」
珍しく、セイフィード様が饒舌だ。
今なら色々聞けるかもしれない。
「魔界で私と会った時も、人間界に送り返そうとしていませんでしたか?」
「いや、アンナを抱きしめた瞬間、それが無理だと、もう手放せないと分かったんだ」
「セイフィード様って、結構、私のこと好きですよね?」
「当たり前だ」
「じゃあ、ちゃんと、私のこと好きって言って下さい」
「アンナこそ、俺に対して愛情表現少ないと思うけど」
「そんなことありませんっ。私は、私はセイフィード様のことが大好きです⋯⋯よ」
セイフィード様はいきなり私をソファーに押し倒して、優しいキスをした。
「言葉だけではなく、たまにはこういう愛情表現も、アンナからあっていいと思うけどな」
セイフィード様は挑戦的な目を私に向け微笑んだ。
どうせ、私には出来っこないと思っているに違いない。
私だって、キスぐらい出来る。
私は起き上がり、セイフィード様を力の限り押し倒した。
そして、セイフィード様が動かないよう馬乗りになり、胸に手を当て押さえつける。
「私だって、ちゃんと出来ますっ」
私は、勢いのまま、セイフィード様にキスをした。
一瞬でキスが終わると思っていたのに⋯⋯、考えが甘かった。
私がキスした同時に、セイフィード様は私の頭と腰を手でガッチリと押さえつけた。
どっ、どうしようっ、唇が離れられない。
逃げられない。
キスが、キスが⋯⋯、いつもより長いっ。
心臓がバクバクするし、体が熱くなるし、頭がもうショートしてる。
私は、もうギブアップ、降参ですという意味を込めてセイフィード様の胸を何度も軽く叩いた。
すると、セイフィード様はようやく手の力を緩め、唇が離れた。
私はセイフィード様から離れ、起き上がろうとしたのに、またセイフィード様にガッチリと腰を押さえ込まれてしまった。
そして、セイフィード様は無言のまま、私の頭を撫で始める。
私はセイフィード様に頭を撫でられるのは大好きなので、そのまま甘えた。
それに、この体勢、セイフィード様の体の上に私の体を委ねていると、セイフィード様の胸の鼓動が聞こえる。
あまりに気持ちがいいので、私は目を閉じ、そのひと時を堪能した。
⋯⋯はっ、一瞬眠りかけてしまった。
セイフィード様にバレてないよね。
私は視線をセイフィード様に向けると、バッチリ目が合ってしまう。
どうやら、バレているよう。
セイフィード様の手も緩んでいたので、私は上体を起こし背伸びをした。
同じく、セイフィード様も上体を起こし、熱を帯びた眼差しを私に向ける。
そして、セイフィード様は私の頬に触れ、おでこをコツンと合わせる。
「アンナ、愛している。魔界に、俺の元に来てくれて、ありがとう」
私はその言葉を聞いた瞬間、涙が堰を切ったように流れ出す。
今までの寂しくて、悲しくて、辛い思いが胸から溢れて、涙と一緒に流れ出る。
反対に、私の胸にはポカポカと暖かいセイフィード様の思い、愛で満たされていく。
「セイフィードさまっ、ヒックっ、泣き過ぎてごめんなさいっ。ヒックっ。嬉しくて、嬉しくて、涙が止まりませんっ」
私はセイフィード様の胸に抱きつき、気がすむまで泣き続けた。
泣き止む頃には、セイフィード様の服を涙でビチョビチョに濡らしてしまう。
「セイフィード様、ごめんなさい。服を濡らしてしまいました」
「構わない。ただ、そんだけ泣いたら喉乾きそうだな。今、紅茶を淹れる」
「ありがとうございます。喉カラッカラです」
「それじゃあ、今度こそデザートを食べるか」
「はい。頂きます」
「アンナはいっぱい食べた方がいい」
「どうしてですか?」
「痩せたみたいだから」
「嬉しい。私、いつのまにか痩せていたんですね」
「俺は、嬉しくない。もっと太った方がいい」
「私、きっと調子に乗っていっぱい食べて、物凄く太っちゃいますよ。いいんですか? それでも?」
「あぁ、太っていい」
「知りませんからね、後悔しても。でも、ここのデザート、本当に美味しい。これじゃあ、セイフィード様に言われなくても食べ過ぎちゃいます」
「そうか。じゃあ毎日、デザートを用意させる」
「ありがとうございます。あっ、そういえば。テリア様、ウィステリア様知りませんか?」
「あぁ、魔界の散策に行くと言って出掛けた。ストラス3号も一緒に行ったよ」
「大丈夫でしょうか⋯⋯。ストラス3号も、セイフィード様の元を離れて平気なんですか?」
「問題ない。ウィステリア様にとっては杖が、ストラス達にとっては俺が家みたいなものなんだ。だから家に多少の戻らなくても問題ない」
「でも、火竜は苦手みたいですし⋯⋯」
「火竜は魔界でもトップクラスの強さだ。それに、通常は襲いかかったりしない種族なんだ」
「あの時、なんで襲いかかってきたんでしょう?」
「さあな⋯⋯」
私とセイフィード様をお菓子を全て平らげ、私はその後すぐにベットに横になった。
セイフィード様は、何か仕事をあるらしく、ベット近くの机で書類を見ている。
どんな仕事なんだろう、私にも手伝えたらいいな⋯⋯。
私は、セイフィード様の字を書く音、書類を整理する音を聞きながら眠りについた。
そう言えば、ゾフィー兄様の字って初めて見るかもしれない。
几帳面で意外に繊細な字なんだな⋯⋯。
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セイフィードへ
これを読んでいるという事は、無事、アンナに出会えたようだね。
早速だが本題に入る。
アンナを人間界に送り返さないで欲しい。
なぜなら、アンナが人間界に戻ったら、アンナはヴェルジーナ公爵の次男、ルシウスと婚約し結婚する。
ルシウスの兄、ラルフ隊長の話ではルシウスは改心し、心からアンナを愛しているとのことだ。
そしてヴェルジーナ公爵家が責任を持って必ずアンナを幸せにすると、ラルフ隊長が断言した。
また、この縁談話は王様の耳にも入ってしまい既に承諾を得てしまっている。
王様にとって、ルシウスは可愛い甥っ子だからね。
私は、もちろんこの縁談には反対だ。
ルシウスがアンナを幸せに出来るとは到底思えない。
だから、せめて少しでも待ってもらおうと説得を試みようとしたが、私の知らない内に実家の両親と話が進んでしまっていた。
もう、断れない段階に来ている。
だから、セイフィード、アンナの幸せを願うなら人間界に送り返してはいけない。
私では日々泣き続けるアンナを笑顔にする事は出来なかった。
ルシウスと結婚したら、さらにアンナにとっては地獄の日々を送ることになるかもしれない。
そう、アンナを幸せにできるには、私でもルシウスでもなく、君にしか出来ない。
君が責任を持って、君の元で、君が、アンナを幸せにするんだ。
そして、アンナには怖い思いもさせないで欲しい、泣かさないで欲しい、寂しい思いもさせないで欲しい。
アンナが魔界で快適に過ごせるよう最大限努力して欲しい、アンナの願いはなんでも叶えて欲しい、アンナを必ず幸せにして欲しい。
身勝手なことばかり言っているのは重々承知している。
それでも、願わずにはいられない。
それでは、君が賢い判断をする事を期待している。
また、メデオ日に会おう。
ゾフィー
追伸
君の幸せも祈っている、アンナのために。
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何故、どうして、いつの間に、ルシウスと私の縁談が進んでしまったのだろう。
絶対に、ルシウスと婚約だなんて、結婚だなんて嫌だ。
耐えられない。
けれど、もしセイフィード様が私を人間界に送り返していたら、自暴自棄になってルシウスとの結婚を受け入れたかもしれない。
ゾフィー兄様は、私を送り返されないように、私のためを思って手紙を書いてくれていたんだ。
「私、セイフィード様に、人間界に追い返されなくて、本当に良かったです。私がルシウスと結婚するだなんて⋯⋯」
「そうだな。そうなっていたら俺は、きっと耐えられなかった」
「セイフィード様でも、嫉妬することあるんですか?」
「嫉妬? 俺のはそんな軽いものじゃない」
「でも、セイフィード様、私を置いて1人魔界に行く時に、違う幸せを見つけろって言ってたじゃないですか」
「あの時は、耐えられると思ったんだ」
珍しく、セイフィード様が饒舌だ。
今なら色々聞けるかもしれない。
「魔界で私と会った時も、人間界に送り返そうとしていませんでしたか?」
「いや、アンナを抱きしめた瞬間、それが無理だと、もう手放せないと分かったんだ」
「セイフィード様って、結構、私のこと好きですよね?」
「当たり前だ」
「じゃあ、ちゃんと、私のこと好きって言って下さい」
「アンナこそ、俺に対して愛情表現少ないと思うけど」
「そんなことありませんっ。私は、私はセイフィード様のことが大好きです⋯⋯よ」
セイフィード様はいきなり私をソファーに押し倒して、優しいキスをした。
「言葉だけではなく、たまにはこういう愛情表現も、アンナからあっていいと思うけどな」
セイフィード様は挑戦的な目を私に向け微笑んだ。
どうせ、私には出来っこないと思っているに違いない。
私だって、キスぐらい出来る。
私は起き上がり、セイフィード様を力の限り押し倒した。
そして、セイフィード様が動かないよう馬乗りになり、胸に手を当て押さえつける。
「私だって、ちゃんと出来ますっ」
私は、勢いのまま、セイフィード様にキスをした。
一瞬でキスが終わると思っていたのに⋯⋯、考えが甘かった。
私がキスした同時に、セイフィード様は私の頭と腰を手でガッチリと押さえつけた。
どっ、どうしようっ、唇が離れられない。
逃げられない。
キスが、キスが⋯⋯、いつもより長いっ。
心臓がバクバクするし、体が熱くなるし、頭がもうショートしてる。
私は、もうギブアップ、降参ですという意味を込めてセイフィード様の胸を何度も軽く叩いた。
すると、セイフィード様はようやく手の力を緩め、唇が離れた。
私はセイフィード様から離れ、起き上がろうとしたのに、またセイフィード様にガッチリと腰を押さえ込まれてしまった。
そして、セイフィード様は無言のまま、私の頭を撫で始める。
私はセイフィード様に頭を撫でられるのは大好きなので、そのまま甘えた。
それに、この体勢、セイフィード様の体の上に私の体を委ねていると、セイフィード様の胸の鼓動が聞こえる。
あまりに気持ちがいいので、私は目を閉じ、そのひと時を堪能した。
⋯⋯はっ、一瞬眠りかけてしまった。
セイフィード様にバレてないよね。
私は視線をセイフィード様に向けると、バッチリ目が合ってしまう。
どうやら、バレているよう。
セイフィード様の手も緩んでいたので、私は上体を起こし背伸びをした。
同じく、セイフィード様も上体を起こし、熱を帯びた眼差しを私に向ける。
そして、セイフィード様は私の頬に触れ、おでこをコツンと合わせる。
「アンナ、愛している。魔界に、俺の元に来てくれて、ありがとう」
私はその言葉を聞いた瞬間、涙が堰を切ったように流れ出す。
今までの寂しくて、悲しくて、辛い思いが胸から溢れて、涙と一緒に流れ出る。
反対に、私の胸にはポカポカと暖かいセイフィード様の思い、愛で満たされていく。
「セイフィードさまっ、ヒックっ、泣き過ぎてごめんなさいっ。ヒックっ。嬉しくて、嬉しくて、涙が止まりませんっ」
私はセイフィード様の胸に抱きつき、気がすむまで泣き続けた。
泣き止む頃には、セイフィード様の服を涙でビチョビチョに濡らしてしまう。
「セイフィード様、ごめんなさい。服を濡らしてしまいました」
「構わない。ただ、そんだけ泣いたら喉乾きそうだな。今、紅茶を淹れる」
「ありがとうございます。喉カラッカラです」
「それじゃあ、今度こそデザートを食べるか」
「はい。頂きます」
「アンナはいっぱい食べた方がいい」
「どうしてですか?」
「痩せたみたいだから」
「嬉しい。私、いつのまにか痩せていたんですね」
「俺は、嬉しくない。もっと太った方がいい」
「私、きっと調子に乗っていっぱい食べて、物凄く太っちゃいますよ。いいんですか? それでも?」
「あぁ、太っていい」
「知りませんからね、後悔しても。でも、ここのデザート、本当に美味しい。これじゃあ、セイフィード様に言われなくても食べ過ぎちゃいます」
「そうか。じゃあ毎日、デザートを用意させる」
「ありがとうございます。あっ、そういえば。テリア様、ウィステリア様知りませんか?」
「あぁ、魔界の散策に行くと言って出掛けた。ストラス3号も一緒に行ったよ」
「大丈夫でしょうか⋯⋯。ストラス3号も、セイフィード様の元を離れて平気なんですか?」
「問題ない。ウィステリア様にとっては杖が、ストラス達にとっては俺が家みたいなものなんだ。だから家に多少の戻らなくても問題ない」
「でも、火竜は苦手みたいですし⋯⋯」
「火竜は魔界でもトップクラスの強さだ。それに、通常は襲いかかったりしない種族なんだ」
「あの時、なんで襲いかかってきたんでしょう?」
「さあな⋯⋯」
私とセイフィード様をお菓子を全て平らげ、私はその後すぐにベットに横になった。
セイフィード様は、何か仕事をあるらしく、ベット近くの机で書類を見ている。
どんな仕事なんだろう、私にも手伝えたらいいな⋯⋯。
私は、セイフィード様の字を書く音、書類を整理する音を聞きながら眠りについた。
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